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旧プロトコルの同行者  作者: 八四一 十々
第1章 最初の人間
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第16話 覚醒同士

三人は合図と共に駆け出していく。歓声が飛び交う中、アークは上から応援していた。


(頑張ってくれ三人とも。シエルも無茶をするなよ...あとさっきなんて言ってたんだ?)


リオは二人から距離を置いて進んでいく。


「ナユタを目視で確認。私一直線に狙って来てるわ。そっちは何か確認できる?」


遮蔽物の上を飛び回るリオは、素早く下を駆ける二人に伝える。


「こちらは目視は出来ませんが、確実に二人が近づいて来ています。カナメは私を、レントはヒツヤを狙っていると思います。」


シエルもリオに伝える。


「了解。私はこのままナユタと戦闘を開始する」


リオの前方からナユタが近づいてくる。するとリオは表情が曇り始める。


「この気配……まさか!」


リオは焦りながらも二人に信号を出す。


「二人とも!逃げて!」


その時、二人の前方約50m先の遮蔽物からレントが飛び出してきた。


「来た……!」


シエルとヒツヤはミラージュブレイドを両手に持ち、立ち止まった。


「今すぐ逃げよう!」


ヒツヤは叫ぶ。

二人は間髪入れずにその場から離れた。

レントは2人の背中を追いながら仲間に伝える。


(こちらナユタぁ。もうバレちゃったー)


カナメが応答する。


(リオが偽ナユタのコアメモリを読んだのね)


「ヒツヤ、もしかして……」


シエルは走りながらヒツヤに問いかける。


「うん。多分、あれはレントじゃない。レントの姿をしたナユタだ。リオさんはナユタの姿をした偽物の心を読んだんだ!」


ヒツヤの答えを聞き、シエルは笑みを浮かべる。


「なるほど、そういう事ね。まるであなたみたい」


一方その頃、リオはナユタの姿をしたレントを追いかけていた。


「どうした?先程までこちらに向かってきてたくせに、何故逃げる?」


レントは逃げながら答える。


「私があなたと戦って勝てるわけないでしょう」


レントは遮蔽物を活用して時間を稼ぐ。

しかし、二人の距離はあっという間に縮まる。

取り押さえられながらもレントは必死にリオのコアメモリを狙う。


「捕まえた。遅すぎるわよ…ウサギ跳びでも追いつけるわ」


リオは上からレントに飛び乗り、押さえつける。


「へ、へぇ。ナユタで見ていましたが、やっぱり覚醒者ってこんなにも超越しているんですね。ふん。いつも冷静でかっこいい覚醒者である隊長がウサギ跳び……可愛いけどなんというか、共感性羞恥がギリ勝ちまs」


リオは遮るように首を切断。

首は転がり遮蔽物に当たって止まる。

レントは一瞬で意識を失った。


「敵と対峙した時、まず首を狙え。首を切断すれば確実に意識は飛ぶ。コアメモリをただ闇雲に狙いに行くなよ。新人でも思いつくことだ。あ、もう意識ないんだった」


リオはコアメモリを奪い、急いで仲間の元に向かう。


その頃ヒツヤたちは必死にナユタから逃げていた。


「ナユタ……速い。このままじゃ追いつかれそう」


ヒツヤは不満をこぼす。


シエルは焦りを感じながらも足を動かしていた。すると、


「シエル、あなたの必殺技はナユタに通用する?」


ヒツヤは目を見てシエルに尋ねる。二人は立ち止まった。


「一瞬の隙さえ作れれば可能性はある。でも、正直今の私じゃ到底勝てそうにない。その質問するってことは、何か考えがあるのね」


シエルはじっとヒツヤを見つめていると、ヒツヤは考えを伝える。


「そんな危険なこと出来ないよ...」


シエルはヒツヤの作戦をあまりよく思わなかった。


「わかってる。でも相手は覚醒者だ。確実に反応してくれるはず...」


ヒツヤの鋭い目つきを見ると、シエルは少し暗い顔をする。


「やりたくない...でも、ヒツヤがそこまで言うなら」


少し悲しそうな顔をするシエルを見たヒツヤは若干嬉しさを感じ、肩の力が少し抜ける。


「ありがとう、シエル...」


そして二人は覚悟を決めた。

二人はコアメモリを取り外し、互いに入れ替えて差し込む。それから再びコアメモリを取り外して交換する。コアメモリを自身に差し込まずに手に持っている。


「なるほど。私たちは体を入れ替えてそれぞれになりすます。でもヒツヤが共鳴しないことは相手は知っている。だから直ぐに私たちが入れ替わっていることに気づかれる。だから体を入れ替えたあと、もう一度コアメモリを取り外して交換する。でもコアメモリを差し込めば意識が元に戻るから差し込まずに手で持っておく。でもこれは時間制限という大きなアドバンテージを相手に与えることになる。」


