おかみさんの色気に珍賢は……
えーっ娘がか!
珍賢は部屋にはいると
住職の奥さんの美穂が猫と戯れていた。
美穂のうなじのしろさと少し見えた足の白さに
〝ゴックン″
と、唾を飲みながら
珍賢は見ていた。
「俺がその猫になりたいす!良いなあ。猫はどこを舐めてました?あそこら辺りかな?ウフッ!猫はオスですよね?」
美穂は着物の裾を直しながら
「これはメスよ、可愛いでしょ。名前はまだないの。何が良いかしら?」
猫はメスかあ。
女とメスの愛は凄いなあ。
「名前は、何かな?うーん?模様が色々だから『マダラ』
なんて?呼ぶ時は『まーちゃん』だよ」
「珍賢はさすがね、この部屋は空いていたから時々、まーちゃんにナメナメしてもらいあそんでいるの」
「そうかあ。俺はさ『おかみさん』と、呼ぶからね。俺の夢が叶いそうだ。嬉しいなあ!」
「えーっ?夢は坊さんなの?うちの旦那は…いや、住職とは相性が合わないのよ。なんて言うのかしら?一緒に寝たくないの。あの巨体でイビキはうるさいし、欲は弱いし……私は満たされずに、いつも妄想をしているの。だってこのボディよ。まだまだ……ウフンよね」
「何さ?旦那はダメなの?」
「ダメではないけど……もの足りないわ。やっぱりね、結婚には一番大切な事よ。珍賢さんは訓練しなさいな」
訓練って?
手が疲れるなあ。
「そうですか。その悩みは俺が訓練をしてから解決してあげますよ。ウフツ」
「珍賢は所で何故に、この寺に来たの?」
「住職さんから聞いてないですか?」
「聞いていたような、いないような……あの人は念仏を唱えるのが商売だからね、いつも念仏を言ってるように聞こえるのよ」
「念仏かあ。嫌いだなあ、漢字が嫌いだからなあ。俺は父親のやらかした事の後始末屋で無理矢理来ました。バカな親を持つと子供は不幸ですよ。
所が所がだよ。美穂りんと会えたもんね――」
おかみさんは立ち上がり
「美穂りんって?誰ですの?」
「決まり金ですよ。おかみさんは美穂さんでしょ。美穂りんはおかみさんですよ!」
「あらあ〜そんなに気に入られたの?嬉しいわあ。後で、住職がいない時にお手並みを拝見したいわ!」
やっとその気になりましたか?
「お手並みですね。何ですか?アレだよね?」
「そうよ!念仏のお勉強をして結果を拝聴するわ、ウフン」
なあんだあ。
「うちにはね、住職の前の奥さんの子供がいるのよ。私にはなつかない、憎らしい娘がね」
えーっ
早く言ってくださいよ。
「いくつですか?名前は?まだ無いとか?」
「あの娘が10歳の時に私がここに来たから反抗されてね。今は、洋館風の離れに住んでいるわ。高校も行けないバカな娘よ。歳は16歳よ」
俺は又々、むずむずと体全体がしてきた。
「16歳は良いですね!名前は?」
「珍賢さんも追求しますね。娘は葵って、いうの。賄いのカネさんが面倒をみているの。私を母親だとは受け入れないのよ」
そうかあ。
又、楽しみが増えたなあ。
葵かあ。
おかみさんとファースで
セカンドに葵かあ。
おれも妄想の世界に入り込んだな。
「珍賢さん、またね。住職がうるさいから行くわね、ウフン」
おかみさんはまーを抱いて俺の部屋から出て行った。
おかみさんが座っていた辺りには
縮れた毛が沢山落ちていた。
あれかな?
俺は憎らしい父親に
再び感謝していた。
(ハーレムかあ)
意外に幸せは直ぐそばにあったりして。