第87話 邪心ターレ
お城と言っても廃城を根城にしているターレ。城のある場所はゲーム時代と変わっていなかったので、いる場所も変わっていないかも知れない。
出てくる魔物も中ボス程度の実力しかないので、素材の狩り場としてしか扱われていない。ドロップアイテム目当てでしみんなは来ない。カワサキと言う土地は本当に初心者のために用意された土地なのである。
その土地に手古摺る王国防衛隊や冒険者たちを考えると、復活とかがない世界なので仕方ないのかもしれないが……。
崩れたところから中へ入る。中はかび臭い。しかし、出てくる魔物は中ボスレベル。
それを相手にカミュが剣を振り、ルノは魔導ガンで戦っていく。二人は前衛としての役割を果たしておりルノが後衛として頑張っていた。
俺はと言うと、その三人が傷ついたら癒すだけの簡単なお仕事をしているだけで、三人からしたら働かない主人といったところだろう。
「ハァハァ……かなり強い魔物が現れますね……」
ルノが息を切らせながらルノが言う。
「いやいや、それでも冒険者の中では相当な強さになっているんじゃないか?」
「ご主人さまに比べたら……まだまだですよ」
ルノはそう言うが初めてゴブリンを仕留めたのは去年の話だから、成長速度はかなり速いと思うぞ。
死骸から取れる素材はMPを回復させるエーテルの素材なので、ある意味無限にMPを消費することが可能だ。
敵の本丸にいるのでエンカウント率が半端ないが、倒せない相手ではない。
三人とも自分の役割を理解しているのか連携がどんどん良くなっている。
ステータス※奴隷
名前:リリア 年齢:16歳
種族:獣人ハーフ
冒険者ランク:Eランク アイアンプレート
ポイント:100
Lv:20
HP:192
MP:20
STR:137
AGI:142
DEX:70
VIT:173
INT:25
忠誠心:70
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)
【スキル】剣技レベル6
名前:ルノ 年齢:19歳
種族:獣人ハーフ
冒険者ランク:Bランク シルバープレート
ポイント:349
Lv:47
HP:427
MP:88
STR:366
AGI:323
DEX:319
VIT:400
INT:95
忠誠心:100
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)
【スキル】剣術レベル10・射撃レベル17・毒耐性5・麻痺耐性5・料理レベル3・弓レベル3
名前:カミュ 年齢:17歳
種族:獣人ハーフ
冒険者ランク:Bランク シルバープレート
ポイント:180
Lv:56
HP:568
MP:55
STR:522
AGI:440
DEX:307
VIT:425
INT:81
忠誠心:90
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)
【スキル】剣技スキル17・超回復レベル3・嗅覚感知レベル4・聴覚感知レベル5・射撃レベル6・毒耐性5・麻痺耐性5
カミュはレベルが1しか上がっていない。徐々にルノがカミュに追いついているように見えるし、三人は中ボスクラスの魔物をあしらい始めてきているので、冒険者全体のレベルが低いのだという事が証明され始めている。
だが、徐々にだけど三人に疲労の色が見え始めているので、選手交代で俺が先頭を歩くことになった。
まぁ、最近運動不足気味だったから丁度よい。
前方からやって来る魔物を千切っては投げ、千切っては投げを繰り広げる。
後ろにいる三人は黙っているのが気になるが、今は目の前に鎮座している奴のことを考えよう。
目の前にいるのはこの城を支配しているターレである。上半身は鮫で下半身は人の姿をしており、三叉の槍を手にしている。
『貴様は誰だ……』
死んだ魚の目をしているターレが聞いてくる。鮫の眼だから当たり前か。
「貴様を討伐する者だ。名乗る必要はないだろ」
『ふざけた野郎だ! この場で斬り裂いてやる!』
ターレはそう言って立ち上がり、槍を俺に向けてきた。
勝負は一瞬……。
「所詮この程度ってことか。俺の相手にもならんね」
『なにを……』
言っていると言いたかったのだろうが、ターレの頭から垂直にずれていく。
正直口にするのもおぞましい物が体から出ており、三人はドン引きしている。
「……あのさぁ、俺が戦ったらこんなもんだぜ? だから俺は戦いに参加したくないんだよ。取り敢えずターレの魔石をもらっていかないと証拠にもならんだろう」
死骸が気持ち悪い。内臓とかが出てきてるし……。
三人に回収されればよかった。
「ご、ご主人……さま? 本当にこれで終わり……なんですか?」
アッという間に俺が斬り捨てたからだろう。ルノが頬を引き攣らせながら聞いた。
「本当に終わり。これでカワサキの脅威は無くなるんじゃないか? あ、ドロップアイテムとして邪心の三叉は回収しとかなきゃ」
ストレージ内にターレが持っていた三叉を収納すると、邪心の三叉と表示されたので、俺が倒したのは間違いなく四天王の一人、邪心ターレである。
魔石と槍を回収したのでこの場にいる必要がなくなった。取り敢えず家に帰ることにしよう。
「ほら、用事も済ませたことだし、さっさと家に帰るぞ」
三人は何がなんだか分かって無さそうな顔をして手を繋ぎ、ルノは俺の手を握った。
俺はそのまま帰ることにしてテレポートの魔法を唱えると、禍々しい部屋から見慣れた家に風景が変わった。
「と、取り敢えず……お風呂を沸かしてくるッス……」
呆れたような顔をしてカミュが玄関の鍵を開けて家の中へ入っていく。俺たちもあとに続くかのように家の中へ入って行くと、カミュがダイニングの前で固まっていた。
「――遅い!」
そう言ったのは女性の声だが何処かで聞いたことのある声だった。
「遅い遅い遅い!」
そう言えば鍵を回収するのを忘れていた。
「師匠! この数日、どこへ行っていたんですか! ずーーーーーーっと! 一人で待っていたんですよ!」
声の主はマリーだ。
「新しい子も増えてるじゃないですか! 誰ですかその子は!」
詰め寄って来るマリーはツバを飛ばしながら言ってくる。汚い。
「うるせぇな。キャンキャン喚くな。俺たちは疲れてるんだよ。説明は明日にでもさせてくれ」
俺がマリーの相手をしている間にリリアとカミュが風呂の準備をしてくれていた。
「こっちはロクな物を食べてないんですよ! お風呂よりも食事が先です!」
なんでそんなに偉そうなんだ? しかし、ルノたちも食べていないから準備しておくか……。
うるさいマリーの相手をルノたちに任せ、俺は台所へ向かった。
料理と言っても肉料理になるのだが、米が入るまでの我慢だ。
「やっぱり師匠の料理は最高ですね!」
マリーの言葉にルノとカミュは頷いている。リリアはマリーが誰なのか分かってないが、自分の立場を考えて黙っている。
今日は色々な意味で疲れたのでさっさと風呂に入って寝ることにしたのだった。




