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第84話 新しい村

 それからしばらくしてラインハルトのオッサンが冒険者とともにやって来た。


「何をしに来たんだ? オッサン」


「こんな場所に家を建てたのか……」


「まぁね。それでオッサンはどうしてここにやって来たんだ?」


 ラインハルトのオッサンの後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「やぁ、キョースケ」


 声の主はアーノルドたちだった。他にも何処かで見たことのあるフードを被った人……あれは尋問官の人だ。このような場所まで何をしにやって来たのだろうか?


「シノミヤ、お前さんたちがイタバシ砦の防衛に参加したんだろ?」


 オッサンの言葉に全員が俺を見てくる。

 止めて見ないで。

 しかも尋問官の人がもの凄い眼力で見ており、俺は後退りしてしまう。


「そ、そうだよ。参加したよ。オッサン達がうるさかったからな……。で、何が言いたいんだ?」


「やっぱりお前だったか。特徴とかがお前さんポかったからな。それに嘘を言われる可能性もあったし……」


 それで尋問官を連れてくるのはどうかしてる。


「確認なんだが……お前はもしかして勇者様なんじゃないか? そう考えると道理が付く」


「いやいや、俺は勇者じゃない。ただのエルダードワーフだ。世界のことなんて救えとか言われてない」


 尋問官は黙って俺を見つめている。


「言われてない?」


 これ以上喋ったらボロが出そうだ。


「きょ、今日はもう帰ってくれ! 俺は忙しいんだよ!」


 突然尋問官が指をさして「ライ!」と言ってきた。今の声は女性? たしかに可愛い顔をしていたが、どこか少年のような雰囲気もあって分からなかった。


「彼は嘘を言っている……。忙しいと言うのは嘘」


 声からして女性みたいだが……。


「とにかく帰ってくれ! これ以上話すことは無い」


 これを押し通す!

 俺はオッサンを睨みつけると、オッサンは深い溜め息を吐いてからアーノルドたちと一緒に濠の外まで出て行った。

 本当に危なかった。

 神様の話が出たら勇者認定されるところだったかもしれない。

 俺は深く息を吐いて心を落ち着かせようとしていたら、ルノが俺の手を握ってきた。


「ご主人さまは勇者様ではありませんよね?」


「本当に違うよ」


「大魔法使いですもんね! 私たちに魔法を使わせてくれる凄い魔法使い!」


 魔法使いなのは認めるが、凄い魔法使いかどうかは分からない。

 ただ言えることは、俺が知っている勇者って奴はヒューマンである。

 エルダードワーフである俺が勇者には絶対になることはできないが、魔王を倒すことは誰にでもできるので、勇者である必要はない。これに関しては神様であるあの爺さんが認めているので間違いはないはずだ。俺はのんびりとスローライフを送れればそれで良いのだ。


「さて、リリアの稽古の続きでもするか」


 リリアはゴブリンを仕留めたことで自信を持つようになり、剣の訓練に対しより一層励むようになった。

 今では貴重な戦力の一つと考えても良いだろう。

 しかし、前衛ばかりで後衛が誰もいないのは少し問題だ。できれば後衛の人が欲しいが無いもの強請りするのは良くない。

 翌日もオッサンたちはやって来た。本当にしつこい。


「それで、今日は何の用事なんだ」


「ここに村を作ることにした」


「は?」


「ここに村を作ることにしたと言っている」


「ちょっと待て、ここはスギナミ洞窟から近い場所なんだぞ! オークハンマーだって出現する場所なのに村を作るだって? 正気かよ!」


「シノミヤが暮らしているのなら問題はないと判断した」


 正気かよ……。


「俺たちは手伝わないからな!」


「――わかってる」


 本当に理解しているのか?

 村を作るためには大工だけではなく木こりも必要だし、水を引く方法だって考えなきゃならん。

 まぁ、俺には関係のない話だから好きにさせよう。

 宣言だけしてラインハルトのオッサンは帰っていくのだが、何故か尋問官は残っていた。

 村作りは冒険者が中心となって作り始めた。

 初めて家を建てているのがよくわかる。どうやって基礎を作るのかとみんなで話し合っているが、俺は参加しない。だって俺には関係のない話だから。


「なんで貴方は手伝わないの?」


 尋問官の人が聞いてきた。


「俺は手伝わないと言った。自分たちでどうにかすればいいさ」


「そう、やっぱり貴方は勇者様じゃないんだね」


「そう言っただろ。それよりも自分が手伝えば良いんじゃないか?」


「そうだね。何からすれば良いの?」


「知らねーよ。それはあいつらと一緒に考えれば良いんじゃないの?」


 俺は絶対に手伝わない。お金を積まれたら考えるが……。


「ライ! 貴方は知っている」


「知っていたとしても、手伝わないと言っただろ。自分たちで考えて家を建てるって約束してるんだ。俺は手伝わないからな」


 尋問官の人は「そう」と言って俺の元から離れていく。

 喋った感じからしてやはり女性だ。名前を知らないと面倒くさいな。

 畑を耕しながら眺めていると、ジョアンのトラックがやってきた。何をしに来たんだ?

 トラックの運転席には屈強な男がいて降りてくると、荷台のコンテナが開いた。

 すると大工と思われる人たちが降りてきて、俺の家を観て声をあげていた。

 屈強な男は俺の家を観ながら何かしらの絵を描いていたが、気がついたらトラックに乗り込んで帰っていった。何がしたかったのだろうか。

 大工の一人が俺の家へやって来た。


「家はどこら辺に建てりゃ良いんだ?」


「俺に聞くな。あっちにいる奴らに聞け」


「あの家はアンタの家か?」


 大工の一人が聞いてきたから「そうだ」と答えたら、家についていろいろと質問してきやがった。

 質問内容が専門的でかなり面白く、俺は井戸端会議の輪に混ざってしまった。

 俺の意見を取り入れながら大工たちは家を作っていく。さすがプロだ手際がよい。

 ログハウスのような家をどんどんと作っていく。

 冒険者たちは濠を拡張する作業を手伝っており、俺が住んでいた場所は村らしくなっていく。

 家がいくつか出来上がり村長は誰がやるのかという話になった。

 もちろんみんなは俺にやらせようとしていたが、俺は丁重にお断りさせてもらった。

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