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旧プロトコルの同行者  作者: 八四一 十々
第1章 最初の人間
12/23

第12話 覚醒者

「やったね。2人とも!」


ヒツヤは感極まる。


「ああ。お前らもな」


「ヒツヤかっこよかったよ。」


こうして3人は笑顔で話し合い、第1回戦目を終えるのであった。


(よくやった。3人とも。)


上からリオが見下ろしてふっと微笑む。すると後ろから話しかけられた。


「ヒツヤ、あの子は機転が利くね。さすがリオの隊員なだけあるな」


「指揮官...」


背後にはエンテレキア、カゴエ地区の指揮官レオンが立っていた。


「まだ戦力として不足している部分もあるが、これから成長していけば必ず強くなるだろう」


レオンは会場を見下ろしている。


「ええ。私もそう思います。それに彼女は、戦闘力以外にも何か特別な力があるように感じます。」


「同感だ。私は指揮官に就任してから200年以上も経つが、あんなに感情豊かな人物を見たのは初めてだ。その影響か、君たちの隊の雰囲気は少し変わったように感じる」


「確かに、ヒツヤが来てから私たちの隊は結構変わりました。何故か楽しく感じるのです」


リオは笑顔なヒツヤを見つめながら少し微笑んで言う。レオンはリオの顔を見てそっと立ち去りながら話す。


「まだ試合は終わりじゃない。今後も頑張るんだよ」


「はい。今年も必ず優勝します」


リオは固い決意で応えるのであった。


3人は控え室に戻ると、そこでリオが待っていた。


「見てたぞ。ほんとによく頑張ったな」


ヒツヤは微笑みながら出迎えてくれると、リオに抱きつく。


「緊張したよー。勝ててよかった〜」


「そうだな」


リオは優しくヒツヤの頭を撫でていると、シエルが口を開く。


「リオ、次の対戦地区はどこになったの?」


「次の対戦地区は前回準優勝したルルクメ地区だ。1回戦目でケロクイ地区を完封してる。手強いぞ」


するとアークが腕を組んで静かに喋り出す。


「ルルクメ、覚えている。去年かなり苦戦したからな。とすれば、相手はあの3人か」


「あいつら?」


「そうか、ヒツヤは去年いなかったもんな。ルルクメ地区隊長のロゴス、パトス、エトスの3人組の連携が強い。特に隊長のロゴス、彼はとても冷静で的確に状況を判断する」


するとリオはヒツヤの肩に手を置く。


「ヒツヤ、次の試合はお休みだ。私たちに任せてくれ」


ヒツヤは笑顔で答える。


「わかった。気をつけてね。あれシエル、何をそんなに考えてるの?」


シエルは浮かない顔をしていた。


「うーん。自分だけが使えるような技を考えたいんだよね」


「前もそんなような事言っていたな」


アークは腕を組んで考える。


「シエルは機動力が抜群だから、素早さを表すような名前がいいな。そういえば必殺技があったな」


「うん。私の得意とする技はある。けどそれは相手が一人で周りに壁がたくさんある時しか使えないの。でも...確実に倒すよ」


「まさに必殺技だな」


ヒツヤはそれを聞き、じっくり考えた。


「それがあの時言ってたルミナスブレイクだね!」


「う、うん...」


シエルは照れくさそうに下を向いていると、リオが声を出した。


「それはコアメモリが覚醒しかけている証拠だ。それによって高速な移動と判断ができるのだろう。まだ完璧にとは言えないが相手の動きを直感的に感じる領域まで到達しているのは確かだ。」


「あの、その覚醒ってどういう...」


ヒツヤはリオに尋ねる。


「覚醒とは、相手がこちらに何かを伝えなくても共鳴してさえいれば、相手は何を考えていて、どんな行動をするのか大体を予測することが出来る。エンテレキアでコアメモリが覚醒している者は計10人いるらしいが、私があったことがあるのはコガヤシ地区の隊長、ナユタだけだな。一応私も覚醒者だ。」


ヒツヤは関心しながら話す。


「へー。10人しかいないすごい人たちなんですね。しかもその一人がここに...」


部屋が静まり返る。


「ん、私……も?ぇぇえええ!」


ヒツヤは驚いてリオの方を見た。


「そんなに驚くことじゃないよ。ヒツヤだって頑張ればいつか覚醒できる時は来るよ」


リオはそっとヒツヤのコアメモリに手を置く。


「覚醒……いつかリオさんにも追いつけるぐらい強くなります」


ヒツヤの目には希望が満ち溢れていた。


「そうだね。じゃあ私たちはヒツヤがまた戦えるよう次の試合で勝たなきゃ。ほら、アークも何か言ってあげな」


「ああそうだな。俺もいつか隊長みたいになりたいと思っているよ。目指すところは同じだな。」


アークはぎこちない笑顔を見せた。


「うん。一緒に頑張ろ!シエルもね」


「ええ。もちろん。」


シエルは笑顔で答えた。

ヒツヤは仲間と同じ目標に向かっていけることに微かな幸せを感じていた。切磋琢磨し、技と友情を磨く。そんな仲間たちのいる日々が続いていく、はずだった。


一方その頃、ナガワシ地区の控え室にてーーー


「おい、ルミエール、起きろ」


ヴェールがベッドで寝ているルミエールの肩を優しく揺らす。


「あれ、私…そうだ。負けたのね」


ルミエールはゆっくりと体を起こし、静かに呟く。その隣の椅子に座っていたソルも、申し訳なさそうに口を開いた。


「隊長、ごめんなさい。俺、まだまだでした。あの共鳴しない子にあっけなく…」


ソルは下を見つめている。


「いいんだ。もう終わったことなんだから。それより、自分たちの弱点を見つける方が大事だろ」


ヴェールは優しい声で言う。ルミエールは俯きながら答える。


「私は、あの素早い子に為す術もなかったわ…隊長がいなかったら、速攻でやられてた。もっと強くならないと…」


「俺もだ…あの体格の良いやつの攻撃が重くて、つい怯んじまった。もっと抵抗できたはずなのに…」


ソルとルミエールは、悔しさをかみしめながら小さく呟く。


「俺は、姿を見せていなかった一人に完全に油断してた…俺たちは負けたんだ。だから、俺たちを負かした奴らには、次も勝ってもらわないとな」


ヴェールは気を引き締めて立ち上がる。2人もそれに続き、静かに共鳴の準備を整えた。そして、観客席へと足を運ぶ。3人は静かに控え室を後にし、それぞれが次の戦いに思いを馳せていた。

負けた悔しさと、勝った仲間への信頼。次こそ、必ず――。

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