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人喰い天使と異世界征服計画  作者: 甘語ゆうび


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事情という名の好奇心

 彼?に手を引かれ通された私は、先程の部屋とは違って暗がりを感じる部屋室内に、内心身震いしていた。明かりらしい明かりは無く、部屋の明度を保ってくれているのは、壁に掛けられたランプや松明くらいだろう。


「さぁどうぞ、座って」

「し、失礼します⋯⋯」


 恐る恐るといった様子で椅子に腰掛ける私を見て、目の前の人?は可笑しそうに笑った。


「ふふ。そんなに怯えなくても。取って食うわけじゃあるまいし」

「そ、そうですよね⋯⋯」

「あ、それよりもそうだ。人間にとってはここ暗いよね。今明かり付けようか」


 彼?が指を空中で円を描くように軽く動かすと、部屋に備え付けられていたらしい照明が付き、簡易的な明かり達が役目を終えたように皆消えてしまった。


「さて、遅くなってしまったけれど、自己紹介をしようか。僕はシュヴィ・ペグリー。ジルクから話は聞いてると思うけど、奴隷商とついでに骨董品屋をやって生計を立ててるよ。表のあれはそれだね。知ってて来る人もいるし、知らずに買う人もいる。後は⋯⋯性別は生物学上は男で、目は見えてるから心配しないでってところかな。ただ、変な話、僕は一応男なんだけど、性別にそんな強いこだわりって無くて。だから、貴女が僕を女だと思いたいのならそれでもいいよ。まぁ、それで僕の身体の性別が変わるなんてことは無いけど」

「な、なるほど⋯⋯。あ!私は番塲叉那です!よろしくお願いします」

「ふふ。よろしく、シャナ。ところで、君はなんで自分がここに来たか分かってる?」

「え?いえ全く。ジルクも説明してくれませんでしたし」


 私の発言に、彼は呆れたように溜息を吐き、私を見つめた。


「全く。ジルクは他者との信頼関係を築くということを多少は覚えた方がいいだろうね。あれだから堅物は⋯⋯。まぁいいや。とりあえず説明してしまおう。こほん、単刀直入に言おうか。番塲叉那、君には僕の奴隷になってもらおうかと」

「そっかそっか。奴隷⋯⋯。ん?奴隷?」


 私の聞き間違いだろうか。この人は、私を奴隷にすると言ったのだろうか。


「そうだよ。そして、ついでに気に入った奴隷を一人買ってもらおうかと」

「はい~?何それ。一応元罪人?なんで私が奴隷になるってことに関してはギリ納得⋯⋯したくないけど出来る!けど、なんで私まで奴隷を買わなきゃいけないわけ?金無いけど」

「お金なら問題ないよ。ローン組んであげるから」

「わぁ~。嫌な親切ぅ⋯⋯」

「嬉しいでしょ?あぁそれと、もう一つの質問に答えるなら、ただの在庫処分だとでも思ってくれ。殺処分というのは、僕もあまり好きではないから」


(ぶ、物騒な響き~⋯⋯)


 私は奴隷というものを見たことがないが、動物と似たように扱っていることに、内心恐怖してしまう。


「というわけで、早速見に行こうか。奴隷契約は後程貴女が選ぶ奴隷と一緒に結んでしまおう。そしてついでに、道中で僕が今回のことを引き受けた理由を話そうか。さぁ、おいで」


 私は彼に手を引かれるままに、部屋を後にした。


 ***


「さて、何から話そうか」


 暗い廊下を、彼が持つランタン一つで歩いていく。先が見えないせいで、無限に続いているような恐怖を感じる。


「まずは、今日ジルクから声を掛けられたところからか。恐らく、貴女が処刑宣告されたすぐ後なのかな?ジルクから電話が来てね。処刑が撤廃となった代わりに奴隷として売り出すから、引き取ってくれないかって。彼から電話が来るなんて余程のことだし、なんか面白そうだから引き受けたんだ」

「お、面白そうって⋯⋯。私が言えた口じゃありませんけど、仕事にそんな私情挟むのって、どうなんです?」

「いやだって、異世界人だよ?僕はこの国の人程研究熱心とかではないけど、貴女に興味はあるんだから。ただ商品として売り出すなんて勿体ないでしょ?だから、誰かが買ってしまう前に僕が貰おうかと。丁度この前取られてしまったせいで、今は奴隷いないしね。それに、事前にジルクから承諾は得てるし」

「へ、へぇ~⋯⋯」


(と、取られた?)


「まぁ、僕の事情はそんなとこ。さぁ、着いたよ」


 シュヴィが扉を押した途端、鼻を摘まみたくなるほどの異臭に目を瞑ってしまう。檻に入れられた獣達が、扉を潜って入ってきた私達を一心に見つめてくる。シュヴィに餌を求めていそうだったり、単純に私に好奇の目線を向けているようにも感じてしまう。


「な、なにここ⋯⋯」

「売れ残りとなっていたり、色々とわけあって返品されたり、その他諸々の事情を抱えている子達が居る倉庫。この中から選んでもらおうかなって。でも、もし気に入った子がいなかったら別のところ行こうか。うち基本返品不可だから、ゆっくり選んでいこう」


(やっぱり私が奴隷買うことは確定事項なんだ⋯⋯)


 嫌な気持ちは拭えなかったし、色々と腑に落ちない部分はあったが、今は大人しく選ぼうと、部屋を見て回る。私が一歩歩く度、檻に捉えられている人とも動物ともいえない獣達の瞳が私を舐め回すように見つめてくる。


(とりあえず、ああいうのは論外でしょ。絶対買わなきゃいけないなら、大人しいのがいいなぁ。ずっと一緒にいるわけなんだし)


 なんとなくそう思いながら、商品を見ていく。大人しそうなのはいるが、大人しそうというよりは、私に怯えているように見える。とても買おうという気にはなれない。


「うーん。⋯⋯ん?」


 薄暗い廊下を歩いていた私の視線は、ある檻へと止まる。その檻に居たのは、天使だった。比喩でもなんでもなく、本当に天使の羽が生えていたのだ。


「綺麗⋯⋯」


 私がそう呟いた時、蹲っていた天使が顔を上げる。その美しさに触れた途端、時が止まったような、不思議な錯覚に陥った、気がした。


「ん⋯⋯?きみ、だれ?」

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やっと出せた……

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