第76話 マリーレベル13
冒険者ギルドへ行くとグレイスが別のパーティに入ったらしく仲間ぽい奴らと話をしており、カミュ曰く俺の悪口を言っているらしい。
ほっとくが一番。そう思いながら訓練場へ向かおうとしていると、ルノとカミュの二人がグレイスたちに絡まれた。
「奴隷がギルドになんの用だよ!」
「ご主人さまと一緒に行動するのが奴隷の役割の一つですが、何か問題でもありますか?」
「問題大有りだ! ここは奴隷が来る場所じゃない」
「奴隷だとしても私たちは冒険者です!」
鬱陶しいから取り敢えず黙らせることにしよう。と考えていたら、俺よりも先にカミュが先にキレた。
「そんな考え、修正してやるッス!」
そう言ってカミュはグレイスに殴りかかった。それに続いてルノもグレイスに襲い掛かる。相当ムカついていたんだろうな。おかげで冒険者ギルド内で乱闘騒ぎになった。
「奴隷のくせに生意気なんだよ!」
「馬鹿な奴は死んでしまうッス!」
グレイスのストレートパンチをカミュは躱してボディーにフックをかます。カミュのパンチはグレイスの鎧を破壊した。
「ボディーがガラ空きッスよ!」
もう一回殴ると、今度はルノがガラ空きになっている顔面を殴ってグレイスは気絶してしまった。
「ご主人さま悪口は許されないッス」
「成敗!」
二人はグレイスの体を踏みながら言った。
周りからは拍手喝采である。
この二人はギルドでも有名な奴隷であり、それなりの知名度もあり周りの冒険者にも好かれている。
実力はギルドでトップクラス。ギルドとしても手放したくない存在なのだ。俺からすれば弱すぎるが、この都ではトップクラス。
だが、騒ぎ過ぎてしまいギルドマスターから怒られてしまったのは言うまでもない。
しばらくはギルドに顔を出すなと言われてしまっては訓練場を使うことができない。
ここは別の方法で強くなるしかあるまい。
俺はテレポートの魔法を使い三人を死の森の前まで連れてきた。
「ここが死の森……」
森を前にしてマリーは唾を飲み込んだ。
「ここがご主人さま領地なんですよね、ここから切り拓いて町を作るのは如何ですか?」
「勝手に切り拓いて良いものなのか?」
「師匠の領土ですから問題はありませんが、この先の魔物が強いのでは?」
俺からすれば雑魚なんだが、お前たちからすれば強敵以上なんだろう。
マリーの話からすればこの先は俺の領土になるので、ここから先を開拓していけば簡単に森の探索にも行けるのだろう。冒険者ギルドの訓練場が使えない今、多少危険かもしれないが死の森を開拓してみよう。
そうと決まれば三人に説明をして開拓の準備を始める。先ずは水をどうにかしなければならないが、井戸掘の道具をストレージから取り出してカミュとルノ、マリーの三人に渡した。
使い方を説明すると三人は各々の場所に穴を掘り始めたので俺は周りの木々を切り始める。
倒した木々をストレージにしまい込み、丸太に変えて行く。本来であれば木を乾かすなどの工程があるがそれすらもカットできる。これは俺のメニュー画面のストレージだけしかできないようだ。
排水設備は魔石によって浄化装置を作り上げ、電気にも魔石を使って設備の装置を作る。これで灯りは何とかなる。夜になる頃には家の土台が完成した。
一度家に帰ることにしてテレポートの魔法を使うと俺たちは一瞬で家の前へと現れる。
するとラインハルトのオッサンが家の前で待っていた。
「オッサン? 何をしてんだ?」
「おう、シノミヤ。以前話をしたクルマって奴だが、王宮でも話題になっていてな……。国王様に献上してもらえないだろうか」
「前にも言ったけど、運転操作が難しいんだって。それにお金だってものすごくかかるんだぞ? 馬車の改良で良いのなら簡単にできるけど」
「それで良いから頼む。ギルドのためだと思ってやってくれ」
それを言われると余計にやる気が無くすわ。オッサンは用件を言い終えると帰っていった。
