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第49話 ドラゴン戦

 結局のところ俺の意見は却下された。

 ドラゴンは魔法を使わない。

 全員はそう結論付けた。

 ブレスを甘く考えていないかという話もしたが所詮メタルプレートだと言うことで誰も俺の話に耳を貸すことはなかった。

 結局作戦の変更はなく盾でブレスを防ぎ、空に逃げたら魔法で地面に叩き落とす。あとは剣や弓などで攻撃をするといった単純なもので、俺はこのような作戦は歴戦の冒険者以外しないだろうと思いながら聞いていた。

 ルノやアーノルドたちは離れた場所で待機し、俺たちはドラゴンと対峙する。ドラゴンは威圧するかのように叫び声をあげると、大盾を持った冒険者たちは足をすくませている。


「ブレスが来るぞ!」


 先手を取ったのはドラゴンだった。口元に火炎をためて噴き出す。俺はブレスカットの魔法を使っているためブレスを防ぐことができたのだが、大盾を持った冒険者は丸焦げとなっている。

 ドラゴンは翼を羽ばたかせて空に上がろうとしており、魔法使いたちが魔法を使おうとした瞬間、ドラゴンは雷を呼び寄せて魔法使いの詠唱を遮断させる。

 弓矢隊が攻撃をしているのだが矢が届くことはなく、ドラゴンは再びブレスを吐こうとして大きく口を開けたので、俺は呼び寄せた雷雲を使いドラゴンにサンダーボルトをぶち込んでやった。

 ドラゴンは油断していたのか全身にサンダーボルトを食らい、地表に落下していきゴールドプレートの冒険者たちが落下地点まで走っていき、ドラゴンに止めを刺そうとしたのだが、ドラゴンは尻尾で冒険者たちを薙ぎ払う。

 大盾を持っている冒険者は誰もいないため、ドラゴンに近寄ることができない。


「シノミヤ!」


 ラインハルトのオッサンが俺の名を呼ぶ。

 今度はライジングボルトをぶち込んでやると、ドラゴンは天に向かって叫び声を上げて俺たちに向かって最後の一撃を与えるつもりでブレスを吐こうとした。


「遅い……」


 ストレージからクリスタルソードを取り出し、ドラゴンの翼を斬り裂いたあと頭に突き刺してライジングボルトを直接剣に流し込み、ドラゴンは悲痛のような叫び声を上げて活動を停止した。

 俺たちの勝利である。


「被害状況の確認しろ!」


 オッサンが声を上げて冒険者たちに呼びかける。俺はドラゴンから剣を抜きストレージ内に仕舞った。このような武器を持っていることがバレたら結構面倒くさい話になりそうだったから。

 ドラゴンの死骸から魔石を取り出してストレージに仕舞っていると、誰がドラゴンを仕留めたのかという話になり俺は知らんぷりしてルノたちが待っている場所へ向かった。

 ルノは俺に気が付くと飛びついてきた。


「キョースケ! 君が戻ってきたと言うことはドラゴン退治は終わったのか?」


 俺に気が付いたアーノルドが聞いてきた。


「もちろん。作戦通りにはいかなかったが、なんとかドラゴンを仕留めることができた。怪我人が大勢出たから治療を手伝ってくれないか」


「もちろんだ」


 アーノルドは軽いノリで返事をしたが、丸焦げになった死骸を前にして食べたものを戻していた。六人全員が一発目のブレスで焼け死んだのである。あとは骨折などして全滅に近い状態だった。小型のドラゴンでこれだったら、普通のドラゴンだったらこいつらはどうなってしまうのだろうか。

 しかも、この後に控えているのはイタバシ砦の防衛である。こいつらで防衛ができるのだろうか……。アーノルドとマリアンヌさんの二人はセリナと合流したあと、シンジュクの町へ戻るとのことだったので俺もシンジュクの町へ戻るつもりだ。


「さて、イタバシ砦へ戻ったら直ぐにシンジュクの町へ戻るぞ」


「了解です!」


 ルノは元気よく返事をした。今回の旅でルノもゴブリンやオークなどを仕留めているのでレベルが上がっているはず。家に帰ったらステータスをゆっくり確認することにしよう。


「シノミヤ、悪いんだがイタバシ砦の防衛に参加してくれないか?」


 ラインハルトのオッサンがイタバシ砦の件で声を掛けてきた。

 もちろん断るに決まってる。


「ご主人さま、どうされるんですか?」


「ゴールドプレートのみなさんがいるんだ。俺みたいなメタルプレートがシャシャっても仕方がないだろ」


 オッサンには悪いが断らせて貰うと、オッサンは眉間にシワを寄せる。


「別に戦闘に参加してくれとは言わん。お前のポーションが必要なんだ。頼む、助けてくれないか!」


 イタバシ砦がおちたらシンジュクの町まで魔物が押し寄せてくると言われており、アーノルドたちも引き止められていた。


「キョースケ、どうしようか……。シンジュクの町まで魔物が押し寄せてくるとなると、ヨヨギ村なんてアッという間に蹂躙されてしまうんじゃないか?」


 アーノルドの言うことは間違っていない。あの程度の村は一瞬で廃村となってしまうだろう。


「分かったよ。俺は回復だけでよいってことで良いな? だけど作った奴が俺だって言うことは黙っててくれよな」


「助かる。お前の作るポーションは特別なものだからな。それがあれば追い返すことができるだろう」


 ラインハルトのオッサンは珍しく頭を下げ、俺たちは困惑してしまう。この中で回復魔法を使えるのは俺とゴールドプレートの何人かだけである。シェリルは魔法が使えるが回復魔法を使うことはできない。

 イタバシ砦までの帰り道は魔物と遭遇することが少なく、もしかしたらドラゴンに恐れて逃げてきた魔物が俺たちと戦っていたのかもしれない。

 二日が経ち俺たちはイタバシ峠へと戻ってきた。相変わらず夜になると魔物の襲撃があるらしく、昼間に寝ているものが多い。

 俺はポーションを大量に調合して怪我人に配らせる。エルフと獣人のハーフの女性が配れば男は喜ぶ。低ランク冒険者はせっせと薬草を集めてくると、その薬草を使って俺はハイポーションを大量に作る。

 俺が作るハイポーションはエリクサー並みに回復するので、欠損した部位が治ると言われている。実際に腕が生えてきたり見えなくなった目で治ったりするので間違いはないだが、エリクサーも材料さえあれば作ることは可能だ。

 俺たちが滞在して一週間が過ぎころ、やっつけた相手が回復して再び襲ってくる恐怖に魔物たちは様子を見るかのように引き下がり、その魔物を追撃るかのように冒険者が領土を拡大させていく。


「よし、夜襲もなくなったし襲撃もなくなった。これでシンジュクの町へ戻っても良いだろ。どうだオッサン」


 作戦会議室の一室を俺たちの宿舎代わりに使わせてもらっており、その部屋の中でポーションを作成していたのだ。


「そうだな、アーノルドの坊主たちも戻ったことだし、お前たちも戻って良いぞ。本当に助かった」


 オッサンはもう少し残って雑務をこなすとのことで、俺たちだけでようやく解放してもらえることとなり、帰り道は乗り合い馬車に乗ってシンジュクの町へ戻ることになった。

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