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旧プロトコルの同行者  作者: 八四一 十々
第1章 最初の人間
11/23

第11話 共鳴する力

(よし、ルミエール、ソル、俺の後に続け)


(了解)


(わかったぜ隊長)


ナガワシ地区の隊長、ヴェールは2人を連れて遮蔽物の合間を縫っていく。するとルミエールはふと不審に思う。


(ねぇヴェール、変よ。さっきまで3人の反応があったのに、今は2人しか反応がない。一人消えた!……)


ルミエールは2人分の共鳴しか感知できないことに不安を募らせる。


(どういうことだ?共鳴波を抑える方法なんて聞いたことないぞ)


一方その頃、ヒツヤたちは3人で話している。


「あいつら、全員固まっている。場所がすぐにバレるが、お互いを守りやすい。それに3人がそれぞれの場所を見張れば360度対応できる」


アークは小さい声で呟く。続けてシエルも囁いた。


「ヒツヤのコアメモリは共鳴しないから、今頃二人しか反応がないことに驚いてると思う。私たち二人が相手をしてるうちにヒツヤがこっそりコアメモリを盗むのが有効かも」


「うんわかった」


ヒツヤは頷いて離れた遮蔽物の陰に隠れた。


「俺たちも行くぞ」


アークとシエルは息を合わせて相手の元に向かった。


(隊長、こっちに二人近づいてきてます)


シエルとアークの共鳴波を感知したルミエールは戦闘態勢をとる。


(そうだな。2人とも、ミラージュブレイドを構えろ)


3人は辺りを見渡して警戒する。


「そんなにガチガチに固まって、警戒しすぎじゃないか?」


アークはどこからか挑発する。ソルは辺りを警戒しながら言い返す。


「これもちゃんとした戦略だが。そっちこそ二人しかいないが大丈夫か?あと一人は何をしている?」


すると上からヴェールの背後目掛けてシエルが奇襲する。ヴェールはミラージュブレイドで攻撃を受け流す。


(噂通り速いな。だが位置がバレては意味が無い)


ヴェールは空中に飛び出し、シエルの首元目掛けて斬撃を振るう。

シエルは刃先を紙一重で避け、風圧が頬をかすめた。

目の前を青い斬撃がほとばしる。

その瞬間、ルミエールの斬撃が下から突き上がる。金属音が火花のように散り、空気が震えた。


「2対1だぞ。どうする?」


ヴェールはシエルを煽る。

アークとシエルは別れてしまった。

シエルは、ヴェールとルミエール。アークはソルと対峙している。

ソルはヴェールの方を見て腰に手を当てる。


「ふっ。仲間がピンチだぞ。助けに行かなくていいのか?」


すかさずアークはソルに攻撃する。


「よそ見するほど余裕なのか?」


アークとソルのミラージュブレイドがぶつかり合い火花が散る。


「危ない危ない...さっさと倒して3対1にしてやる」


お互い刃を振り払り、距離をとる。

2人は落ち着いて相手の目を見つめ、動き出すタイミングを見計らっている。




「あなた、シエルよね。でも噂に聞くほど強くは無いわね。やっぱり2対1じゃ勝ち目は無いわよ。あと一人は何をしてるわけ?」


ルミエールがミラージュブレイドを構える。


「確かに、これじゃあ不利だね。でも、数的優位だからといって油断してると足元すくわれるよ」


シエルは間合いを警戒しながら刃を向ける。


「そうか。なら足元すくってみろよ」


ヴェールはシエルに攻撃を仕掛ける。

速い。残像が霞むように伸びる。

シエルは咄嗟に空中に攻撃を交わす。

そしてルミエールに向かって飛び出す。


(私からやるつもりね。ここで決める...)


ルミエールは構えて集中する。

シエルが間合いに入ったその時、ルミエールの真横を通り過ぎた。


(何っ?)


ルミエールは混乱する。

その瞬間に、アークはソルに向かって飛び出してた。ソルも衝撃を受けるかのように動き出す。二人の刃が触れる瞬間、アークは攻撃を辞め、屈んで斬撃を躱す。


(まずい……)


アークは後隙を見逃さず、刃を向ける。


「っ……!」


ソルは仰け反り間一髪で躱す。その瞬間、


(ソル!後ろだ!)


