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嘘は内緒の始まり  作者: 凪野海里
11月
93/126

1話 衝撃

 頭が痛い。



 目を覚ますとカーテンから差し込む朝日がまぶしかった。

 体を起こすことはなく、寝返りを打ってうつぶせになると枕元にあるスマホを見つめた。


「朝、6時半……」


 いつもだったらあと30分早く目覚めるはずなのに、寝坊だ……。


 最近、頭が痛くてしょうがない。小野塚先生に殴られた後遺症なのだろうか。

 あの10月の事件のあと、僕はみんなの勧めですぐ病院に行くことになった。海さんはインフルエンザで無理したから、そのあとすぐ倒れて別の意味で病院に運ばれたし。



 まあ海さんの容体は思ったより大したことなくて、「インフルエンザなのに無茶をするんじゃない」とあとで担当医にしっかり怒られていた。珍しく彼女も反抗することなく、静かに従っていたのはちょっと見ものだったな。



 一方で僕はというと、殴られた左目は元から見えていなかったとはいえ、頭に衝撃が加えられたかもしれないからと一応、MRI検査も受けたりした。


「頭が痛い」と自己申告したせいもあったけど。


 そのときはまだ異常は見られなかった。そのあと浦園くんが、



「頭ってのは今は無事でも後から血がでてきたりとかそういうのあるから、なるべく定期的に来た方がいいぞ」



 そう言われたから一応通ってはいるんだけど。


 たしか明日検査の日だったな。



 洗面所で顔を水洗いしたあと、歯磨きをする。トースターにパンを入れて昨日の残り物を冷蔵庫から取り出して、それからテレビを点けた――。



 スマホがすごい勢いで鳴ったのはそのときだった。



「わっ、な、何!?」



 タイマーにしていたのかと思って慌てて手に取ると、着信だった。しかも徹くんから。



 首を傾げつつ、僕は「通話」ボタンを押した。



「もしもし、徹くん? 言っとくけど僕に遅刻の話はしないでね」



「雪くん、テレビ点けてる!?」



 全て言い終わらないうちにそんなことを言われて、僕は思わずきょとんとした。


 珍しく焦っているけど、どうしたんだろうか。



「点けてる、けど」



「次のニュースです」



 徹くんから言われたので自然と意識はテレビに向かってしまう。ニュースキャスターがちょうど次のニュースへ移ろうとしているところだった。


「S県の山奥に女性の遺体が発見されました。遺体の所持品によりますと、発見されたのは同県在住の小野塚帆花さん30歳と見られ」



 小野塚、帆花……。



 呼ばれたその名前に僕は思わずスマホを床に落とした。

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