17話 閃光
聖霊力がもどった私を見て、大騒ぎになった処刑場で──
パンッ! パンッ! パンッ!
処刑台につぎつぎと何かを投げつけられ、砕け散る音がした。
その瞬間。
投げつけられた何かから閃光が放たれ、あたり一面がまばゆい光につつまれる。
「きゃああぁぁ───っ!」
「うわぁっ!」
「なんだっ?」
周囲の人たちは顔をかくして、強い光を避けようとしゃがみ込んだ。
ほとんど身動きができない私は光の正体を見極めたくて、目を細めてまぶしい光を見つめ続けた。
「……うっ!」
(まちがいない。これは聖霊力の光だわ! ……それも聖霊力をいっきに爆発させて、魔獣を殲滅するときに使う“聖霊弾”の光に似ている)
まぶしい閃光は一瞬で消えると思われたが、長い間輝き続けた。
「やっぱり…… 普通の光ではないわ!」
“聖霊弾”の光は一瞬で消えることはない。弾に仕込まれた聖霊力がその場にとどまるかぎり輝き続けるのだ。
私の予想通りに王宮前広場はしばらくの間、光の洪水で満たされた。
ラウレル様に依頼されて“聖霊弾”の制作に参加したから、私にはわかる。
『魔石を細かく砕いた粉に、レベッカの聖霊力をギリギリまで注ぎ込んでほしいんだよ』
それを特殊な聖紋の刻印をした小瓶に詰めて使うのだ。
『でもラウレル様。そんなに力を込めたら聖霊力が不安定になって、少しの衝撃で聖霊力が爆発して魔石が壊れてしまうわ』
爆発と言っても瘴気が集積した核を命の源とする魔獣には、聖霊力の浄化作用が致命傷となるが。
人間には聖霊力が放つ光がまぶしいぐらいで害はない。
『うん。もちろん取り扱いには注意しないといけないけど。……でも、聖霊力が無い騎士たちが、魔獣を相手に聖霊力を使えるようにしたいんだ』
王国の建国当時。“聖霊弾”は強い聖霊力を持った精霊姫が、たくさん存在していた頃に作られた対魔獣戦用の武器だった。
現代では聖霊力を爆発させられるほどの大量の力を注げる精霊姫がいなくなり、今では“聖霊弾”は失われた武器とされていたけど。
そんな古の武器や秘宝がゴロゴロと王家の宝物庫に残っていた。
ラウレル様は有用なものを見つけては、私の聖霊力の量なら使えると失われた技術を復活させていたのだ。
──つまり現存している“聖霊弾”はすべて、私が魔石の粉に聖霊力を注いで作った物で。
「ラウレル様が亡くなって以来、私は1度も作っていないのに。どこから“聖霊弾”が出てきたの?」
“聖霊弾”は貴重なうえに、取り扱いが難しい武器だから、ラウレル様が厳重に管理していたけど。
最後に作った物は確か、パトリス卿のお父様の辺境伯に譲渡したおぼえがある。
ラウレル様が亡くなる前に浄化した、あの辺境伯領の領主だ。
まぶしい光の洪水にまぎれて民衆の中から飛び出してきた人たちが、剣を振り上げ次々と近衛騎士たちに切りかかった。
恐らく…… その人たちが“聖霊弾”を処刑台に投げつけたのだ。




