第2話 珍賢の幸せな日々?
珍賢は部屋の中を見渡した。
和風の部屋にはテレビが一台と廊下の先にトイレが有った。
珍賢は障子を開けて外を見た。
あれが賄いのおばさんかな?
化粧はしていない素顔のおばさんか。
おばさんは俺に気づいたようで
俺に
『おいで、おいで』
の、仕草をしている。
俺は何だろう?
おばさんには興味は無いんだけどなあ。
俺は新入りだし……しかた無しに
おばさんの所に行った。
「あの……何ですか?」
そのおばさんは見れば見るほど
俺の趣味の範囲外のような顔と雰囲気をしていた。
おばさんは
「あんたは誰なの?あんたから名乗るもんよ。新入りのお坊さんかな?名前は?」
鋭い話し方をするな。
「俺は今日からこちらで世話になる本名は尚武、寺の名前を珍賢と言います。それが何か?」
「別に……何か?って、喧嘩こしな話し方だね。私の言いなりになれば、飯は大盛だし…焼き肉は霜降が食えるんだけどなあ。あとさ、住職と先妻の娘の葵は私とは仲良しさ。内密に私の弟子になりなさいよ」
うー?
なになに、この
おばさんは飯は大盛と焼き肉は霜降をくれるのか!
娘の葵とも合わせてくれそうだな。
おばさんの弟子か?
住職の弟子に、おばさんの弟子な……。
おかみさんとは読経仲間になれたし
ふ〜ん。
「おばさんの名前はなんて言うんですか?」
おばさんの急に怒り出して
「わたしゃ、おばさんではないよ。こう見えても、アソコからここまでピッカピッカだよ。歳は40前だよ、寺のおかみさんと同い年だ。笑うなよ、名前は『山根コイイ』だよ、笑うなよ」
俺は笑いを止められずに
「アハハ、アハハ……苗字と名前をくっつけて読むと『ヤマネコイイ』だあ。アハハ…」
「笑うのは止めろ!大盛と霜降と葵は要らないのか。バカ!だから、サブネームは『カネ』さん、って呼んでよ。おかみさんは美人だから……珍賢は……ウヒヒだね。今夜はあの棟に来なさいね、ご飯や風呂はあそこでするから。男性が一人いるんだ。雑務係りの戸田孝28歳が一緒に行動するが、奴は変わりもんだからな。じゃあな、弟子よ、言う事を聞くんだな!」
「はい、はい。言いなりになりますよ。ハーレムみたいな寺は
俺の夢の楽園です。葵ちゃんにも会いたいなあ!弟子で、お願いいたします」
「はいよ、じゃ、今夜は焼き肉にするからね、入門祝いだね。肉は寺では禁止なんだけど、住職さんも肉は好物なんだよ。だから、食べているのを知っても無視してくれてるよ。またな!」
俺はお辞儀をして別れた。
庭には若い男性が植木の手入れをしている。
あれが戸田孝かな?
俺は山根コイイの弟子になり
内密に色々と手引きをしてもらえる。
俺の若さの塊は目的を果たせそうだ。
ここがハーレムなら三年以上はいたいなあ。
俺は部屋に戻り
夕飯まで寝転んでテレビを見ていた。
「トントン」
誰か来たなあ。
「珍賢さん入るわよ」
おかみさんだあ。
「なあに?美穂りん?」
「おほん、住職さんも一緒よ。明日から着る物を持って来たのよ。またね!」
なんだあ。
住職もいるんだあ。
「はい。ありがとうございます」
美穂りんに住職には見えないように
ウィンクをして
「明日ね!」
ふーー、美人だなあ!
ハーレムかあ。