7杯目 驚きのブラッディシーザー
さて、私もここバー・ディアマンでアルバイトを初めて間もなく1カ月が経つ。
最初のうちはお酒の名前が全く分からずどうしようかと思っていたけど、ちょっとずつ覚えてきた。やっぱりよく出るお酒って言うのは覚えてしまうものだ。
うちのバーではカクテルよりもウイスキーがよく出る。マッカラン、バランタインと言ったスコッチ、あとはアイラと呼ばれるくっさーいウイスキーもよく出る。アードベッグ、あとはマスターがいっつも飲んでるラフロイグこれらもよく出るのよねー。
逆にカクテルはまだまだ。似たような名前のカクテルが多すぎる!
「マスター、3番テーブルのお客様にブラッディしーざー?って言われたんですけど、これブラッディメアリーのことですか?あのウォッカとトマトジュースのやつですよね?」
『あら、真田さんブラッディメアリー覚えたのね。ただ惜しい!ブラッディシーザーと言うカクテルもあるのよ。』
「へー。そうなんですねー。ってことはこれもトマトジュース使うんですか?」
『ブブー』
そう言いマスターはバツ印を顔の前に作った。32歳のクセに。
『ちょっと飲んでごらん。』
私の前に明らかにトマトジュースのような真っ赤な液体の入ったグラスを差し出した。
「トマトジュースじゃないですか。」
いや、これは違う!?どこかで飲んだことのある味だ!何だろう?
『冷たいミネストローネみたいな感じでしょ?』
「確かに!ミネストローネですこれ!」
『トマトジュースに貝の出汁が入ってるんだよ。』
「へー。そんなのあるんですねー。」
『お店によってはソルティドッグのようにグラスの縁にセロリ塩をつけたり、スティックセロリを刺す所もあるのよ。』
「ソルティドッグってあのウォッカとグレープフルーツのグラスの縁に塩付いてるやつですね!なるほどー。」
「お客様ブラッディシーザーお待たせしました!タバスコはお使いになられますか?」
『タバスコはいらないや。ブラックペッパーもらえる?』
「かしこまりました!」
マスターによるとタバスコだけでなく、このお客様のようにブラックペッパーを入れたり、ソースを入れるお客様もいるようだ。バーテンダーの作ったカクテルを更に自分でアレンジしてオリジナルカクテルを作るのか。カクテルは奥が深い!
「真田さん、お疲れ様でした。今日はもうゲスト引いてきたから上がっちゃって。裏に賄いあるからチンして食べて。」
『かしこまりました!頂きます!お疲れ様でした!』
この仕事終わりの賄いが私の楽しみのひとつ!
マスター料理上手なんだもん!
更にバイトの時間がどんなに短くても出してくれるので貧乏学生には本当に有難い!
さてさて、今日の賄いはー。。。
きゃっほー昨日の残りの牛すじカレーだわ!
うちの店はバーだけどフードにこだわっていて、たくさんフードメニューがある。なので当然全部が全部売り切れる訳ではない。そうするとこういうご馳走が私に廻ってくるのである!
いっただっきまーす♡
「食事中ごめん。真田さん、これで1カ月で仮採用終わり。それでさ、来週来なくていいや。」
『え!?』
来週から来なくていい?不採用ってこと!?。。。
カレーの味が遠のく晴子であった。
突然のクビ宣告!?晴子のアルバイトは果たしてどうなる!?




