第80話 新型の銃
ギルド職員に連れて行かれたマリー。ラインハルトのオッサンにお礼を言われたが大したことはしていない。
俺たちがお尋ね者になりたくないので引き渡したまでである。それにマリーは先日の事件で心に傷を負っている。休養させるには良いだろう。
ギルド内はちょっとした騒ぎとなっており、俺たちは逃げるようにしてその場を後にした。
ギルドの外に出ると屈強な男が待ち構えており、俺を再びジョアンのもとへ連れて行こうとしてきた。
「ちょっと待ってくれ、車の整備なら先日行っただろ」
「――別件だ」
簡単に答えるのだが俺には用事なんて全くない。ジョアンの方で何かしらのトラブルが起きたのだろうか。
嫌々だったが俺たちはジョアンのところに仕えている屈強な男のあとに続いて、ジョアンのいる屋敷へと向かった。
屋敷に到着すると、珍しくジョアンが出迎えてきた。
「おう! シノミヤ様! 私はお会いできてぇゾクゾクしておりまぁす」
こちらとしてはあまり関わりたくないと言うのが本音である。
「本日お越し頂いたのはぁ街道に現れるぅ盗賊をどうにかしてもらいたぁいのでぇす」
「盗賊?」
「私ぃの物を狙ってくるぅ盗賊ですぅ! 新しくしてもらったぁクルマがぁ壊されるぅ前にぃ!」
車が狙われている可能性もあるという話か……。
依頼を受けないと帰してくれそうもなさそうだし、俺は渋々引き受けることになった。
盗賊が現れる街道はトウキョウ都と新宿を結ぶ街道で、その途中に森がありそこで荷馬車が襲われるといった事件が多発しているらしい。
ギルドへ戻って確認したら確かに盗賊討伐の依頼があったのだが、シルバーランク以上の冒険者を推奨していることからかなり面倒な相手なのだろう。
ジョアンからも言われていたので取り敢えず受けることにして、外へ出ようとしたところラインハルトのオッサンに呼び止められた。ギルドマスターなのにウロウロしていて良いのだろうか。
「なんか用か?」
「お前らが先日助けミルフィーってやつがお礼を言いたいといっている」
「人として当たり前のことをしただけだから気にしないでくれと言ってくれ。俺たちはお礼を言われたくって助けた訳じゃないからな」
そう言って俺たちはギルドを後にして森へと向かった。ギルドの外に出てストレージから車を取り出して乗り込んだ。向かうのは街道沿いの森である。
しばらく車を走らせていると目的の森に到着した。
「ここからは歩きで探索するぞ」
「了解ッス!」
「了解です!」
二人は返事をして周囲を警戒しながら森の中へ入っていく。しばらく森の中を彷徨っているとカミュが動きを止めた。
「人の声が聞こえるッス……。数は多いッスね」
俺たちはゆっくりと声がすると言われている場所へ向かってみると、盗賊と思われる奴が二人ほど洞窟の入り口を守っていた。
「さて、試し撃ちをしてみるか……」
俺はストレージからスナイパーライフルの魔導ガン……スナイパー魔導ガンを取り出した。
「あ! 新しい魔導ガンですか!」
「そうだよ。それの試し撃ちをするんだ」
魔導ガンのスコープを覗き込んでトリガーを引き狙撃すると、弾丸は見張り一人の頭を貫いた。
『何者だ! ……ウグッ!』
狙いを定めてもう一人狙撃して頭を撃ち抜く。
魔導ガンは銃と違ってトリガーを引く音しかしないため、どこに相手がいるのか分からない隠密性の高い武器となっている。
射撃の威力を調整したら完成だな。
俺達は魔導ガンを構えながら洞窟の入り口へと向かう。
洞窟の中は松明が灯されており奥の方まで灯りが続いている。
ゆっくりと奥へ入って行くと10名ほどの盗賊が酒盛りをしており、その奥には牢屋のような格子があり、奥では女性たちが囚われているようだ。
俺たちは隠れながら魔導ガンを構え、トリガーを引いた。
あっという間に魔導ガンで始末し、牢屋の中に囚われていた女性たちを解放し、怪我人にはポーションを飲ませた。ひん剥かれていた人には服を提供し生活魔法で綺麗にしたが、心までは綺麗にできない。
テレポートの魔法でシンジュクの町へ戻ると警備兵がやってきて状況を確認してきた。
事情を確認した警備兵が仲間を連れてきて女性たちを連れて兵舎の方へ向かった。俺たちは報告をするために冒険者ギルドへ向かい盗賊について状況を説明すると、ギルドの職員は慌ただしくなった。助け出された女性を確認しに行くギルド職員。
ジョアンのところへ報告しに行くと、トラックは無くジョアンも不在だと言われた。戻ってきたら報告しておきますと言われ、俺たちはシンジュクの町を後にした。
翌日、町は騒然となる。
掴まっていた女性の一人が首を吊っていたのである。俺たちが見たのはすでに降ろされている彼女だった。
「もう少し早く助けてあげることができたのなら、彼女は助かったのかも知れませんね」
悔しそうな顔してルノが言う。
タラレバはいくら言っても時間が戻ることはない。俺たちは彼女の心まで救うことはできなかった……。ただそれだけの話だ。
それからしばらくして俺は野菜作りに精を出していると、上空を飛来して行くワイバーンの群れ。
「ご主人さま、アレはどこへ向かっているんですか?」
指差すルノ。ここへ襲ってくる気配は感じられないと言うか、この場所に気が付いていないのだろう。
飛来していく方向はシンジュクの町がある方向であった。嫌な予感しかしないので、俺たちはシンジュクの町へテレポートする。町は警報の鐘が叩かれており町はパニック状態だった。
「ご主人さま! 先ほどの奴らが町へ目掛けて飛んできてるッス!」
ルノとカミュはストレージから新たに改良したスナイパー魔導ライフルを取り出して狙いを定める。だが、本当にここへ来るのなら、もう少し低空飛行していてもおかしくない。もしかして狙いはここではないのかも知れない。
「準備完了ッス! どうするッスか!」
カミュが呼びかけてきたところ、どこかの魔法使いが先にファイアーボールを上空に向けて打ち放ってしまい、ワイバーンの群れは攻撃目標を変更したようにシンジュクの町目掛けて飛来してきた。
「馬鹿が! やり過ごせたかもしれないのに! ルノ! カミュ! 撃ち落とせ!」
飛来してしてくるワイバーンの頭を目掛け、ルノとカミュはトリガーを引き、一匹ずつ撃ち落としていくが、数が多すぎるため二人は途中で撃つのを止めて向かい打つ。
ワイバーンは嘴で攻撃したり口から火炎を吐いたりして冒険者たちを次々と攻撃をしていく。更には爪で切り裂いてくる。冒険者は魔法使いの部隊が並んで魔法を詠唱して攻撃したり、盾などで攻撃を防ぎ剣や槍などで攻撃したりして反撃をしている。ルノは建物の屋根に飛び乗り魔導ガンを使いながらワイバーンを撃墜している。カミュは地上に降りてきたワイバーンに剣で攻撃をしていた。
俺は少し離れた場所で光魔法で広範囲で攻撃ができる『レイ』を唱えてワイバーンの群れを撃墜していた。
だいたい一時間ほど戦った頃にワイバーンの群れは去っていく。残ったのは死傷者とワイバーンの死骸だけだった。




