第18話 間幕 皇都
もともと皇帝の寝室だったが、病気に倒れてから半分執務室と化した父の部屋へ入った時、泰誠は珍しいものを目にした。
「父上?」
皇帝が寝台の背もたれに背を預け目を閉じながら、柔らかく微笑んでいたのだ。父である皇帝は穏やかな性質だったが、笑ったり、楽しそうにしたりといった表情をあまり目にしたことがなかったのだ。
「父上。泰誠です」
二度目の声かけで、意識が覚醒したのか明誠がゆっくり目を開けた。
「楽しい夢でも見られていたのですか?笑っておられましたが」
水差しから水をコップに入れながら、泰誠がたずねた。
「那雉と同調していたんだ。宝珠と一緒に旅している男が面白くてな、那雉も気に入っているようだ。まだ若くて面倒見の良い優しい男なんだが、那雉のことを焼き鳥と呼んでるんだ。」
「神鳥をですか?」
泰誠は眉をひそめたが、明誠は楽しそうだった。
「ああ。お前も私も、幼いころから自由は少なく、側近候補の友人はいても同等に笑いあえるような友を得るのは難しかったろう?那雉と同調して一緒に旅をしていると、若い時に戻って身分も何も関係のない友と過ごしているみたいでな。」
その気持ちはわからないでもない。
泰誠は複雑な顔をした。
「それと宝珠は南陽で新しい仲間を得たようだよ。小さな狼獣人の少年だ。この国にはびこる貧困やいろいろな問題に直面しながら色々と悩んでいるみたいだ。もうすぐ、三人で東江に入るようだ。おまえも頼誠も東江で宝珠を保護できるよう動いてくれ。それと陽誠と雪花の動向は十分気を付けてくれ。」
父の言葉に泰誠は頭を垂れた。
「かしこまりました。」




