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はじめての色欲
前の世界では、
毎朝鏡を見るたびに、絶望を味わってきた。
恋なんて出来ない。そんな自意識過剰にはなれない。
自然と、恋の仕方を忘れてしまった。
仕方がない。
『恋をしないのは人間らしくない』
人間の顔をしていない僕には関係ない。
『もしかしたら両想いかもしれないよ』
そんな希望はもうゴミ箱の中だよ。
『見た目なんて気にしないよ』
全人類の目を潰したらそうなるかもしれないね。
そうやって言い訳して言い訳して言い訳して、自分の気持ちを押し殺してきたんだ。
そうやって僕は我慢してきたんだ。
そう、我慢してきたはずなのに