第14話 キリスト教徒の女の子 その3
「エリカさん大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。教会にはイギリスで先に電話して、申し込みしたから」
(教会って申し込み制だったの!?)
ガラシャはまぁまぁ困惑していた。
〜教会に行くまでの道〜
エリカは必死に地図を見ていた。
「うぅん。どこをどう行けば良いんだろう」
「エリカさん道わかんないんですか?」
「うん。この辺の教会は1つしかないんだけど、道が入り組んでてよく分からない・・・」
「えぇ・・・」
ガラシャはキョロキョロと周りを見た。
「誰かに聞いたらどうですか?」
「あぁ。それ良いかもね」
「エリカさんって一応日本語とアメリカ語喋れるんですよね?私はどちらも喋れないですけど」
「そうね。いざとなれば、アメリカの言葉で喋れば良いか」
エリカは地図をガラシャに渡して、周りを見渡した。そして近くでスマホを弄っている女子高生を見つけた。
「スミマセン」
片言の日本語で喋りかけた。
「ん?」
その女性は2人を見た。
「外国人ですか?」
「近クニ教会アリマスカ?」
「教会?」
女性は地図を借してと言った。ガラシャは地図を女性に渡そうとした。
「ん?」
女性はガラシャの顔を見つめた。
「なんか気になったんだけど・・・」
女性はしゃがみガラシャの目をジーっと見つめた。一瞬戸惑った。
「君日本語喋れる?」
「ヘ!?ハ・・・ハイ!少シナラ」
「そう。はい借して」
女性が手を出してきた。エリカが英語で「地図を渡してあげて」と言ってきた。慌てて地図を女性の手に置いた。女性は地図を広げて道案内をしてあげた。
「どうせならそこまでついて行ってあげようか?」
「良インデスカ?」
「大丈夫大丈夫。今日学校無いし、それにお見舞いには行ったからもう予定ないしね」
ガラシャが服をクイクイと引っ張った。
「オミマイって何?」
「入院している人の所に行く事よ」
エリカはガラシャに教えた。女性はガラシャの横に並んで歩いた。そして質問してきた。
「何処から来たの?」
「イギリスカラデス」
「イギリスから。凄いわね。どうしてここに来たの?」
「ソレハ・・・」
目線だけガラシャに向けると、ガラシャは下を向いていた。恐らく空気でこの女性が何を書いたのかを察したのだろう。そしてその原因が自分の所為であると思って、自分を責めているのだろう。とエリカは思った。
「特ニ理由ハ無イデス。日本ニ知リ会イガ居テ、引ッ越シテキタダケデス」
「あらそう」
女性はずっとガラシャを見ている。すると地図を見て
「あと少しで着くわ」
と言った。
「そうだ。名前を言ってなかったわね。私は火田 夏子っていうんだけど、あなたは?」
「私ハエリカ・シェラード。コノ子ハガラシャ・カルーナデス」
「そう。ガラシャちゃんね」
夏子はしゃがんで、ガラシャに目線を合わせた。
「ガラシャちゃん。あなた・・・もしかして能力者?」
単刀直入に聞いてきた。
「さっきからあなたの様子が変な気がしたから、そう思ったんだけど違ったらごめんね」
今度はエリカを見て言った。エリカは黙り込んでしまった。
「はぁ・・・やっぱりね。という事はイギリスから日本に来た理由もそれが原因って感じね」
夏子はため息を一度吐くと
「私も能力者だから安心して。別に差別なんかしないし、誰にも喋らないから」
すると鞄の中に入っていたトッポの箱を取り出して
「はいあげる。美味しいわよ」
ガラシャの手に渡した。
「あなたも能力者なの?」
「私は違います。この子が・・・」
「そう。折角だし能力を教えてよ。私は」
夏子の手がボッと燃えた。
「炎になれる能力。あなたは?」
エリカが代わりにガラシャの能力について話した。
「コノ子ノ能力ハ、自分ヲ守ルノト、人ノ怪我ナドヲ治スダケノ能力デス」
「なるほどね・・・」
夏子は暫く考えて
「怪我ってなんでも治せるの?」
「少ナクトモ、私ノ切ッタ足ハ治セマシタ」
「そうなの」
曲がり角を曲がると、そこには立派な教会があった。
「ここよ」
「アリガトウゴザイマス」
「thank you」
ガラシャも取り敢えず英語だが、夏子に礼を言った。
「電話番号を交換しましょう」
「エ?アッアァ良イデスヨ」
2人は電話番号を交換して
「また明日ぐらいに電話するからよろしくね。エリカさん」
「ハイ!」
夏子は手を振って帰っていった。
「それじゃあ行こうか」
「うん」
教会の扉を開けた。すると中にいるキリスト教徒の人達がエリカとガラシャの前に来た。
「あなた達がイギリスから来てくれた方達ですね。その日本語は喋れますか?」
「ハイ。私ハ少シダケ喋レマス。コノ子ハ喋レマセン」
「あなたがガラシャちゃんね」
「コノ子ハ簡単ナアメリカ英語ト、イギリスノ英語シカ喋レマセン」
「あらそうなんですか。でもこんなに小さいんだから、日本で暮らしていくうちに日本語も喋られるようになるでしょう。取り敢えず中で休んでいてください」
中を案内してくれた。エリカとガラシャの部屋も用意してくれていた。
「アリガトウゴザイマス」
「ごゆっくりしてくださいね。晩ご飯になったら呼びますね」
女性はドアをガチャリと閉めた。ガラシャはベッドに寝転がり背筋を伸ばした。
「んんん!!!要約休めますね」
「意外と日本語をずっと喋るのって疲れるわ」
2人は鞄を下ろして、一旦休んだ。