「うん。シエルは私のフリをして戦って急に技を出せば相手は混乱するはず。」


二人は互いのコアメモリを服の中にしまう。


「わかった。行ってくる」


そう言ってヒツヤの体に入ったシエルはそのまま反対方向へ駆け出し、ナユタの方へ向かっていった。


「ん、どうしたぁ?逃げるのやめたのかぁ。もしかして俺とタイマンはる気?まだ新人だっていうのに度胸あるねぇ」


ナユタは立ち止まり、呆れたような顔つきで問う。

目の前のシエルをヒツヤと勘違いしている。


「ええそうよ。あなたと1体1。正面からやり合うの」


その瞬間、シエルは動き出す...


「ルミナスブレイク!」


そう言ってシエルは口から水蒸気を出す。

周りの遮蔽物を高速で蹴り飛ばしながらナユタの周りを飛び回る。反射する度に風を切る音が響き渡る。ナユタは突然の動きに驚く。


「おいおいおいちょっと待ってくれ...なんだその動きは。新人の動きじゃない。全く...コアメモリが共鳴しないのは厄介すぎるなぁ……行動が読めない」


(コアメモリを外してもう1分、これで決めきりたい……!)


シエルはヒツヤの笑顔を思い出し、決心する。

後ろの遮蔽物を蹴り飛ばし真っ直ぐナユタに向かって飛んでいく。

シエルはヒツヤのコアメモリを取り出し、背中で隠す。


(この感覚……後ろ!)


ナユタは瞬時に気配を読み取り振り返る。

両者ミラージュブレイドを構える。


(コアメモリが共鳴しないとはいえ、これほどの反応速度...!でも、ここまで来れれば一か八か……)


(ミラージュブレイドを持った左手を前に突き出し体を横に捻っている。恐らく全身を捻って右手による大きな攻撃……当たると思って思いっきり振るつもりだろう)


ナユタは一瞬でシエルの動きを考察。

計算されたような動きで刃をシエルの腹部に振りかざす。

空気を切り裂くような鋭い音。

獣を狩る目でシエルを睨む。

シエルは攻撃に気づいた瞬間、ヒツヤのコアメモリを盾がわりに、攻撃を防御する。


(お願い……!)


ナユタは目を大きく見開いた。


(……は?)


ナユタは焦り、手を止めた。

驚いた隙に、シエルのミラージュブレイドはナユタの首を貫く。

刺傷からは水がこぼれ出している。

しかし、そんな状況でもナユタは落ち着いてカナメに連絡する。


「カナメ、首を刺された。しかもチューブが傷ついた。」


ナユタは全身全霊で最後の力を振り絞り、片手で刺さっているミラージュブレイドを掴む。


(首を刺されてるのになんて力……!まずい)


その頃、カナメはヒツヤと対峙していた。

しかし、連絡を聞いたカナメはヒツヤを無視し、ナユタのところへ急いでいた。ヒツヤは状況を理解し、すぐにカナメを追う。


(まずい、シエルの方に向かった!何とかして止めないと...でも速い!)


カナメは二人の姿を視界に捉える。


(見つけた)


カナメはシエルの首を攻撃する。

ヒツヤはカナメの背中を追いかけながら、必死に頭を回転させる。


(まずい、視界が暗くなってきた。コアメモリを抜いてから時間が経ちすぎたんだ。もう私のことなんか誰も警戒してない。私がシエルじゃないってバレたからだ。でもこれはチャンスかもしれない...)


ヒツヤは持っていたシエルのコアメモリを自身の体に差し込んだ。


「はっ!」


シエルは自分の体で意識を取り戻す。

瞬時にミラージュブレイドを取り出す。


(あとは任せて)


シエルは低い姿勢でカナメへと飛んでいく。

歪んだ残像は場を横切った。

目にも止まらぬ速さでカナメの両足を切断した。


「……っ!」


その時会場は一瞬静まり返る。そして大きな歓声が会場を取り巻いた。

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