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4杯目 黄昏ギムレット

さて、どうしたものかと。

もう2度と行くこともないであろうバーにわざわざスーパーのコロッケを取りに行くべきか。

きっとコロッケを取りに行ったら店中の笑い者になるであろう。一生あのadidasのネタにされるであろう。小心者の晴子はそれすら嫌だ。

帰宅したのが19時くらいで今が19時58分か。こんなくだらないことで私は1時間もベットの上で悶えている。はあ。本当に嫌になる。

♪〜♪〜♪〜♪

!?スマホが鳴る。見たことない番号だ。

「もしもしー」

『もしもしー。真田晴子さんのお電話でお間違いありませんか?』

「はい、真田です。」

だれだあ?

『私先ほどいらっしゃって頂いたバーディアマンのシラサキと申します。』

!?!?!?

『真田さん、ビニール袋お忘れになられましたよね。そこにですね、パスケースと履歴書と写真。あとコロッケ入っておりまして。』

あああああああ!

そうだ、私はスーパーのコピー機で免許証のコピーを取り、スーパーの前の顔写真撮るやつで履歴書用の写真を撮ったのだ。それをポーンっとコロッケのビニール袋に入れたのだ!

『良かったー。パスケースに名前と電話番号書いてあったからなんとか連絡出来ましたよ。』

「すみませんすみません!今すぐ伺いますので!」

『はーい。お待ちしております。』

助かった。こういう所は教員の両親のお陰だ。

大切な物には名前と連絡先を書け!流石学校の先生。


まさかまたこの道を往復することになるとは。

と言うか往復した後の往路か。

『ガチャ』

重いドアを開ける。


そこには数時間前に高い声でマシンガントークしていたadidasはおらず、ビシッとスーツで決めた七三頭の男がいた。そして

「いらっしゃっいませ。」

ネットリとした声で来店の挨拶を私に告げた。


「そちらの手前のカウンターでお待ち下さい。」

「あっ、はい。」

先ほどのBOX席とは違うカウンターに通される。席も違うが店の雰囲気、そして七三頭の雰囲気の違いに言葉が出ない。

『シャカシャカシャカシャカ』

心地よいシェイカーの音が響く。

「ギムレットでございます。」

1番奥のマダムの前に見たことも聞いたこともないカクテルが置かれた。

かっけえー!!田舎娘には刺激が強すぎる。

こういう洒落たバーに大人は1人で来てカクテルを飲みながら黄昏るんだ!私もオトナのオンナになったら黄昏ギムレットやりてー!!


あまりにも凝視していたからであろう、マダムと目が合った。恥ずかしい。慌てて視線を外す。

「君はわすれんぼさんだね」

目の前にコロッケ袋が置かれた。

「ありがとうございます!ご迷惑お掛け致しました!」

「多分お母さんの字でしょ。感謝ですね。」

adidas改め七三頭はネットリと喋る。数時間のお前はどこ行った!?

「では、私は失礼します!ご迷惑お掛け致しました。」

そう言い私が席を立とうとした所

『ちょっとマスター、あのお嬢ちゃんは新しいアルバイトかい?』

マダムが私を見て七三頭に聞いた。

ギムレットには早すぎる。まさに晴子に送る言葉です。

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