疑問
町から出て一週間がたった。あの屈強な追っ手も来ないまま、魔獣などを狩りながら進んでいった。
まあ、
狩るといっても、縦ロールさんに任せっきりなんですけどね…。
一応槍も買っておいたので、「次に会った魔獣は、僕が倒します!」と、意気揚々と戦いに行ったのですが….。
ボロボロになりながら、逃げ帰ってしまいました。
普通こういった所で、自分の隠された力が目覚めるはずじゃないのか!?
なのに、槍は刺さらない、ぜんぜん避けられない、縦ロールさんは簡単に倒しちゃう。 酷い!あんまりだ!
縦ロールさん曰く、「一般人が魔獣を倒せるわけないじゃん….」と言っていたが、僕は一般人じゃない、異世界人なんだ!
….….….もういいや、異世界人=チートなんて、マンガの見すぎだったんだ。
僕が少し絶望していると、雨が降ってきた。だんだん強くなる。
「どこか雨宿りできる所を探しましょう。」
とは言ったものの、そう簡単には見つからず、雨はだんだん激しさを増す。視界が悪くなっていく。
さ迷うこと一時間、洞窟のようなものが見えた。そこで休むことにした。
「やむ気配が無いですね、今夜はここに泊まりましょう。
」
そう言って僕はテントを広げた。
身体中濡れて寒い。
縦ロールさんは相当疲れていたようですぐに寝てしまったようだ。
「….すぅ、すぅ」
テントの中からリズミカルな呼吸が聴こえる。
縦ロールさんは誰から見ても美人だと思う。
(因みに僕は誰から見てもモンスターに見えるらしい。)
そんな縦ロールさんはいつ見ても高貴なオーラが出ている。何故だろう?
考えても仕方がないので、魔獣が来ないよう見張りをする。
「…ん?」
洞窟の奥に『扉のようなもの』がある。
………不気味だったので、近づかないでおこう。
ザアっと雨が降るなか、僕は眠った。




