第11話 岩人間 その2
「全くよ。俺の顔にヒビが入ってしまったじゃないか。どうしてくれるんだよ?あぁ?」
茂の顔のヒビから血が出ていた。
「お前を必ず・・・ぶち殺す!!」
「それだけの骨折をしていてもか!!カッハッハッハッ!!!笑わせてくれる!!」
両手の拳を握り締め、左右から隆の顔面を殴ろうとした。
「さぁ!これで終わりだ!!睦月 隆!!!!」
「いいや。終わるのはお前の方だ!!」
隆は手からさっきの鉄の棒の欠片を出した。そしてそれを茂の顔面のヒビに突き刺した。
「ぐぁ!!なぁぁにぃぃ!!!何をしやがる!!!」
「必ず能力には弱点がある・・・。お前の能力は体を岩に出来る能力。だが!!!」
ぐぐぐと刺し込んでいった。
「岩に血が出るか?いいや出ない。じゃあなんでお前の体から、血が出ているのか。それはお前は体の内側までは、岩化させる事が出来ないという事!!つまり皮膚しか岩に出来ないという事!!という事は!!!」
ヒビからドンドン血が出ていた。
「このまま!!刺し込み!!電気を流してやる!!」
1000ボルト以上の電気がヒビから、流された。
「アァァァァァ!!!グァァァァ!!!!!」
隆の腕を掴んですぐに引き離した。
「くっ!!致命傷にはなった・・・か?」
隆の手からブシャと少し血が出た。
「き・・・さま・・・キィィサァァマァァ!!!!」
茂は隆に向かって突進してきた。
「危ねぇ!!」
横に避けた。茂の体は、壁を突き破った。
「くっそ・・・あぶねぇな」
立ち上がると、今度は真横の壁が突然壊れ、そこから、茂が出てきた。
「なっ!!!」
いきなりの事だったので、避ける事が出来なかった。
「うぐっ!!!!」
茂に当たった左腕にまた嫌な音が聞こえ、激痛が走った。
「死ねぇぇぇ!!!」
そのまま後ろの壁まで押された。
「くっそぉぉ!!!!」
激痛に耐えて、隆は茂の体を押して、横に自分の体をずらし、そのまま横に逃げた。ドゴン!!と茂の体が、壁にめり込んだ。
「どんだけだよ・・・」
隆の顔からも、血が出ていた。というよりもう隆の体は、傷だらけで立つだけでもやっとだった。
「さっきの突進が効いたな・・・」
足もガタガタと勝手に震えていて、自分の意思ではその震えを止められなかった。
「やっべぇぜ・・・。本当に今回の敵はかなりの強敵みたいだ・・・。タフ過ぎる」
壁から茂が出てきた。茂もさっきの電撃が効いたのか、体から煙を出していて、息も切らしていた。
「殺してやるぞ・・・。睦月・・・隆!!!」
隆は壁に凭れて、茂を睨んだ。そして小声でだったが、茂に向かって呟いた。
「・・・ろす・・・絶対に・・・今ここでお前を確実に・・・今度はもう逃さない!!!」
体中に電気が走っているのが一目で分かった。
「電気は俺には効かない」
「なら体内に直接送り込んでやる・・・」
隆は出来るだけの力を出して、茂に向かって走った。茂は左手を握り、アッパーをしようとした。
「ふん!!」
隆は顔を左に動かし避けて、ギリギリまで近付くと、右手で茂にアッパーをした。
「うぐぐ!!!」
手がまた骨折したが、そんなのもう関係ないという感じで、そのまま押し切った。
「あぐぁ!!!」
顎が砕け散った。その後左フックで茂の顔面を殴った。
「うぉぉぉ!!!」
「うぐっ!!!舐めんな!!」
しかし腹を茂の右手に殴られ、また後ろに吹っ飛んだ。
「うっ!」
壁にぶつかった。隆はゲホゲホと咳き込んで、口から血が出た。
「ゴホゴホ!」
「どうした・・・終わりか?ククク」
「てめぇ・・・」
体の骨がボロボロになっている隆はもう限界が来ていた。
「もし・・・はぁ・・・もし攻撃が出来たとしても、あと1、2回・・・よく考えて攻撃しねぇとな・・・」
「無駄だぜ。俺にはお前の攻撃なんてほとんど効かねえ。でもまぁ褒めてやるよ。俺をここまで追い込むなんてな・・・」
「・・・・・・」
隆は攻撃する方法を考えた。そして覚悟を決めた。
「次が最後だ・・・。次の攻撃で確実に・・・終わらせてやる!!!」
「カッハッハッハッ!!!やってみろ!!さぁ!!!来いよ!!!!隆ぃぃぃ!!!!」
隆は最後の力を振り絞って、茂に突っ込んだ。そして右拳を茂の顔面に飛ばした。
「学習力がねぇな!!!お前の拳なんてくらわ・・・」
顔に何かが当たり、その所為で顔にヒビが広がって行った。そして遂に顔の岩まで砕け始め、
「うぉぉぉぉぉ!!!感電死しやがれぇ!!!!!」
その砕けた部分から、さっきとは比べ物にならない程の電圧の電気が襲った。
「なぁぁ!!」
「今度は絶対に離さない!!!」
茂の顔を砕けさせたのは、隆の右膝だった。隆は右膝に体内の電気を全て溜めて、現在出せる全ての力を茂の顔にぶつけた。
次第に茂の体が元になって行った。そして隆は体内の電気を使い切ると、茂から体を離した。
「はぁ・・・はぁ・・・」
茂は丸焦げになって、その場で倒れた。
「・・・なんとか・・・勝て・・・た」
膝を落とした。力を抜くと、もう体が動かなくなった。そして隆もその場でバタンと倒れた。
〜数分後〜
「ふぁぁ。ここの道は人通りが少ないから、こういうエロ本を買って帰る時超便利なんだよなー。誰の目を気にする事なく、帰られるしねー」
霧矢が偶然工事現場前を通った。隆は右手を上げて、そのまま地面に落とした。それしか出来なかった。しかしその音は十分霧矢の耳に届いた。
「うん?あれは?」
霧矢はすぐに隆に気付き、隆を抱え病院に連れて行った。
〜病院〜
「隆くーーーーーーーーーーーんーーーーーー!!!!!!」
美伽が病室に飛び込んできた。
「なんだよ。やかましい。ここは病院だぞ」
「大丈夫なの!!!全身複雑骨折って!!!」
「あぁ。奇跡的に心臓とかといった、生命に関わる内臓は無事だったようだ。多少肺とかに傷があるから、息が前より長く吸ったりとかは、出来ないが、まぁ命に別状はないみたいだ」
美伽は隆の体を掴み激しく揺さぶった。
「無事で良かったー!!!!」
「痛い!!痛い!!!死ぬからやめろ!!!」
美伽の所為で本当に死にそうになった隆であった。