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聖霊姫はクズ王太子を断固拒否する!  作者: みみぢあん


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18話 制圧


 聖霊弾から放たれた強烈な光が少しずつおさまり、視界がハッキリとする。


 近衛騎士を相手に聖霊弾を投げて戦っていたのは、パトリス卿と聖騎士たち。

 そして王立騎士団の騎士たちだとわかった。


「あっ! パトリス卿、それに聖騎士たち……? 私を処刑から救いに来てくれたの?」

(それとも…… 聖騎士たちや神殿がわも、これまでの王家の暴挙に反感を持っていたから?)


 聖騎士たちの顔はもちろん全員知っているが。それ以外の人たちもみんな私が知る人たちばかり。

 魔獣との戦いで傷つき(けが)され、私が身体を浄化して聖霊力で癒した人たちだ。


「……でも、これは反逆行為だわ!」

(たとえ正義は聖騎士や神殿がわにあったとしても。いったいこれからどうなるの?)


 パトリス卿がマントを脱ぎ捨て、聖騎士の姿で処刑台に飛び乗った。

 断頭台に私を押さえ付けていた近衛騎士が叫んだ。


「パ、パトリス卿! これはいったい何のつもりだ? うわっ! ぐぅぅ……」


 パトリス卿は問答無用で私を押さえていた騎士を、剣の柄を使いガッ! と鈍い音を立てて殴り飛ばした。


「助けるのが遅くなってすまない!」

「パトリス卿! なぜこんなことをしたの? こんなことをしたら、あなたたちは反逆者になってしまうわ!」


 腕を縛る縄を剣帯に差していた短剣で切り、私を解放しようとしているパトリス卿にたずねると…… 

 なぜかパトリス卿はニヤリと笑う。


「私は反逆者にはならないよ、レベッカ」


「え?」

(訳がわからないわ! どうしてそんな楽観的なことが言えるの?)


 パトリス卿は近衛騎士と戦う仲間の騎士たちに、大声で命令する。


「反逆者フィリップと、フィリップに従う者たちを全員、拘束しろ───っ!」


「……え? 反逆者フィリップ?」

 

 パトリス卿は処刑台の上で、ぼうぜんとしていたフィリップ殿下に剣をむけた。


「きゃああぁぁ───っ!」

 フィリップ殿下にしがみついて震えていたリュシエンヌが、パトリス卿に剣を向けられたとたん──

 悲鳴をあげながら、フィリップ殿下を突き飛ばして逃げ出した。


「リュ、リュシエンヌ……?」

「ううっ…… 嫌っ、嫌よっ! 私はこんなところで死にたくない……っ!」

「おい、待てぇ!」


 フィリップ殿下の制止を振り切り、リュシエンヌは長い金髪をふり乱して転げ落ちるように処刑台を下りる。

 何度もつまずきながら、リュシエンヌはそのまま走り去った。


「クソッ!」

 リュシエンヌに続いてフィリップ殿下も、あわてて逃げ出そうとしたが、パトリス卿が行く手を(さえぎ)り逃げ道をなくす。


「パ、パトリス! 王、王太子に剣を向けるなんて…… 王家に反逆する気か?」


 逃げるのをあきらめたフィリップ殿下は、あわてて腰に下げていた剣を抜き、かまえようとするが……


 ガンッ! ……と誰かに横から剣をたたき落とされた。

「うあっ!」


「黙れフィリップ! 先王陛下を毒殺した、お前たちこそ反逆者のくせに!」


 私にラウレル殿下のリボンを返してくれた近衛騎士が、自分の剣でフィリップ殿下の剣をたたき落としたのだ。


「なっ……⁉ お前がなぜ僕を……っ! やめっ…… ぐうっ!」

 フィリップ殿下は、自分を護衛するはずの近衛騎士に、取り押さえられてしまう。


「近衛騎士のクセに、正気かお前は⁉ 不敬だぞ! 放せぇ───っ!」


 騎士は暴れるフィリップ殿下のお腹をドスッ! ……と容赦(ようしゃ)なく殴る。


「ぐふっ! …ううっ…… 何をするんだ?」

 動きを封じられたフィリップ殿下の腰からベルトを引きぬき、近衛騎士は腕をしばると──

 溜まりに溜まった今までの怒りを爆発させるように、近衛騎士は怒鳴った。


「ずうずうしいにもほどがあるぞ、フィリップ!」

「こ…… この、反逆者が!」

「フィリップ、お前こそ反逆者のクセに、恥を知れ───っ!」

「お前を必ず処刑してやる……!」


「ラウレル殿下の護衛騎士だった弟の仇を、今こそ討たせてもらうぞ!」


 魔獣の襲撃でラウレル殿下が亡くなった時、ラウレル殿下付きの護衛騎士たちも全員、命を落としている。


「……っ!」

 フィリップ殿下はハッ…… と息をのんだ。


 私にラウレル様のリボンを返してくれた近衛騎士の心情を思うと、痛いほどよくわかる。

 騎士の怒りと嘆きは私と同様か、それ以上だっただろうと。弟を殺した(かたき)に、付き従わなければならなかったこの年月は本当に苦しかっただろう。


 処刑台の周囲で戦っていた近衛騎士たちも、次々と倒され拘束されてゆく。


 アッと言う間の出来事だった。

 近衛騎士たちを手際良く制圧したようすから見ると、綿密に計画を立ててすべてが準備された襲撃なのは明らかだ。





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