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嘘は内緒の始まり  作者: 凪野海里
10月
82/126

1 衣替え

10月編のスタートです!

 体育祭、借り物競争のひと騒動から、だいたい1ヶ月以上はたっただろうか。

 人の噂も七十五日……だっけ? まあともかく、あともう1ヶ月の辛抱だ。まったくもう海さんってば、冗談とはいえとんでもない爆弾を投げてくれたなぁ。


 僕が今学校でなんて呼ばれてるか、海さんは気にしてくれているだろうか。


「男に見初められた男」なんて不本意にも程がある!


 ちなみに海さんは「男好きの男」なんて呼ばれるかと思いきや、いやそもそもあいつは本当に男なのか疑惑が浮上し始めた。

 だとしたら僕のこの意味不明な肩書きも、さっさと消してほしいもんだけど。


 おかげで気楽に廊下を歩けやしない。廊下で誰かとすれ違うたびにからかわれるんだから。

 それはクラスメイトもしかりだ。こっちは「公衆の面前でコクられた男」みたいな扱いをしてくるから、まだマシといえばマシかも。



 10月にもなると、いよいよ秋が目立ってきた。


 空に浮かぶ鱗雲や黄色に葉の色を変えていく木たち。風は冷たく、朝起きるのもちょっとつらい。長袖が目立ってきた。学校でも衣替えが始まって、各々長袖のYシャツにたまにブレザーなどを着て、厚着する人まででている。


 僕はホームルーム前の、どこか騒がしい教室内でちょっとあくびをする。春だろうと夏だろうと秋だろうと、眠気は常に襲ってくる。


 今日はちょっと遅いな。


 僕は教室の1番後ろの席を見た。

 そこには遠藤海の机と椅子がある。各々の机にはすでにその持ち主がいるなかで、けれど海さんの席にだけ、まだ持ち主が表れていなかった。


 おかしい。いつもだったらそろそろ来てもいい頃なのに。

 さては寝坊かな? 


「どうしたの? 雪」


 隣の席の篠田が話しかけてくる。彼女の机の上には文房具が所狭しと並べられている。今日はまろさんでいくらしい。最近人気の、まろまゆの柴犬のキャラクターだ。


 まあ、決めたのは相変わらず僕なんだけどね。


「海さん、遅いなって思って」


「ああ~、たしかに」


 篠田も同じように後ろを振り返る。


 始業のチャイムが鳴った。それと同時に担任の舟久保(ふなくぼ)エリ先生と徹くんが入ってきた。

 舟久保先生が両手を腰にあてて、徹くんをにらむ。


「こーら、渡良瀬(わたらせ)くん。いつも言っているでしょう? 学校に来るならチャイムの前に」


「はいはいすみませ~ん」


 舟久保先生の叱責を軽く受け流し、彼は自分の席へ着いた。


 まだ、海さんは来ない。


「皆さん、おはようございまーす! さて、10月に入ってもう1週間ですね。寒い日も続いていますが、元気にやっていきましょう!」


 快活にしゃべる舟久保先生だったけど、その表情はすぐに曇った。


「……って、言いたいところなんだけどね。皆さんにちょっと残念なお知らせです。遠藤くんが、風邪引いちゃいました」


 ああなんだ、風邪か。

 季節の変わり目だし、そりゃ風邪くらい引くよね。


 僕は篠田と顔を見合わせて苦笑しあった。


「それがなんとインフルエンザらしいので、皆さんお気をつけください!」


 この時期にインフルエンザか~。


 ちょくちょくニュースでも、インフルエンザが流行しつつあるなんて言っている。秋だからって甘く見るなってことなのか。


「さて、でも遠藤くん以外は元気そうなので特に問題はありませんね。じゃあ、今日も張り切っていきましょー!」

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