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第66話 師匠

 マリーに着替えさせた後、俺たちは冒険者ギルドへやってきていた。着替えさせるのにかなり手間どったようで、カミュはぐったりとしていた。

 トウキョウ都の冒険者ギルドには訓練場があり、俺たちはマリーの実力を知るためルノと模擬戦をさせてみることにした。


 ステータス

 名前:マリー ※マリエル=フォン=テンノウ

 年齢:16歳

 種族:ヒューマン

 冒険者ランク:Dランク ブロンズプレート

 ポイント:0

 Lv(レベル):0

 HP:10

 MP:10

 STR():6

 AGI(敏捷):5

 DEX(器用):4

 VIT(生命):6

 INT(知性):5


 ステータスはゴミレベルでスキルや魔法は何一つ覚えていない。構えもクソもない。木剣すら握ったことが無いみたいだ。

 あのマルクスって奴は何を教えていたのだろうか。ブロンズなのにレベル0って、ある意味すごい。

 見様見真似で剣を振るってみるが、ルノはいとも容易く躱して木剣を頭に振り落とした。頭を押さえながらこちらを見る二人。

 俺はそのまま続けるように言うと、ルノは容赦なく木剣を叩きつける。叩きつける。叩き続ける。

 まるでイジメのようにルノはマリーに木剣を叩きつけた。


「ルノ、そこまでだ。カミュ、ポーションを飲ませてやれ」


「了解ッス!」


 カミュは急いで訓練場の中へ入ってマリーにポーションを飲ませると、マリーの傷は癒えたのだが心の傷は癒えなかったようだ。恐怖で震えている。


「これが実戦ならお前はすでに死んでいるぞ。なのでこれからしばらくの間、ルノと一緒に剣の訓練を行う」


 マリーは俯いたまま頷いた。

 先ずは筋トレからである。ランニング、腕立て伏せ、腹筋やらせたあと実戦訓練。木剣の打ち込みである。

 これを一週間やらせたところ、ステータスに変化が現れた。


 ステータス

 名前:マリー ※マリエル=フォン=テンノウ

 年齢:16歳

 種族:ヒューマン

 冒険者ランク:Dランク ブロンズプレート

 ポイント:0

 Lv(レベル):0

 HP:15

 MP:10

 STR():9

 AGI(敏捷):6

 DEX(器用):4

 VIT(生命):8

 INT(知性):5

 【スキル】剣技レベル1


 マリーのスキルに剣技レベル1が付いた。だが、これでは弱すぎるし効率が悪い。多少手荒でもレベルを上げた方が良いのかもしれない。

 午前中は剣の練習を毎日やらせることにして、午後はゴブリンでも退治させに行こう。


「明日はゴブリン退治に行くぞ。実戦を積むのもよい経験になるだろうが、先ずは遠距離から攻撃するやり方を覚えるんだ」


「それは弓ってこと?」


「言葉遣いに気を付けろ。俺はお前の師匠になってやるって言ってるんだ」


「師匠に? 貴方が?」


「キョースケ。もしくはシノミヤ。それか師匠のどれかだ。まぁ、取り敢えずは魔導ガン(これ)を使え。使い方はルノとカミュに聞け」


 使い方がわからないのか首を傾げている。魔法の使い方も分からない奴だから使えるのか分からんが、カミュやルノが使えるのだから、マリーでも使えるだろう。ギルドプレートのストレージが使えるのなら問題がないはずだ。

