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第78話 ストレス

 ルノと一緒に家へ戻ると、ルノが魔導ガンを改造してもらいたいと言ってきた。


「大魔法使いのご主人さまならできると思うんですよ!」


 俺は考えとくと言って話を終わらせた。この話をミルフィーには聞かせたくなかったから……。

 カミュとマリーが連れ帰ってきたミルフィーと言う冒険者はブロンズプレートの冒険者で、仲間と一緒に薬草採取の依頼を受けて森の中へ入ったらしく、最初はゴブリンしか出てこず安心しながら穴場を探していたそうだった。しかし、とある洞窟の近くまで行ったところ、中から突然オークたちが現れたそうだ。

 完全に油断していたミルフィーたちは、散り散りとなって逃げたらしいが、オークは何故かミルフィーだけを狙って追いかけてきたそうだ。

 これは以前、オークの集落を落としたときにあったあの件と一致するだろう。奴らは人の雌に種を植え付ける習性があるという事だろう。

 この件についてはギルドも知っていることなんだろうが、周知はさせていないのが気になる。もしかしたら冒険者たちで情報交換しろと言うことなのかもしれないが、あまりにも杜撰過ぎる。

 ただ仕事を斡旋するだけなら斡旋所と名前を変えれば良いだけで、ギルドと名乗る必要はない。少しだけ苛つく。

 ブロンズ程度の冒険者がこの森に入ろうとしているのもおかしい。シンジュクの冒険者ギルドは何を考えているのだろうか。いや、それは自己責任と言うやつだろう。彼女たちがもう少し情報を集めていたならばこのような森へ入ることなかっただろう。

 仲間のことは心配だが、探してやる義理は無いので怪我の治療だけしてあげ、町に繋がっている街道までカミュとマリーの二人が送って行った。

 再びルノと二人きりになると、ルノは魔導ガンを取り出して俺に言う。


「ご主人さま、私はカミュのように前線で戦うタイプじゃないと思うんです。ですから、この魔導ガンの改造をお願いします!」


 ステータスを見る限りカミュに追いつくことは難しいのは理解していたが、本人も自覚していたんだな。


「改良するのは構わないが、少し時間をくれ。直ぐに作れるものじゃないからな。だが、剣の練習は怠るなよ。あれは近接用の武器ってわけじゃないからな」


「もちろんです! さすが大魔法使いです!」


「さて、カミュたちが戻ってきたら他の冒険者って奴らを探しに行ってみるか」


「了解です」


 満面の笑み浮かべるルノ。俺は何度この笑顔に癒されているのだろうか……。

 マリーたちが戻ってきて、俺たちはミルフィーが言っていた洞窟がある場所まで行ってみたのだが、そこはすでに血にまみれており、生存者は彼女一人だったことを表していた。


「これは随分と……」


 ルノとカミュが鼻を押さえながら言う。彼女たちの鼻は敏感だから、こういったものは刺激が強いのだろう。俺は魔法で明かりを灯し洞窟の中へ入っていくと三人も一緒に付いてきた。

 洞窟はかなり大きい。オークはだいたい身長二メートルくらいだが、洞窟は更に大きくオークが何匹かすれ違えるだけの広さがある。

 奥に進んでいくと誰かが何かを食べているような音がしたとカミュが言うので、明かりを消す前に三人に暗視スコープ渡して装着させる。

 暗視スコープのおかけで明かりがなくとも奥を見渡すことができ先へ進んでいくと、俺たちは立ち止まった。


「ウゲッ!」


 目の前に広がる光景はオークが人を犯し、別のオークは人の脚らしき物を食べていた。それを目にしたマリーが食べた物を吐き出していた。

 マリーが吐き出す音に気が付いたのかオーク達はこちらに目をやる。


「暗くて見えないはず……」


 そうルノは言うが、目が慣れたら暗闇でも人がいるかは認識ができるはずである。それは人に限らずどんな動物にだって当てはまることだろう。


「ルノにカミュ、魔導ガンを構えろ!」


 先ほどまで犯していた女を玩具のように投げ捨て、オークはこん棒を手にしてこちらへ向かってきた。二人は魔導ガン取り出そうとしたのだが相手の方が動きが速かった。俺は剣を抜いてオークの腕を切り落とし、ストレージからデザートイーグルを取り出して発泡すると、オークの頭はトマトのように弾ける。

