第12話 キリスト教徒の女の子 その1
〜ある日 イギリスのとある教会〜
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ほら!ガラシャ!もうちょっと早く掃除をしなさいよね」
「はい!!すいません!!!」
彼女・・・というよりこの少女は、ガラシャ・カルーナ。年齢は10歳。見た目は金髪のロングヘアーで、身長は146cm。目は青色の瞳をしている。ガラシャの両親はガラシャが生まれてすぐに離婚し、父は何処かへ行き、ガラシャは母の教会で生活していた。しかし母は病気で死に、ガラシャはここのシスター達に助けてもらい生きていた。
「んんん!!!届かないな・・・」
ガラシャは窓を拭いていたが、上まで手が届かなかった。そして近くを通っていた1人のシスターに体を抱え上げてもらった。
「ありがとう!」
「大丈夫よ。ガラシャちゃん」
頭を撫でてもらった。名前はエリカ・シェラード。年齢18歳の、金髪。髪は肩ぐらいまで伸ばしていて、目の色はガラシャと同じ青。彼女はガラシャにとって姉の様な存在で、いつもこうやってもらっている。
「背伸ばさなきゃね。外に出たら?日に当たるのも大切よ。それに日光に当たったら身長伸びるわよ」
「分かった!!」
ガラシャは扉を開けて、外に出た。そして手足をググっと伸ばした。
「はぁ。よし!今日も1日頑張るか」
教会の中に入り、聖書を読んだ。
〜数時間後〜
突然教会の扉が開いた。
「おい。誰か居るか?」
1人のシスターが男達の所へ向かった。
「何の用ですか?」
「そろそろこの教会も終わりだよなという話をしに来ただけだ」
「またその話ですか・・・ちょっと待ってて下さい」
シスターが裏へ行った。するとガラシャの母の後を継いだ、女性が男達の前へ行った。
「あのですね。その話はもうしないと言ったはずです。私達はこの教会をあなた達に譲る気はありません」
「あのな。見てみろこの教会をもうボロボロじゃないか」
指で壁を押すと、ごく僅かの小さな音だったが、ギギギという音がなった。
「この教会は昔からあるというのは、俺も知っている。だけどな。もう殆ど誰も来ていないという事は、殆どの人からは、忘れられている様な物。無くてもいい物なんだよ」
「そんな事ありません!!」
エリカが男達の前に出た。
「ここは私達の居場所なんです!特にガラシャちゃんの様に、小さい子にとっては、ここは家なんです!!」
「そんな事は問題じゃあない。それに今俺たちはここの責任者と話をしている。お前なんかの意見は聞いていない」
右に居た男に殴られ、エリカは床に倒れた。
「さてと。話を進めようか。別良いんだぜ?ここに居るお前ら全員を殴っていっても」
左にいる男が1人のシスターの前に立つと、急に右手で、そのシスターを殴った。
「あっ」
ガラシャは見る事しか出来なかった。そしてまた別のシスターも殴られた。
「あっ・・・あ・・・」
今度はガラシャの前に来た。
「子供だろうが老人だろうが関係ない」
男がそう言うと、今度はガラシャを殴ろうとした。
「うっ!!!」
「ガラシャちゃん!」
ガラシャが目を瞑った。しかし何故か殴られなかった。しかも男のうぐぁ!!という声が聞こえた。ガラシャは目を開けると、男は何故か吹っ飛ばされていた。
「お前!!今のはなんだ!!」
「まさか!お前!!!」
「え?なっ何?え?え??」
ガラシャは皆が自分を見て驚いていることに気付いたが、何故驚いているのかはわからなかった。するとエリカが
「ガラシャちゃん・・・いっ今の光っている手は・・・何だったの?」
「光っている手?なっ・・・何を言っているんですか?」
「そっそれよ」
エリカはガラシャの後ろを指差した。後ろを振り返ると、そこには眩しく光っている手があった。
「これは・・・これはなんなんですか!?!?」
「お前ら!なんで能力者が居た事を黙っていた!!!」
「私たちは何も知りません!!!!」
「嘘付け!!今!ここに!!能力者が居るじゃないか!!確実にあの!ガキが能力者じゃねぇか!!!」
男はナイフを出した。
イギリスでは能力者に対する差別は日本よりも酷い。というよりヨーロッパ全体が、能力者に対する差別が酷かった。それは魔女狩りをというのを見たらすぐに分かる。あの魔女狩りというのは、悪魔と契約し、キリスト教社会を破滅へと導く魔女を処刑する目的と言われているが、実際は何もしていない能力者を魔女などと言って、処刑していたのだ。今のイギリスは、昔に比べたら、すぐに裁判を起こしたり、処刑したりはしないが、それでも能力者に対する差別。というより恐怖は強く、能力者を殺す者が居る。しかも最悪なのは、能力者を殺しても、どういう訳か正当防衛として、罪にはならないのだ。
「能力者はぶっ殺す!!」
ナイフがガラシャを襲った。ガラシャは何も抵抗出来なかった。一瞬で、大人の男と、まだ小さい女の子の自分が戦っても、負けると直ぐに分かったからだ。しかし
「なっ!!」
光った手が、男を握り締め、投げ飛ばした。
「うっ!!」
「なっ!!これは!!この手は私を守ってくれている!?」
ガラシャは手を見て言った。