【エピローグ】
【エリオットの場合】
国立分析研究所のラボ。
エリオットは顕微鏡を覗き込みながら首を傾げていた。
「……何だこれ?
提出記録も残ってないし……僕、こんなの保存した覚え、無いんだけど?」
顕微鏡の下にあるのは、黒く細かい砂のサンプル。
机の上には新しい紙幣偽造論文の資料が散らばり、彼の頭を悩ませている。
そこへひょいと顔を出すノア。
「なあエリー、腹減っちゃった〜。……って、またオタクしてんの?」
「だから僕をエリーって呼ぶな!
それに僕はオタクじゃなくて研究者だっ!」
真っ赤になって言い返す彼に、ノアはあっけらかんと笑う。
結局、今日もエリオットの声は研究所に響いていた。
【ナディアの場合】
ウォーカー所長室、夜。
ナディアはひとりソファに腰を下ろし、スマホを開いた。
そこに並んでいたのは――数日前に撮った“推し”の画像の数々。
『エルム街の悪夢』鑑賞会で、連写に連写を重ねたフレディ様のベストショット。
「……やっぱり最高ね」
詳細な記憶は無い。
けれど、数百枚の“推しベストショット”を所有しているという満足感が、ナディアの胸を不思議と温めていた。
【ルチアーノの場合】
地獄の大理石の間。
黄金のシャンデリアの下、包帯ぐるぐるのルチアーノが香水の調合器具を前に吠えていた。
「いいか!あの日、俺様が呼び出されたのは偶然だ!
決して俺様の威力が、あの忌々しいヴィジャボードに負けたんじゃねぇ!
香水を完成させる直前だったんだぞ!?
……で、誰が責任取るんだよ!?」
部下たちは一様に目を逸らし、沈黙する。
ルチアーノは胸を張り、小瓶を掲げた。
「フン!いいさ……次こそ究極だ!
名付けて――『チョモランマの熱視線よりも熱く―永遠にモテる俺様の辛み―』!!」
地獄の広間に、盛大な咳き込みの声が木霊した。
〜fin〜
最後までお読み下さり、本当にありがとうございます!!
こちらは明日からの新連載、
「最強捜査官、呪いすら科学で解き明かす
〜悪魔も天使も魔術無効の街セレニス州〜」
の前日譚になります。
よろしければ最強捜査官も読んでみて下さいm(_ _)m
それと、同時に
「ルチアーノ外伝「俺様のズッ友ストーリー」〜あの日、ヴェネツィアで始まった地獄の王と大天使の友情〜」の新連載も始めます!(^^)
こちらは最強捜査官で登場する、天使や悪魔のハチャメチャストーリーです!
もちろんルチアーノとルシアンも登場します☆
二本立てですが外伝に登場するファンタジー勢は、最強捜査官にも登場しますので、どちらも楽しんで頂けると嬉しいです!
本当にありがとうございましたm(_ _)m
明日からも17時更新です。
よろしくお願いします♪
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