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嘘は内緒の始まり  作者: 凪野海里
10月
89/126

8 作戦会議2

 蓮人の口から発せられた問題過ぎる発言に、最初はみんな開いた口がふさがらなかった。


「は、ハッキングだぁ!?」


「ダメだろ!」


「馬鹿やめろ」


「犯罪者になりたいのかよ!」


 ひとりの言葉を皮切りにしてあちこちから非難の声があがるが、蓮人は逆に「なんで?」と不思議そうな顔。


「もうすでに人を殺そうとしている人がいるんだから、ハッキングのひとつやふたつ安い犯罪でしょ」


「そ、そういうもんかなぁ」


 蓮人は開かれたデスクトップをにらみつけながら、カーソルをぐるぐる動かしてアイコンをポチポチと手当たり次第にクリックしていく。

 ハッキングをしようとしているはずなのだが、何をしようとしているのかみんな、まったくわからない。


「学校のセキュリティシステムに入り込むからきっと時間かかるよ。僕を待ってるより、みんなでさっさと話し合っといて」


 そう言うなり、蓮人はそれからパソコンに集中し始めた。話しているあいだも手は止めず、慣れた様子ですでに常人には理解できないところまでもぐりこんでいた。

 英語や専門用語だらけのタブが開かれていく。


 海は苦しそうな表情を浮かべながら「とりあえず」と口を開く。

 みんなの視線が彼女へと集まった。


「セキュリティに関しては春日野に任せよう……。次にどこから入るかだ。ルートはふたつ」


 海は2本、指をたてた。ブイサインになる。


 ひとつ、普通に階段をあがって廊下から教室に入る。これはいわゆる正面突破なわけだがリスクが大きい。基本入り口は廊下にあるという概念があるために、小野塚も通常のルートをいちばん警戒しているだろう。

 しかし利点としては、廊下側の壁は窓ガラスになっていないために見つかりにくいことだ。身を潜めて進んでいける。


 ふたつ、窓から入る。こちらは通常のルートとはほぼ反対だ。全面窓ガラスなためにちょっと体をのぞかせるだけでも見つかりやすい。仮にベランダで揉み合いになったら死ぬ可能性だってある。一方で、見つかりさえしなければあっという間に裏をつける。


 しかも窓から進むためのルートは、さらに3つほど存在する。


「3つ?」


 里香は自分で3本の指をたてながら、首をかしげた。

 海が疲れたようにため息をつきながらうなずく。


「ひとつは他のクラスの窓からでて、B組のベランダから教室にたどり着く方法。これがいちばんベランダにしては安全……。

 ふたつ目とみっつ目はちょい危険。上から行くか、下から行くか」


「え、上とか下って何?」


「屋上から降りるか2階からあがるか」


「どうやって?」


 また誰かの質問に、これ以上言わせんなよという顔を海はした。彼女としては一刻も早く雪を助けたいのだ。ここで立ち止まってはいられないし、彼女自身の猶予もある。

 質問した側にしたって、まさかという気持ちを抱えながらも質問した。


 そのとき、徹が海の意志を汲んだのか口を開いた。 


「屋上のフェンス乗り越えてそのまま3階のベランダに降りるか、それとも2階から3階のベランダをのぼるかでしょ?」


「こっわいだろ、それ!」


「嫌ならやらなくていい。わたしが行く」


「それはやめといたほうがいいよ。遠藤さんが行くなら俺が行くし」


「ちょ、徹」


 自ら名乗りあげた徹に、コノハは慌てたように彼を止めに入るが、「誰かがやらなきゃこいつが勝手に動くでしょ」と言って無理やり黙らせる。


「病気持ちがやるくらいなら、健康な人間がやったほうがよっぽど成功率は高い。あと何なら挟み撃ちしようよ。俺が窓から行くから、他の奴らが正面突破すればいい。そうすれば小野塚先生の注意もちょっとはそれるでしょ」 


「ああ、そうだな……」


 海がうなずいたその直後、保健室内において突然「よっしゃあ!」という大きな声が上がった。


 声の主はパソコンの前でずっと作業をしていた蓮人から発せられたものだった。

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