本心
縦ロールさんにストーカー宣言をした後、急いで町に戻り、サバイバル生活に役立つ物を片っ端から買い漁り、急いで草原に戻ってきた。
そう言えば、ギルドにも宿屋にもお別れをいってなかったような気もするが、あの人達とは日頃あまり喋っていなかったから、まあ、いいか。
律儀に縦ロールさんは待ってくれていたみたいだ。
「お待たせしてすみません!」
「待ってないわよ!文句を言いたいだけよ。 ……なによ、ストーカーって!いやよ!ついてこないでよ!」
「お願いします!どんな雑用でもやりますから!」
そう言って僕は土下座をした。
「ちょっ!ちょっと!……………分かったわよ、勝手にしなさいよ。……もう。」
やった!!
「そのかわり、」
ビシッ!と縦ロールさんが指をさす。
「少しでも、その……、ひっ、卑猥なことをしたら、只じゃおかないわよ!」
そう言って手から火の玉を出す。
「もちろんですとも!」
僕は彼女の側にいるだけでも幸せなのだ。
「契約成立ね。」
もう日が暮れてしまった。
「どうして、あんたは、そんな、荷物で、歩いているのにっ、平気で、いるのよっ!」
縦ロールさんが、息を切らしながら言った。
中学のころ、毎日数十人の荷物運びをさせられてたからなあ。このくらいどうってこともない。
「そろそろ日も暮れますから、ここで寝ましょう。」
そう言って僕はテントを建てた。
「….….….….どうしてテントが一式しかないのよ?….….まさかっ!卑猥よ!」
そう言うと、縦ロールさんは両手で自分の体を守るように交差した。何をしているのだろう?
「そのテントは縦ロールさん用のテントですよ。僕は外で寝ますよ。」
「そうなの….….。なんか悪いわね…。」
「そんなこと気にしないでください。それよりもご飯が出来ましたよ。」
そう言うと、僕は店先で売っていた『一分でお米が炊ける土鍋(79800円)』を使ってご飯を炊いていた。
ちなみに『料理不要!袋を開けるだけカレールー(310円)』を使ってカレーライスにしてみた。
「….….….普通」
「….….普通だね」
普通だった。
僕は今までの人生で初めて幸せを感じている