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第5話 マジックバッグ

 懐が温まると心に余裕が生まれるが、自分の作った物があんな扱いをされるとは……。

 もう少しだけ考えて売りに出さなければいけない……。

 夜の心配が無くなり、俺は依頼書が貼られている掲示板の前にやって来て、どのような依頼があるのか見てみる。

 集落を荒らすゴブリンの討伐依頼などあるが、全てDランク以上の依頼であり、Eランクは溝掃除や薬草など採取する依頼しかない。


「地道にランクを上げるしかないのか?」


 Eランクで討伐依頼があるとしても、下水道に現れるドブネズミ退治くらいなものしか無く、報酬も安い。

 数を仕留めれば多少よいかもしれないが、それでも微々たる額である。

 そんなことを考えながら掲示板を観ていると、パーティメンバー募集の張り紙が幾つか貼られているのに気が付いた。


「どこかのチームに加われば、ランクを上げられる……か。おや?」


 募集の中には条件が記載されているものが多く、その中でも、最低Cランクと記載されているものばかりだったが、一枚だけDランク又は、Eランクでも募集と記載されている貼り紙を発見し、受付嬢のところへ持っていった。


「あら、いらっしゃいませ。今度はどうしたの?」


 完璧に顔を覚えられているようだ。


「パーティメンバー募集の貼り紙を見たんですけど、まだ募集してるんですか?」


 張り紙を見せると、受付嬢は少し困った顔をした。


「どうかしたんですか?」


「リーダーはCランクなんだけど、クセがある人なのよ」


「クセ……ですか?」


「まぁ、悪い人じゃないから会ってみるのも良いかもね。多分、午後にはここへやってくるはずだから、伝えとくわ。明日の朝にもう一回来てね」


 なんとなくだが、はぐらかされた気もする。

 取り敢えず紹介してくれるらしいので、ここは任せることにして、俺は挨拶をしてギルドをあとにした。

 ギルドを出て、次は道具屋へ向かう。

 この貧弱な服をどうにかしないといけないため、服に使う生地を購入するためである。

 商店街のある道を進んでいくと、以外にも屋台が沢山出ており、目を奪われてしまうが、目的は服の生地だと自分に言い聞かせて、街の人に生地が売っている店を尋ねながら進んでいくと、以外にも商業ギルドの近くに店があった。


「こんな近くにあるのなら、ギルドで教えてくれても良いと思う……」


 誰かに言っているわけではないが、文句は言いたくなる。

 一呼吸置いてから俺は少しでかい店に入ると、服飾の生地専門店らしく、沢山の生地や服が並べてあった。

 店内の商品を物色して、良さげな生地を選んでレジへ持っていき、会計を済ませる。

 ギルドカードのストレージに仕舞おうとしたのだが、ストレージ内は満杯と表示されるため、道具リストを表示させると、プレートのストレージ同様にゲーム内で保存していた荷物が沢山表示されていた。

 その中にはマジックバッグもあったため、ラッキーだと思いながらマジックバッグを取り出して、荷物をしまう。

 ゲームをやっているとき、どうしてストレージがあるのにマジックバックが在るのか不思議に思っていたが、この世界の記憶を元にしていると考えたならば、納得ができる。

 マジックバックは、生前やっていたゲーム内のストレージと同じくらい荷物が入るため、プレートのアイテムと、ギルドカードのアイテムを全てバッグの中へ入れ、荷物の整理をしておこう。

 店を出て、すぐ近くにある商業ギルドへ向かい、再びステラに裁縫場の仕様依頼をすると、再び銅貨支払う。

 時間管理されている訳ではないが、ステラは作業は早めに終わらせるよう言ってきたが、俺はその言葉をシカトし、バッグから生地を取り出して裁縫を始める。

 スキルの効果なのか、勝手に手が動いていく感じがして気持ち悪いが、服はアッという間に出来上がって、次は靴を作り始めた。

 もちろん服や靴にも防塵、防水、防刃などのエンチャントを付与してあり、見窄らしかった姿から、ようやくまともな姿になり、ステラが驚いた顔をしていたが、特に何かを聞かれることはなかった。

 武器や服が終わると、今度はお腹が空き始めたらしく、お腹が鳴る。

 俺は商店街へ戻り、屋台で適当な食事をするのだが、やはり銅貨が飛んで行くので、早めに自炊できる環境か、お金を貯める必要があるだろう。

 食事も終わり、次は宿である。

 素泊まりができれば良いため、三度(みたび)商業ギルドへ行き、ステラに宿屋について質問すると、ステラは舌打ちをしながら安いと言われている宿屋を教えてくれ、俺は紹介された宿屋へ向かった。

 紹介された宿屋に到着して、受け付けで部屋が空いているのか質問すると、運良く一部屋だけ空いているらしく、俺はお願いしてお金を払い、丁稚に部屋まで案内されて、ようやく体を休めることができたのだった。

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