第15話 キリスト教徒の女の子 その4
〜翌日〜
朝部屋で日本語の練習をしていると、エリカの携帯が鳴り出した。
「うん?夏子さんからだ」
携帯を取って、エリカに携帯を渡した。
「モシモシ?」
エリカは携帯を耳に近付けた。
「出来れば病院に来てくれない?ガラシャちゃんも一緒に」
「病院デスカ?」
「うん。場所はマップをスクショしてるから、それ送るね。そしてその病室は305号室。それじゃあ」
プツンと電話が切れた。
「夏子さんなんて言ってたの?」
「病院に来てだって。どうしたんだろう」
メールが来た。開くとマップが載っており、病院の所にマークがあった。
「さてと。行くわよ」
「私も?」
「えぇ。ガラシャちゃんも来てだって」
エリカは手を伸ばした。ガラシャはエリカの手を掴み、一緒に教会を出て、病院に向かった。
〜病院 305号室〜
「はぁ大丈夫?睦月君」
「あぁ。大丈夫だ。まぁ完治するまで、何ヶ月か経つだろうな」
夏子は腕時計を見て
「昨日私が電話で話した外国人が治してくれるわ」
「外国人?あぁイギリス人とかいう奴か?」
「そう。エリカさんとガラシャちゃんって言うらしいわ。ガラシャちゃんは日本語が喋れないけど、エリカさんは喋れるわ」
「そうかい」
すると病室のドアが開いた。中に入って来たのは、あの外国人2人だった。
「アッ夏子サン」
「おう!ちょっとガラシャちゃん良い?」
夏子は病室の外を少し見渡すと、すぐにドアを閉め鍵を閉めて、ガラシャを椅子に座らした。
「この人睦月 隆君って言うんだけど、今複雑骨折中でね。完治するのに、何ヶ月も待たないといけないの。下手すれば後遺症が残るかもしれない。そこでお願いがあるの!!」
夏子はガラシャの両肩をガシッと握り、
「あなたの能力で治して欲しいのよ!」
ガラシャはエリカの方を見た。エリカは一応夏子の言ったことを英語に訳した。しかしすぐに夏子に
「デモドコマデ治セルカハワカリマセン。治シタト言ッテモ掠リ傷デシタシ」
夏子はエリカを見て
「やってみないと分からないわ。それにどうしても無理なら、少し治してくれればそれで良いの。お願い」
ガラシャに夏子の言ったことを伝えた。ガラシャは頷き、隆の方を見た。
「夏子。大丈夫なんだよな?こいつ10歳くらいだろ?」
「この子は賢いから大丈夫よ」
「本当か・・・?」
隆は子供嫌いなので、あまり信用出来なかった。ガラシャの体から、光っている手が出てきた。
「これは」
手は隆の体を貫いた。
「いっ・・・痛くない?」
体を起こして、右手と左手をあげたり、下げたり、握ったり、広げたりしたが、全然痛くなく、問題なかった。
「治ってるのか?」
「凄い!!凄いじゃない!!ガラシャちゃん!!!」
夏子はガラシャの手を握り締め、激しく振った。
「あわわわ!!!」
エリカは隆の側に来て、
「本当ニ治リマシタネ」
と言った。隆はエリカに聞いた。
「なぁこの能力ってまだ分からない事だらけなのか?」
頷いて答えた。
「ハイ。マダ目覚メテ間モナイノデ」
「そうか」
立ち上がり背を伸ばした。背中などがボキボキと鳴った。
「動けるのって良いな」
体をボキボキ鳴らしながら言った。
「ありがとう!エリカさん!そしてガラシャちゃん」
ガラシャに大好物のトッポをあげた。
「オ役ニ立テテ何ヨリデス」
笑顔で言った。隆はありがとうよと言って、エリカの右手を握った。エリカの頬が一瞬赤くなった。そしてガラシャの頭も撫でた。
「ありがとうな。お前は落ち着いてて、いい子だな」
ガラシャは少し照れた。褒められたのが分かったからだ。
「さてと色々と医者とかに言わなくちゃな。怪我はもう治ったって」
「そうね」
夏子は霧矢に電話した。
「こう言う時は彼にやってもらった方が早く終わるからね。ハッキングしてもらって、睦月君の怪我の内容を変えてもらう。手っ取り早いでしょ?どうせ彼奴は一日中暇だろうし」
スマホを耳に当てると、夏子は病室のドアを開けて、エリカとガラシャを見送った。
「なんか色々と大変そうね」
「私達に何か出来ることないかな?」
「そうね。あったら良いんだけど、今はいる方が邪魔になるかもだし、それにガラシャちゃんはまず日本語とかの勉強をしないとね」
エリカとガラシャは教会に帰った。
〜15分後〜
霧矢が病室に入って来た。
「なんだよ。全く。おぉ隆治ってんじゃねぇか」
「あぁ。もうすっかり治った」
「へぇ誰かの能力か?」
「あぁイギ・・・」
夏子が口を塞いで
「いいえ。睦月君って結構生命力が高いからすぐに治ったのよ」
隆は夏子の手をどけて、夏子の耳元で小声で言った。
「何すんだよ」
「彼奴のことだからもしイギリス人の女性が助けてくれたって言ったら、すぐにエリカさんの所に行くでしょ。エリカさんに迷惑をかけたくないのよ。だから取り敢えず適当に言って誤魔化しましょ」
「へぇイギリス人の女性ねぇ」
真横で霧矢が呟いた。
「キャッ!!!」
流石にビックリした。
「ちょっと!!!盗み聞きするな!」
「良いじゃねぇかよ。それで?そのエリカとかいう人はどこにいるんだよ」
「教えないわよ」
「おい。それよりこっちの問題をなんとかしろ」
隆は霧矢にやってほしいことを言った。霧矢はすぐに承知した。
「良いぞ。その仕事が済んだら教えろよ」
「あぁ・・・もう・・・」
ため息を吐いた。
〜能力者プロフィール〜
能力者名
ガラシャ・カルーナ 10歳
能力
光っている手が出てきて、人の怪我を全て治したり、相手の攻撃を防いだりする事が出来る。(ゴッドハンドと呼んだ方が早い)
ステータス
見た目7・頭脳4・攻撃力0・スピード7・器用8
精神6・体力1・友情8・悪の心0・善の心9
弱点
攻撃する事は出来ない。というより本体は攻撃できるが、まだ子供なので、攻撃は全然出来ない。
「という事で今回はイギリス人のガラシャちゃんね」
「ガラシャちゃんってどんな子なの?」
「そうね。普通はあのぐらいの子供は、騒いだりして人様に迷惑かけるけど、あの子は全然騒がなかったわね。というより無口だったわ」
「へぇ。会ってみたいな」
「そうね今度一緒に教会に行きましょう」
「あぁ!!良いわね!」
「それじゃあエリカさんに連絡しておくわね」
「OK!!」