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旧プロトコルの同行者  作者: 八四一 十々
第1章 最初の人間
13/23

第13話 影から見る戦い

カゴエ地区の控え室にて。

4人は二回戦目に向けて準備していた。


「次の二回戦のメンバーだが、ヒツヤは観戦だ。」


リオはヒツヤの目を真っ直ぐに見つめる。


「わかりました。三人とも気をつけて」


ヒツヤの言葉を聞き、当然だと言わんばかりの顔で腕を組むアーク。それを見て隣で苦笑いするシエル。

三人とも準備万端のようだった。

そして、本番を迎える……


会場は熱気に包まれていた。カゴエ地区とルルクメ地区の戦いが始まろうとしている。

観客席からは歓声が響いている。

ヒツヤは観客席の隅に座り、静かに戦場を見つめていた。


(今回は出ない……でも、学ぶことはたくさんある)


心の中でそう決め、ヒツヤは双眼鏡のような視点でリングの上の3人を見つめた。カゴエ地区の3人、アーク、シエル、リオは落ち着いる様子だ。ルルクメ地区の3人は作戦を立てているように見える。


「いいかパトス、作戦通りにな」


「わかってます」


隊長ロゴスとパトスは覚悟を決めている。


「おい、エトス。聞いているのか?」


ロゴスはエトスの肩を掴む。


「聞いてますよぉ。隊長。作戦通りに、でしょ」


エトスは軽々しい態度で敬礼する。


「お前、やっぱり変だぞ」


ロゴスはエトスの不気味な笑みを不審に思った。


「そんなことないですよぉ。ほら、始まりますよっ。」


ロゴスとパトスは目を合わせる。


「それでは、第2回戦、カゴエ地区とルルクメ地区のコアメモリ奪取試合、開始!」


アナウンスが会場に響き渡ると両者は勢いよく飛び出していく。ヒツヤはルルクメ地区の動きを見て不審に思う。


(あれ、3人とも広がって動いてる。って、まさか...)


すると3人は、片っ端から全ての遮蔽物を壊して回る。会場には凄まじい破壊音が響く。


「おいおい何だこの音は。あいつらまさか遮蔽物を……!」


アークは驚いた顔をしてシエルの方を見た。するとリオも口を開く。


「確かに去年のことを思い出してみれば、彼らからしたらこれは最善手かもな。この行動はどう考えてもシエル対策だ。」


「そうか。最後シエルがコアメモリを持って逃げ切り勝ちをしたんだ。シエルを捕らえるのは至難の業。向こうはちゃんと考えてる」


するとシエルは遮蔽物が壊れる轟音を聴きながら少し微笑む。


「私には有効かもね。でも、そのおかげでアークが暴れやすくなるんじゃない?」


アークに視線を移すと、既に誇らしげな表情をしていた。


「ああそうだ。今それを言おうとしてたんだ」


そう言うとアークは走り出した。


一方その頃、ルルクメ地区はーーー


「おいおいこれやっぱやりすぎなんちゃう?」


パトスはロゴスに心配の声を漏らす。


「やりすぎなくらいが丁度いい。全力で叩き潰しに行くぞ」


「ねぇ、こんな回りくどいことしないでさぁ。早く戦いたいよー」


エトスがため息をつくように声を上げ、面倒くさそうな顔をする。


「エトス。これは戦略だ。協力しよう。」


「あーそうだったね。そんなに焦りすぎる必要は無いか。にしても残念だなー。あの子は今回休みだなんて」


エトスは観客席を眺める。


「止まれ!シエル、アーク。奴らすぐそこまで迫ってきてる」


遮蔽物の奥から轟音が近づいてきている事を感じ、リオは声を張った。すると突然煙の向こうからエトスが飛び出した。

それはシエルに向かっていた。


「まずは1人目ー!」


エトスは笑いながら突っ込んだ。シエルは咄嗟にミラージュブレイドを取り出し刃を受け流す。

キリキリと音を立てながら刃が擦れる。


「シエル、飛べ!」


アークが叫ぶ。

シエルは空高く飛び上がる。


「空中じゃあ攻撃、交わせないんじゃない?」


エトスが上を向いた瞬間、斬撃がエトスを襲う。


「おっと」


エトスはミラージュブレイドで咄嗟に守る。


「面白い。斬撃が伸びた!」


笑いながらゆっくりとアークの方を向く。アークはミラージュブレイドを強く握りしめる。

持ち手から青白い稲光が走っている。

アークは飛び出し、もう一度刃を振り払った。

すると、刃先から閃光が勢いよく伸びる。


「へぇー面白いね。大体30cmくらいかな。伸びる斬撃、初めて見るよ。ほら隊長さーん。こいつの胴体がら空きだから攻撃するなら今だよー」


すると背後にロゴスが刃を向けて迫っていた。

しかし次の瞬間、リオが突然目の前から消える。


「遅い。怖くて目を瞑っちゃったかな?」


居ないはずの背後から嘲笑うような声。


(ちっ、バケモンかよ)


ロゴスは距離をとる。


(今日も始まった……隊長の高性能な煽り)


アークは横目でリオを見ながらそう思う。


「向こうの隊長は私が相手をする。」


リオは刃をロゴスに向けて微笑む。


「助かったリオ。隊長はそっちに任せる。このテンションが高いの俺たちに任せてくれ。シエル、そっちは大丈夫か?」


アークはエトスを警戒しながらシエルとコンタクトをとる。


「ええ、問題ないわ。それより、一人がずっと瓦礫の中に隠れてるわ。常に警戒して」


シエルが瓦礫に刃を向ける。


「了解。さっさとこいつに蹴りをつけるぞ」


アークはミラージュブレイドに力を込めて攻撃を仕掛ける。


「スパークレイド!」


その姿はカマキリのようだった。

エトスは伸びた光を切ろうとするも、刃は貫通して切れない。


「なるほど。実体はないわけね...でも伸びた斬撃に触れたら簡単に体が切断してしまうだろう。はぁこれは厄介だ」


シエルは後ろからエトスの首を目掛けてミラージュブレイドを振るった。

エトスは振り向きもせず、ミラージュブレイドを後ろに構えて斬撃を止めた。


「防がれた……」


シエルは急いで距離をとる。

エトスはシエルの方を見向きもせず、再びアークの元へ駆け出す。

アークは攻撃を繰り広げる。


「おっと」


エトスは攻撃を躱しきれず、左腕が切断される。


「あーあ、まずいね。でも悪くない」


その時、観客席にいるヒツヤは戦いを見て不審に思っていた。


(アーク、気づいてっ!)


ニヤリとするとエトスは右手のミラージュブレイドをアークに向かって投げた。


「単純な投げ攻撃...」


金属がぶつかる音。

すぐにアークは簡単に攻撃を跳ね除ける。

その瞬間、突然アークの視線が傾く。


「なにっ……!」


アークの左足が切断されていた。切断面から金属部品が飛び出し、ビリビリと火花が散っている。


「油断してましたね」


そこにはパトスが立っていた。

彼は瓦礫の中にコアメモリを隠し、背後から奇襲したのだ。


「どういうことだ...これはまるで、あの時と同じじゃないか……」


アークは訓練場での出来事を思い出し、その場に跪く。


「アーク!」

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