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第90話 将棋

 森で作業をしていたら、四人が覗き込んできた。


「それが遊び道具になるんですか?」


 まだ彫ってもいない駒を手にしているルノ。人が一生懸命作っているのに横から喋りかけてくる。うるさいので簡単に駒の動きを説明すると、四人は首を傾げて駒を動かしていた。

 盤と駒が完成したのはそれから四日が過ぎてからである。本来ならチェスとかオセロなどを遊び道具として提供するのが良いのだろうが、俺はチェスのルールを知らない。オセロはそのうち流行らせれば良いだろう。別にオセロに戦略性が無いとは言わないが、それよりも戦略率の高いゲームを選ぶのなら将棋だと俺は思っただけだ。

 家に戻ってルノとカミュの二人に改めて将棋のルールを説明して二人の対局を見つめる。じゃんけんの結果、先行はカミュからで俺の顔色を伺いながら歩の駒を動かした。

 ルノは何も考えていないのか王将を一駒動かした。戦局は拮抗しているが、流れ的にカミュが優勢に見えた。


「これで王手……ッス」


「カミュ、それを動かすと王様は角に襲われるよ」


「へ? じゃ、じゃあ……えっと、これを動かせば大丈夫ッスかね」


 悪手を打ちルノが反撃に転じ、カミュを追い詰めた。


「これで……逃げ道が無くなったはず」


「……参ったッス。負けたッス」


 なかなか面白い戦いだった。


「次は私が相手になりますよ!」


 マリーがルノに挑戦を挑むと、ルノはあしらうかのように打ち負かす。それを見ていたリリアがルノに挑戦を挑もうとしていたら、今度はカミュが相手をするとの事だった。

 白熱する将棋バトル。バトルは夜遅くまでやっているらしい。俺はもう一つ将棋盤を作っている。

 一つだと他の二人がとやかく言って邪魔になるとマリーが言ったものだから、仕方がなくもう一つ作っているのである。

 それから数日が過ぎてから将棋盤が出来上がった。将棋の順位は知性の順番通りとなっていた。

 だが、挟み将棋はカミュの方が上で、崩し将棋はルノが一番だった。

 マリーが勝てるのはリリアだけで、それが悔しかったのか他の者を巻き込み始めた。

 マリーが最初に挑んだのはアーノルド。二人の実力は拮抗していた。

 夕方になっても決着がつかず二人の勝負は明日に持ち越しとなった。再び俺が将棋盤を作る羽目になったのは言うまでもない。


 ステータス

 名前:マリー ※マリエル=フォン=テンノウ

 年齢:17歳

 種族:ヒューマン

 冒険者ランク:Cランク メタルプレート

 ポイント:70

 Lv(レベル):16

 HP:102

 MP:66

 STR():85

 AGI(敏捷):71

 DEX(器用):59

 VIT(生命):73

 INT(知性):70

 【スキル】剣技レベル5・射撃レベル3・弓レベル1

 【魔法】生活魔法(清掃・掃除)


 ステータス※奴隷

 名前:リリア 年齢:16歳

 種族:獣人ハーフ

 冒険者ランク:Dランク ブロンズプレート

 ポイント:110

 Lv(レベル):22

 HP:222

 MP:21

 STR():152

 AGI(敏捷):173

 DEX(器用):80

 VIT(生命):205

 INT(知性):36

 忠誠心:70

 【魔法】生活魔法(清掃・掃除)

 【スキル】剣技レベル7・弓レベル1


 名前:ルノ 年齢:19歳

 種族:獣人ハーフ

 冒険者ランク:Aランク ゴールドプレート

 ポイント:249

 Lv(レベル):47

 HP:427

 MP:88

 STR():366

 AGI(敏捷):323

 DEX(器用):319

 VIT(生命):400

 INT(知性):100

 忠誠心:100

 【魔法】生活魔法(清掃・掃除)・レビテーション

 【スキル】剣術レベル10・射撃レベル17・毒耐性5・麻痺耐性5・料理レベル3・弓レベル3


 名前:カミュ 年齢:17歳

 種族:獣人ハーフ

 冒険者ランク:Aランク ゴールドプレート

 ポイント:80

 Lv(レベル):56

 HP:568

 MP:55

 STR():522

 AGI(敏捷):440

 DEX(器用):307

 VIT(生命):425

 INT(知性):90

 忠誠心:90

 【魔法】生活魔法(清掃・掃除)・レビテーション

 【スキル】剣技スキル17・超回復レベル3・嗅覚感知レベル4・聴覚感知レベル5・射撃レベル6・毒耐性5・麻痺耐性5


 この数日で四人の知性は少し上がった。やはり将棋をやらせて良かったかもしれない。

 村でも将棋が流行りだして仕事そっちのけでみんなは将棋をしている。もっとも、ルノやカミュ、リリアの三人は自分の仕事をこなし、空いた時間に将棋を指していた。

 とは言うものの、三人が行う仕事とは掃除や洗濯くらいであるがそれでもやらないよりはマシである。

 いろいろと考えることを始めた三人は行動が早くなってきた。


「師匠! この将棋とやらを王宮へ持って行っても宜しいでしょうか!」


「それは別に構わんが……それよりもお前はアーノルドに剣術で勝てるようになってのか?」


 その言葉にハッとしたマリー。これぞ本末転倒である。


「将棋の実力はどっこいどっこいかもしれんが、剣術の腕は勝てなきゃ意味なくね? それにもう少ししたらサイタマ方面へ行く予定だぞ」


「す、直ぐに勝負を申し込んできます!」


 そう言ってマリーはアーノルドのところへ向かった。

 たまには俺も剣の稽古を三人に付けることにして、木剣を持って外に出る。すると、リリアが不意を突いてカミュに襲い掛かろうとしていた。

 しかし、カミュは難なく躱して木剣をリリアの喉元に押し付け、リリアは降参した。


「カミュ、たまには俺が相手になってやるよ」


「今日こそはご主人さまから一本取ってやるッス!」


 そう言ってカミュは剣を構えると俺の隙を伺う。


「何処からでも打ち込んでこい。リリアも一緒でも構わないぞ」


 二対一で戦うことになったのだが、二人はアッという間に叩きのめされる。

 剣技レベルだけではなく、ステータスにも差があるのだから、当たり前である。

 何度も二人は挑んで来るが、俺は簡単にいなすと隙をついてルノが参戦してきたが、剣を振ることなくルノの胸ぐらを片手で掴み地面に叩き付けると、次はリリアが襲いかかってくるが軽く躱して脚を引っ掛けてリリアは転ぶ。カミュは間合いを詰めようとしてくるのだが目で牽制すると、動きを止めてサイドステップしてその場を離れた。

 何度も間合いを詰めようとするカミュだが、俺が少し動くたびにステップを踏んで逃げる。


「降参ッス! どんなに動こうとしてもご主人さま掴まれる予測しかできないッス」


 両手を挙げて降参してくる。俺は剣をストレージに仕舞うと、カミュはその隙を逃さず突いて来た……が、俺はそれを躱してカミュの体を蹴っ飛ばした。


「グハッ!」


 脇を押さえながら地面に崩れ落ちるカミュ。狙いは悪くなかったが、まだまだ甘い。

 しばらくしてマリーが戻ってきて、ようやく勝利したと報告してきたのだが、俺と手合わせした三人がうらやましいと言って俺にボコボコにされたのだった。

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