珍賢の冒険
初体験、坊さんだよ!
家の親父はろくでもないバカ野郎と
俺は思っていたが満更じゃないな…と、納得をした。
普通は息子が悪さをして警察に呼ばれたりするもんだがなあ。
俺は高校には行かないが
俺の人生で一番ホットでハッピーな経験ができると
高校なんかどうでも良いわい。
中学の家庭科で習った性教育を復習を兼ねて実習になるようなら
俺は一つの学習を学んだ事になる。
俺には光明が見えてきた。
勝手に考えられるからこれが幸せなんだなあ。
葵ちゃんって、どんな可愛い娘なのかな?
俺より一つ上かあ。
ならば上に乗せれば……ウヒッ!
夕方になってきたな。
吊り鐘を鳴らしている。
あの孝かな?
『ゴォーン、ゴォーン』
うるさいなあ。
これも修行なのかな?
俺は山根ばあさんに言われた離れに行った。
おかみさんが持って来た着物は、使用人の孝が着ているのと同じような甚平だった。
待てよ!
着物の間から紙が落ちた。
あれ?
『珍賢さん、住職のいない時にいらしてね。ウフンよ。読経も習いなさい。なんなら口移しがいいかしら?珍賢さんが来てくれて、寺は若返りますよ。
またね、美穂りんより』
美穂りんだあ。
俺はマジに坊さんになろうかな。
美穂りんと葵の間を渡り歩く、一匹のサムライ……
なーんちゃってね。
てがみわよこすのは
俺を意識してるからだなあ。
意識とはすなわちラブだなあ。
ラブはイコール、家庭科で学習した性教育だなあ。
あれなくして人類はいない。
誰か有名な哲学者の言葉かな?
いや、いや、ちがうよ。
俺が勝手に言ったんだなあ。
甚平に着替えて手紙は障子に挟んだ。
山根コイイばあさんが
「あらあ、甚平を着た姿は坊さんだよ。早く、お風呂に入り綺麗にアチコチと洗うんだよ、裏側もだよ。なんなら洗うの手伝うか?」
えーっ?
見られたくないす!
「あの〜、実は出べそだから恥ずかしいす。一人で洗います」
「ふうん。葵ちゃんが洗うと言ったら?」
えーっ?
「そりゃ〜もう、話が違いますよ。出べそだって、脱腸だって洗ってもらいますよ。光さす、混浴かな!!」
山根ばあさんは頭にきて
「とっとと、入れよ。葵には夜、会わせてやるよ。おかみさんが、住職とほにゃららしてる時によ」
えーっ?
住職とほにゃららしてる時って …
分かるのかな?
葵ちゃんに夜、会うために綺麗に洗うか。
「出たら、夕飯だよ。おかみさんと住職さんのは使用人のアイツが毎回、運ぶんだ。じゃあな!」
「はーい、幸せだなあ!」
俺は一番風呂に入りながら
お寺に来た幸せに浸っていた。
どんな事が待ち構えていようが考えい。
そこが珍賢らしき所でもあった。
春の今宵は若者を
幸せな気分にさせていた。
俺の幸せは俺の手中に?