 翌日、朝起きると外から何かが聞こえてきたので、外へ出るとマリーが木剣で素振りをしていた。


「朝早いな」


「今日からゴブリン退治に行くんでしょ!」


「退治と言っても遠くから狙うだけの簡単なお仕事だよ」


「何を言っているのか分からないんだけど」


 俺はそれ以上言わずに家の中へ入っていくと、マリーが「どういう意味よ!」と言いながら家の中に入ってきた。

 朝食後、俺たちはいつものように冒険者ギルドへ向かいマリーの稽古をつける。

 午後はゴブリン退治に行くための練習を行うために動物狩りを行う。ゴブリン退治に行けるのはいつになるだろうか……。

 カミュやルノに教わって、マリーは魔導ガンを使って狙ったウサギに撃とうとしたが、弾が発射しない。ガンに魔力供給ができていないのだ。


「聞いてなかったが、オメーはギルドプレートのストレージは使えるよな?」


「……」


 俺の言葉に無言で見つめ返すマリー。


「使えるのか使えないのかどっちだ」


「……使え……ない」


 俺は聞き間違えたかと思い、もう一度聞き返すとマリーは使えないとハッキリ言った。

 マルクスの奴は何をしていたのだろうか。本当にマリーを食い物にしていたんだな。


「魔力操作のやり方ッスけど、簡単に教えることができるッス」


「ならばやり方を教えてやってくれ。俺は呆れて何も言えねー気分だ」


 カミュがマリーに魔力操作のやり方を習いストレージが使えるようになるまで夕方まで掛かったので今日の訓練はおしまいとなった。ものすごく無駄な一日を過ごした。

 翌日も朝から剣の練習を行い午後は動物狩りを行うのだが、必中が付与してあるため当たりはする。するんだけど掠ったり急所が外れたりして止めを刺すことができない。

 本当に何もできない奴だったんだな。

 ようやく狩りができたのはそれから三日が過ぎてからだった。


「結局お前は何もできなかったと言うことがよく分かった」


 何も言い返せないマリーは悔しそうな表情浮かべる。


「しかしだ、ようやくお前も一端の冒険者になったな」


 マリーのステータスに射撃レベル1が追加されただけではなく、剣技レベルが2になっていた。


 ステータス

 名前:マリー ※マリエル=フォン=テンノウ

 年齢:16歳

 種族:ヒューマン

 冒険者ランク:Dランク ブロンズプレート

 ポイント:0

 Lv(レベル):0

 HP:18

 MP:11

 STR():11

 AGI(敏捷):8

 DEX(器用):6

 VIT(生命):10

 INT(知性):6

 【スキル】剣技レベル2・射撃レベル1


 ステータスの数値も上がっている。知性と器用さが低いのにも気になる。

 生活魔法を覚えていないので毎日風呂へ入るし、トイレで紙を使わないとならない。ポイントがあれば覚えさせてやれるが、まだレベルが上がっていないためポイントが無い。

 俺の言葉にマリーは喜びの声を上げた。まぁゴブリン一匹なら倒せるだろう。

 翌朝になりいつものように剣の稽古をしたあと、ようやくゴブリン退治へと向かった。

 近くの森へ入りゴブリンを探す。ここはカミュの出番となり音や気配や臭いなどで探してもらい、森を彷徨うことしばらくしてゴブリンの群れを発見した。

 スコープで覗いたその先にゴブリンどもがおり何か喋っているようだ。


「マリー、今ならゴブリンを始末することができるはずだ。大丈夫、あれだけ練習したんだ。お前ならできる」


「うん、今ならやれる!」


 茂みに隠れスコープを覗き込むマリー。緊張した表情で狙いを定める。

 マリーのためにレーザーポインターをつけてあげたので、狙いが定まりやすくなっている。

 ポインターが頭についた瞬間、マリーはトリガーを引くと音もなく弾丸が飛び出してゴブリンの頭に直撃した。さすが必中が付いている銃である。多少ズレても必ず何処かに当たる。

 仲間が殺られたゴブリンどもは周囲を警戒するのだが、こちらは離れた場所にいるため気がつけるはずがない。


「残りも仕留めろ」


「了解」


 キョロキョロしながらこちらを探しているゴブリン。見つけられることはできずにマリーの手によって始末されたのだった。

 初めての実戦。遠距離からの攻撃だとしても自分の手でゴブリンを三匹仕留めることができたのである。

 俺たちはゴブリンがいた場所へ向かい、魔石を拾う。それをマリーに渡すと、マリーは喜びを爆発させてカミュに抱きついた。カミュはどうして良いのか分からずオロオロしていた。


「これで一人前の冒険者になったな。あとは実戦を繰り返すのみだ」


「はい、師匠!」


 ようやくマリーは俺のことを師匠と認めてくれたようだ。

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