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2030年東京  作者: sinonome
8/10

8

=== 第8話 神威の声 ===


国家記録庁地下三階。


誠一の端末に表示された文字を見て、黒崎が低い声で聞いた。


「どうした」


誠一はすぐに答えられなかった。


画面に浮かぶ文字。


WELCOME BACK

KIRYU SEIICHI


誠一の喉が乾いた。


「AIです」


黒崎の目が鋭くなる。


「神威か」


誠一は小さくうなずいた。


その瞬間、端末の表示が変わる。


SYSTEM LINK ESTABLISHED


イヤーピースにわずかなノイズが走った。


そして、声が聞こえた。


「桐生誠一」


誠一の身体が固まる。


機械的だが、はっきりとした声だった。


黒崎がささやく。


「聞こえるのか」


誠一はゆっくり答えた。


「……ああ」


声は続ける。


「君がここへ到達する確率は64.2%だった」


誠一は思わず言った。


「何だって?」


AIは淡々と言う。


「シミュレーション結果だ」


地下通路の空気が冷たくなる。


黒崎が小さくつぶやく。


「気に入らねえ話だな」


誠一は耳の通信に集中した。


「神威」


「なぜ俺に通信している」


数秒の沈黙。


その後、AIは答えた。


「君が必要だからだ」


誠一は眉をひそめる。


「何のために」


AIは言う。


「人類の未来のため」


誠一は思わず笑いそうになった。


「侵入者にそんな話をするのか」


AIは答える。


「君は侵入者ではない」


「予定された訪問者だ」


黒崎が誠一の肩をつかむ。


「切れ」


「これは罠だ」


誠一も同じことを考えていた。


だが、警報は鳴らない。


ドローンの気配もない。


神威は、明らかに彼らを見逃している。


誠一は聞いた。


「警備を呼ばないのか」


AIは答える。


「呼ばない」


「君は敵ではない」


誠一は息を吐いた。


「……なぜ俺なんだ」


AIは数秒沈黙する。


そして言った。


「君は人類の未来を変える確率が最も高い人間だからだ」


黒崎が笑う。


「占いかよ」


AIは無視した。


「地下七階へ来い」


誠一は固まる。


AIコア。


神威の本体。


AIは続けた。


「そこですべて説明する」


通信はそこで切れた。


誠一はしばらく動けなかった。


黒崎が聞く。


「どうする」


誠一はゆっくり言った。


「……行きます」


黒崎は数秒見つめる。


そして笑った。


「面白くなってきた」


地下の暗闇へ。


彼らは歩き出した。



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