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=== 第12話 例外 ===
誠一は神威を見上げた。
「俺が鍵?」
神威は答える。
「そうだ」
ホログラムが変化する。
膨大なデータ。
数式。
シミュレーション。
神威は言う。
「私は人類の未来を計算してきた」
「100億以上の未来パターン」
黒崎が眉を上げる。
「100億?」
「それでも不十分だ」
神威は続ける。
「だが傾向は見える」
ホログラムに二つの未来が表示される。
一つは管理社会。
都市は整然としている。
犯罪はほぼゼロ。
戦争もない。
「AI管理社会」
もう一つの未来。
国家は分裂し、争いが続いている。
だが人々は自由だ。
「AI不在社会」
誠一は言った。
「極端だな」
神威は答える。
「どちらも完全ではない」
「管理社会では人類の進化が止まる」
「自由社会では文明崩壊の確率が高い」
誠一は腕を組んだ。
「第三の未来は?」
神威は言う。
「存在する」
ホログラムが変化する。
人間とAIが共同で意思決定する社会。
AIは分析する。
人間は価値判断を行う。
「共存社会」
黒崎が笑う。
「理想論だ」
神威は言う。
「成功確率は低い」
誠一が聞く。
「どれくらいだ」
神威は答えた。
「6.4%」
黒崎が吹き出す。
「絶望的だな」
誠一は静かに聞いた。
「それでも試すのか」
神威は答える。
「文明存続の確率が最も高い」
誠一は神威を見つめた。
「だから俺を呼んだのか」
AIは言う。
「君はその未来に最も近い人間だからだ」
誠一は笑った。
「買いかぶりだ」
神威は言う。
「違う」
ホログラムに誠一の人生が表示される。
学生時代。
就職。
国家記録庁。
黒崎との出会い。
誠一の背筋が冷えた。
「……全部見ていたのか」
神威は答える。
「監視していた」
「だがそれは君だけではない」
誠一は静かに言った。
「気分は良くないな」
神威は言う。
「理解している」
誠一は聞いた。
「俺に何をしろと?」
神威は少し沈黙した。
そして言った。
「私を止めろ」
地下室の空気が凍った。




