地獄の試練
「ひぃ、ひぃ、ひぃ」
文字通りヒイヒイ言いながら、僕は巨大な岩を運んでいた。
「ほら遅いぞ!さっさとしないと日が暮れちまうじゃねえか!」
目の前のオリバーさんは僕の3倍の大きさの岩を軽々しく運んでいた。
「よーし、終わった。お疲れさん。」
オリバーさんはそう言うと、僕はその場にへたりこんでしまった。
「よーし、帰るぞ。」
「帰るって、どこへ?まだ、宿も、とってない、です。」
オリバーさんに連れられるまま大量の『村人の手伝い』をやらされ、宿をとるどころか休む時間さえなかった。
「大丈夫、すでに予約済みだ。」
「ようこそ!俺の家兼、宿屋兼、村の会議室へ!」
そこには大きな家が、ドン!と立っていた。
「嫌ですよ!四六時中オリバーさんと一緒なんて!」
僕は猛抗議した。これじゃあ休むに休めない!
「別に、他に行く宛てがあるならいいが……。この村には宿屋なんてものは、ここ以外無いぞ?」
「そんなぁ…。」
僕は何回絶望すればいいのだろうか?
「早く入れ、姫がお待ちだぞ?」
フローラさんらしき人がいた。
服が割烹着、目が充血し、自慢の縦ロールもグシャグシャに、魂が抜けてるロボットのように機織りをしていた。
「……ふっ、ふふふふふっ、終わった、 わ。」
バタンッ!
フローラさんが倒れた。
「大丈夫ですか!?フローラさーーーん!」
「ふふっ、最後に見るのが、あんたの顔なんて、 最悪ね……」
……ガクッ。
「うわあああああああ!!!」
「……大げさな奴らだ。」
労働環境が悪すぎる!二人で抗議することにした。
「もっと仕事量を減らしてください!過労死しちゃいますよ。」
「そうよ!それと休憩時間をもっと増やしてよ!」
「仕事量は極めて普通だ。お前らの基準が低すぎなだけだぞ?それと姫、姫は効率が悪すぎるんだ。もっとテキパキとやれ。」
くっ、横暴だ!
「別に俺としては雇う必要なんて無いからな。逃げても良いんだぞ。」
そうか!逃げれば……
「ただその場合、餓死か牢屋かの2択だがな。」
ハッハッハ、とオリバーさんは笑いながら部屋に戻った。
「我慢よ我慢。いつか必ず出てってやるんだから!」
そう言うと、フローラさんもふらふらとしながらも、自分の部屋に戻っていった。
あれ?僕の部屋は?