翌日、俺は荷台を購入しに行き、車輪を木製からタイヤに変えてスプリングを取り付け、ガラスの代わりにクリスタルを設置した。あとは装飾品を綺麗なものを付けて完成である。
それをギルドへ持って行きオッサンを呼び出して、出来上がった荷馬車の荷台を納品。今回は献上品ということなので報酬はない。
翌日は再び死の森へ向かい続きを行っていると、コボルトの群れが襲ってきた。戦闘を行うのはルノたちだ。
俺は戦闘に参加することなく家を建てることに集中していると、コボルトの群れを撃退したルノとカミュは再び手伝い始めてくれたのだが、マリーは魔導ガンを撃ち過ぎたようで魔力が枯渇してしまったらしく座り込んでいた。
「ルノ、これをマリーに飲ませてきて」
エーテルを取り出してルノに渡す。ルノはそれをマリーに手渡すとマリーは「これは?」と聞いてきたので、エーテルだと説明するとマリーは驚いた声を上げた。
「え、エーテルって魔力を回復させるとても高価な物じゃないですか! それを私なんかが貰っても良いんですか!」
「物は使われるためにあるんだよ。沢山あるから飲んでおけ」
「売れば金貨数枚はくだらない代物ですよ……」
「要らないのなら返してもらうけど?」
そう言うとマリーは慌ててエーテルの入った小瓶を飲み干し、仕事の手伝いを行った。
家の外装が出来上がったのはそれから半日が過ぎたころだった。ルノとカミュの二人が工程をある程度覚えていたことから、建てるのが早くできるようになった。
内装に関しては後日行うことにして、先ずは家の周りにお濠を作ることにした。再びコボルトとかが攻めてきて家にダメージを与えられては困るためだ。
お濠は魔法のシャベルで掘り起こす。このシャベルは地面をプリンのように掘り起こせる優れものである。だが、重さが変化することはないので土などの重さは普通にある。これはよい筋トレになるのでマリーにやらせることにした。
マリーがお濠を作っている間に俺たちは石垣の壁を作って防御力を増強させていると、今度はゴブリンの群れがやってきたのでルノたちが始末する。
ステータス
名前:マリー ※マリエル=フォン=テンノウ
年齢:17歳
種族:ヒューマン
冒険者ランク:Cランク メタルプレート
ポイント:55
Lv:13
HP:82
MP:46
STR:62
AGI:50
DEX:36
VIT:53
INT:38
【スキル】剣技レベル4・射撃レベル3
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)
ステータスを確認してみるとマリーのレベルが3も上がっていた。しかも射撃レベルが1上がっている。夜になるころお濠が出来上がったが石垣は半分といった程度しかできなかった。
家に帰ると再びラインハルトのオッサンが居たら嫌だと思い、俺たちは死の森に作った家に泊まることにしてお風呂に湯を張る。内装はまだだがお風呂は先に作ってあるのだ。一番風呂はマリーに譲り俺は外で石垣作りに励んでいると、森の方から動物の気配に似た気配を感じて森の中へ入っていく。
「何の気配だ?」
奥へ入っていくと何かが動いており俺はゆっくりと近付いていくと、ジャイアントボアが自然薯か何かを掘っていた。
「でっか……」
大きさで言うなら4メートルくらいの大猪。
その大きさに圧倒されそうな気持ちになる。
魔導ガンが通用するとは思えないので、ストレージから大剣を取り出した。相手もこちらに気が付いたらしく「フゴフゴ」言いながら地面を蹴り助走を付けていた。
結論から言って俺の圧勝だった。素早さも俺に敵うはずがなく一瞬で首を一刀両断してやった。
ジャイアントボアの死骸をストレージに仕舞い込み、周囲を探索するのだが何もいなかった。
しかし、あんなに大きな動物が住んでいるのなら、あのお濠は役に立たないだろう。
明日はもっと大きなお濠を作ったほうが良いかもしれないな。




