第88話 互角の戦い
寝る前まで騒いでいたマリー。自分の部屋だったのにリリアが使っていることにご立腹だった。
申し訳ないがリリアには客間に移動してもらい、マリーは元いた部屋を充てがう。
翌朝、なんでマリーが家に居るのか聞いてみると、王国としては邪心ターレの討伐よりもレッドブルをどうにかしてもらいたく、その伝令と再度パーティ入りするためにやって来たそうだ。
「あー……なるほど、レッドブルを退治してもらいたいのね……」
「……これはやってしまいましたね。ご主人さま」
「……あー、次はサイタマの方に行くんスね。リリア、旅支度をするっスよ」
リリアは「分かりました」と言って準備を始めるのだが、マリーは俺が何をやらかしてしまったなんて知るはずがない。そりゃそうだろ、邪心ターレを討伐してきましたなんて言っても信じられるはずがない。
なんと言われても相手は魔王軍四天王の一人なのだから、レッドブルよりも強いと思われているはずだ。
実際、レッドブルよりも邪心ターレの方が強いのだが、レッドブルは8匹いるので厄介さはレッドブルの方が厄介である。
「リリア、ちょっと待て。しばらくは討伐に行かない。何故ならまず最初にこのお姫様を強くしなきゃならんからだ。あとはルノとカミュにレビテーションの魔法を憶えてもらわなきゃならん。こちらは簡単だが、マリーの方が厄介だろうな」
「どう言う事ですか! これでも王宮の兵士よりかは強くなったんですよ!」
えーーーーっ! 王宮の兵士ってマリーと同レベルくらいなの?
それだったらルノやカミュなんて桁違いに強いってことじゃん。
「……カミュって前のパーティではどのくらい強かったの?」
「一応、一番強かったと思うッスが、周りに合わせなきゃならなかったから……」
実力的に周りを追い越してしまっていたのは自覚していたが、仲間のことを思い合わせていたのか……。
しかしその仲間に裏切られて売られるのはいただけない。
「とにかく、しばらくマリーはリリアと剣の稽古をするように! リリアはマリーの世話をしてやれ。良いか、二人とも絶対に手加減をするんじゃないぞ。ルノとカミュは取り敢えず家のことをやってくれ」
レビテーションが何ポイント必要なのか調べてみると、100ポイントも必要だった。
折角貯めたポイントを使うのは勿体ないが、サイタマの方は崖が多いので何かあった場合、俺一人だと面倒もとい、困ってしまう。
ステータス※奴隷
名前:ルノ 年齢:19歳
種族:獣人ハーフ
冒険者ランク:Bランク シルバープレート
ポイント:249
Lv:47
HP:427
MP:88
STR:366
AGI:323
DEX:319
VIT:400
INT:95
忠誠心:100
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)・レビテーション
【スキル】剣術レベル10・射撃レベル17・毒耐性5・麻痺耐性5・料理レベル3・弓レベル3
名前:カミュ 年齢:17歳
種族:獣人ハーフ
冒険者ランク:Bランク シルバープレート
ポイント:80
Lv:56
HP:568
MP:55
STR:522
AGI:440
DEX:307
VIT:425
INT:81
忠誠心:90
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)・レビテーション
【スキル】剣技スキル17・超回復レベル3・嗅覚感知レベル4・聴覚感知レベル5・射撃レベル6・毒耐性5・麻痺耐性5
これで二人がレビテーションを使うことができるはずだが、この世界ではどのくらい飛べるのか分からない。俺のMPでも行けて長野や茨城県ていどまでしか行けない。
「取り敢えず二人に使えるようにはしたけど、どのくらい動けるのかはわからない。魔導ガンを使いながら飛ぶのは無理だから気を付けるように。先ずは使ってみてどれだけ浮けるのか試してくれ」
二人は声をそろえて返事をしたが、マリーとリリアの二人は何の話をしているのか分かっていなさそうだった。
ルノとカミュは直ぐにレビテーションを使ってみると体が浮き上がったのだが、コントロールが難しいのか天井に頭をぶつけて床に落ちてきた。
「ちょっ、私にも教えてくださいよ! レビテーション! 二人ばかりずるいですよ!」
ステータス
名前:マリー ※マリエル=フォン=テンノウ
年齢:17歳
種族:ヒューマン
冒険者ランク:Cランク メタルプレート
ポイント:55
Lv:13
HP:82
MP:46
STR:65
AGI:50
DEX:36
VIT:53
INT:38
【スキル】剣技レベル4・射撃レベル3
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)
「お前にはまだ早い。先ずは剣術の腕を磨け。最低でもカミュ……いや、ルノ程度にならなければ連れて行けん」
頬を膨らませるマリーだが、そのあとに行った模擬戦でリリアにボコボコにされたのは言うまでもない。
剣技レベルが二つ違うだけでこうも差がついてしまうのか?
いや、他のステータスも差があるから圧倒的にボコボコにされてしまったのだろう。
リリア如きにやられたのが悔しかったのか、マリーは俺に剣の稽古をつけてほしいと言ってきたのだが、正直面倒くさい。
なので、村長に餌食となってもらおう。
「アーノルド、悪いが彼女に剣の稽古をつけてくれないか?」
「え? 彼女の? 別に構わないが……僕なんかで良いのか?」
「一応、彼女は王宮の兵士並みに強いようだから、気を付けてくれ」
「ちょ、王宮の兵士並みって、かなりの実力じゃないか!」
「お前だって良い訓練になるだろ?」
マリーは俺に稽古をつけてもらいたかったのか物凄くむくれていた。
それから俺の目の前で互角の戦いを繰り広げるマリーとアーノルド。村長、お姫様と実力が拮抗しているのは問題あるのでは?
アーノルドにマリーを押し付け、俺はルノとカミュの二人が覚えたレビテーションの魔法をコントロールする練習を行う。
大丈夫、エーテルなら沢山ある。
二人を薬漬けにするかのようにしてレビテーションをマスターさせたが、使い所が難しいとカミュは言う。
「取り敢えず二階から飛び降りるのではなく、降りるように使ってみてくれ」
二人は返事をして二階から飛び降りて練習を繰り返し行うのだが、すでにお腹いっぱいの状態だったらしく、二回ほどで今日の練習は終わった。
翌日になり、マリーは昨日互角だったアーノルドのところへと向かった。今日こそ一本取ってやると息巻いていたが互角なら無理だろう。
俺はリリアのランクアップさせるためにシンジュクの冒険者ギルドへ向かい更新させると、リリアはアイアンプレートからブロンズプレートにランクアップした。ちなみにルノとカミュもゴールドプレートにランクアップしたのだが、俺は更新しなかった。
何故なら、魔王軍四天王の一人を始末していることをバラしたくはなかった。
だって、絶対に問題になるじゃん。