 最終的には三人が何か出来たというわけではなく、全て俺が始末した。壊れた玩具のようになってしまった女性たちにポーションを飲ませたが、壊れてしまった心までは治せない。仕方がなく俺は彼女たちを連れてテレポートの魔法を使いシンジュクの町へと飛んだ。

 突然現れた俺たちに驚いた警備兵たちだったが、連れてきている女性たちを見て直ぐに状況を把握したらしく、仲間の警備兵呼んで運んでいく。俺は冒険者ギルドへと向かった。

 あの糞エルフに文句を言うためだ。

 冒険者ギルドにたどり着くとギルド内は騒然としており、何かが起きていることを悟る。


「なぁ、いったい何が起きたんだ?」


 俺は受け付けの職員に話し掛けると、受け付けの職員は難しい表情をしながら俺を見た。


「ギルドマスターが亡くなったんです。それでラインハルトさんが戻ってくるまでギルドとしての対策も立てることが出来ずに……」


 どうやらあの糞エルフは寿命が来たらしく死んでしまったとのことで、次のギルドマスターはラインハルトのオッサンがなるとのこと。良かったのか悪かったのか分からないが、なんだか勝ち逃げされた気分で苛つく。

 俺はミルフィーの仲間だったと思われる奴らのギルドプレートを受け付けに渡して冒険者ギルドを後にして家へ戻った。

 それから数日の間、マリーはあの光景が忘れられないのか夜中に目が覚めてしまうと相談してきたのでカモミールのハーブティーを勧めた。


「マリー、マルクスの奴がどうしてお前を戦いに出さなかったのか分かったろ。あれが現実って奴なんだ。あれを乗り越えなきゃ本物の冒険者にゃなれない」


 マリーは黙ったまま頷いた。外を見ると雨が降りそうな天気になっており、まるでマリーの心を表しているかのように思えた。その夜は激しい雨が降ったが翌朝は晴天だった。

 それから数日が過ぎたころ、俺はジョアンの屋敷に来ていた。

 理由はメンテナンスだ。思っていた以上にトラック使用しているみたいで、フロントガラスが割れていてドアミラーも割れて矢が刺さっていた。


「メンテと言うよりも修理が必要だな」


「野盗や魔物に遭遇しても逃げ切れるだけのスピードはあるのだが、強度が弱い」


 屈強な男が腕を組みながら言う。

 どうやらこの男が運転しているようである。


「修理代は別料金だけどどうする?」


「そうですねぇ……一千枚でお願いできないでしょうかぁ?」


「今回だけだぞ、次回はしっかり支払ってもらうからな」


 このジョアン(おとこ)には恩を売っておいても損は無いだろう。


「ここで修理はできないから、俺の家へ持って行くが構わないか?」


「おろろぉ? 家ぇですかぁ?」


「スギナミ洞窟の手前にある森に家を建てたんだよ」


「フォー! 素晴らしいですねぇ! シノミヤ様は建築知識もお有りのようだ!」


「掘っ建て小屋だよ。アンタの屋敷ほどじゃない」


「ご謙遜を……。今度、私のお店で何か商品をお買いくださぁい」


 ちゃっかりしてると思いながら俺はストレージにトラックを収納し、テレポートの魔法で家へと戻った。

 家へ戻り庭に先ほど収納したトラックを出し大型トラック用のジャッキアップを取り出して車を持ち上げ、タイヤ新品に替える。

 フロントをみるとバンパーが凹んでいるので何かに体当りしたと思われ、アルミからミスリルに変更してサイドミラーは鏡の上にクリスタルを取り付ける。

 フロントガラスはクリスタルに変更すればそうそう簡単に割れることは無いだろう。

 この日はジョアンのトラックの整備に一日を費やすことになった。

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