ヴェールが伝えるよりも先に、

シエルが背後からソルの左腕を切り落とした。

辺りに金属の弾けるような鋭い音が響き渡る。

そこには青白い閃光が空を流れていた。


(まずい、取られる……!)


アークは素早くソルのコアメモリを奪う。

ヴェールとルミエールはソルのもとに駆け寄った。


「ソル、まだ戦えるか?」


ヴェールはソルの背中に手を当てて優しく投げかける。


「大丈夫です。たかが腕1本、1体1は厳しいですがあと3分なら頑張れるっす」


コアメモリを抜かれたら残り3分しか活動できない。

ソルは右腕のミラージュブレイドを強く握りしめる。ルミエールは険しい顔を見せる。


「まずいわよ。早速一つ奪われたじゃない。2対1だったのに...」


ヴェールは口を開く。


「さっきまで2対1で俺たちが有利だった。だがあの子に移動されることで一瞬で1体2に状況を変化させられた。だがまだ終わっていない!ソルに残された3分間を無駄にするな!」


全員戦闘態勢に入る。

静かなでピリついた空気が漂っている。

するとシエルは三人の方を向きながら少し笑う。

シエルはミラージュブレイドを地面に落とした。


「えっ……」


困惑した三人は落ちたミラージュブレイドを獲物のように注視している。


(ありがとうシエル。この瞬間が欲しかった……!)


遮蔽物からヒツヤが飛び出し、ヴェールの服の下からコアメモリを抜き取った。


「っ……!!」


ヴェールは驚き状況を理解できないままヒツヤの方へ走り出した。


(おいおいどこから現れたんだ……!なんでこいつ、コアメモリが共鳴しない……)


ソルは慌ててヴェールに続く。


(まずい、隊長のも取られた...俺はもう万全じゃない。せめて隊長のだけでも...)


ヴェールは必死にミラージュブレイドをヒツヤに向けて走っていると、横からシエルが割り込んできた。


「くそっ、このまま逃げられ続けたら俺とソルは意識を失い間違いなく負ける……ルミエール、ソル!恐らくあの黒髪の戦闘員は新人だ!あいつを狙え!」


その言葉を聞いて二人は走り出す。


「行かせるかよ」


アークは二人の前に立ちはだかり、ルミエールに攻撃する。


「ソル、ここは私が引き受ける。行って!」


「了解!」


ソルはヒツヤとは圧倒的な速度で追いつく。


「やっば、もう追いつかれた!」


ソルは斬撃を繰り出そうとした。


「隊長のコアメモリ返してもらうっすよ!」


ヒツヤは向かってくるソルを前に、ミラージュブレイドを取り出す。


(やるしかない……訓練を思い出して、私なら出来る。)


ヒツヤはミラージュブレイドを握ると強い閃光を放つ。


(まだミラージュブレイドに込めるエネルギーの制御はまだまだ未熟。ミラージュブレイドが反発してしまうなら…)


ヒツヤはミラージュブレイドを力いっぱい握り、手がプルプルと震えながらも全力で投げ飛ばした。


「ぐっ……」


反発する力が加わる。雷のような轟音を発し、弾丸のようにソルの右肩を貫通した。


(今だ!)


ヒツヤは体勢を崩したソルにコアメモリを差し込んだ。するとヴェールの体は意識を失って倒れる。


「くっ、ここは……やられたよ」


ソルの体に入ったヴェールはヒツヤを優しく眺める。


「私だけの力ではありません。シエルとアークが私のことを信じてくれたんです」


ヒツヤはそう言ってゆっくりとコアメモリを引き抜き、ミラージュブレイドをソルの首に突き刺した。ソルの体は痙攣し、やがて微動だにしなくなった。


(そんな、2人ともやられた...)


ルミエールとアークの戦いにシエルとヒツヤが加わる。


「1対3だね。ここからどうするの?」


後ずさりするルミエールにシエルは近づきながら問う。それはまるで追い詰められた兎と狼のようだった。


(完敗だよ...この状況で勝てる確率はゼロだよ...)


そう言いながらルミエールは自身のコアメモリを取り出した。


「試合終了。勝者、カゴエ地区!」


アナウンスが会場に響き渡った。

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