第44話 王族エルフ
高そうなソファーに腰掛けて待っていると、ルノは腕を絡ませてきた。胸が当たってる。いや、当てているのか?
「……私は用済みですか?」
どうやら新しい奴隷が気になるようだ。
「ルノができない部分を補ってもらうだけだよ」
「夜のお世話は譲らないですよ!」
何を言っているんだ。こいつ……。
しばらく待っているとドアが開き、ジョアンが先頭に数名の奴隷が入ってきたのだが、全て女性だった。
しかも全員が前回と同じような透けたワンピースを着ており、目のやり場に困ってしまう。よく見たら先ほどの王族エルフの三女も混ざっている。彼女は家事ができるのだろうか?
「ランクは下がりますが、全員が金貨100枚以上する商品になりますぞぉ!」
「先ほどの王族エルフも混ざってるが、家事ができるのか?」
「彼女はもう一度と言うものですからぁ、並ばせておりますぅ。好きなのを選んでくださぁいぃ」
年齢は全員20歳以下。みんな可愛いが緊張した表情をしている。選ばれたらこの館から出ることができる。ルノも気になるようでマジマジと見つめていた。
お前もこの中に加わっていたんだと言いたかったが、今は止めておこう。
緊張した顔で自己紹介を行っていく奴隷の皆さん。先ほどの王族エルフが再び自己紹介を行い終わると、ルノの時と同じで自分を選べ光線を発してきた。
何を企んでいるのだろうか? 企んだところで何もできやしないはずなんだが……。
彼女の名前はシェリル。身長はルノよりも少し小さいが、胸はルノよりもある。ルノは黒髪だがシェリルの髪はエメラルドグリーン。先ほど確認したが、下の毛もエメラルドグリーンだったので地毛なのだろう。
家事全般はルノと一緒に教えれば良いだけかもしれないし、金貨1,000枚以上するのならば貰って損はないだろう。
「そんじゃあ、その心意気を買おう。王族エルフのシェリルにするよ」
「Ouお目が高い! 金貨1,000枚以上の物を選ぶなんて! それでは契約を行いましょうぉ!」
ルノと契約したときと同じように俺は血を一滴垂らし、奴隷紋を肩に刻む。俺に何かあった場合、彼女らも共に死んでしまうとのことらしい。主人の命令に背くことはできないようになっているとジョアンは言った。
「そのまま外に連れて行くと何かと目立つから、これを羽織ってくれるか?」
俺はストレージからローブを取り出してシェリルに渡すと、シェリルは急いでローブ羽織り恥ずかしい格好から多少はまともな格好になったが、靴を履いていないため、ストレージからサンダルを取り出して渡した。
ジョアンが建物の前まで出向き俺たちを見送り、俺たちは急いで家へと戻ることにした。
シェリルの服や下着などを作る必要があるからだ。
すでに外は日が暮れており辺りは暗闇に包まれていて、何かをするには遅すぎる。冒険者登録は明日にでも行うにして、先ずは家でしっかりと飯を食べさせる必要があるだろう。
「ルノ、お前は彼女の先輩になるんだ。家の設備に関して分からないことだらけだと思うから、色々と教えてやってくれ」
「りょ、了解です!」
先輩と言われルノは少しだけ緊張したような顔をしていて、「私が先輩」と呪文のように繰り返し呟いていた。
家に到着してシェリルは「ちっさ……」と呟き、聞き逃さなかったルノがシェリルの頭を叩いた。
「獣人風情が何をするのよ!」
聞き捨てならない言葉にルノは再びシェリルの頭を叩く。しかも今度は強めに……。
「二度も叩いた! 親にも打たれたことないのに!」
何処かで聞いたことのあるセリフだ。
「今日から貴女が住む家なの! 炭鉱送りにされないだけ感謝しなさい!」
ルノが反論するかのように言った。まさかルノも狭いと思っているのか?
そりゃギルドやジョアンの屋敷に比べたら狭くて小さいだろうが、一般的な家庭で考えたらそこそこの広さだと思うんだけどなぁ。
「ルノ、俺の家は狭いのか?」
ルノが狭いというのなら引っ越しを考える必要があるだろう。
「狭くはないですよ。『平均的な広さ』だと思います」
平均的な広さを強調して言ってきた。
「ずいぶんと棘のある言い方するじゃないか。俺はそれなりに広いと思うぞ」
「いえ、そう言う訳では……。ご主人さまほどの大魔法使いがお住まいになられる家で考えると、少し手狭ではないかと思っただけですが、家の設備は大魔法使いの技術が込められておりますので私と二人だけなら十分素敵な住まいだと思います」
あ、なるほどね。これからは二人きりじゃないから拗ねているんだ。
「取り敢えず外で話をしても仕方がないから家の中へ入ろう。家に関してはこれから検討するとして、先ずはシェリルの服や装備などに関して作る必要があるだろう。それに腹も減った」
そう言って俺は家の鍵を開けて中に入ると、ルノも続いて家の中へ入ってきて、最後にシェリルが家の中へ入ってきた。
「先ずは風呂だな。ルノ、シェリルを風呂へ連れて行け。そのあいだに寝間着を準備するから」
「了解しました」
ルノは返事をしてシェリルを風呂場に連れていき、シャワーの使い方を説明している。その間に俺は鍛冶でミシンや裁縫道具を作り寝間着を作り上げてルノに脱衣所へ持っていかせる。
次はパンツやブラジャーだが、彼女の胸はルノよりも大きかった。ルノのサイズは分かっているので図る必要はないが、シェリルのサイズは分からない。あとでルノに図ってもらおう。
「貴方は貴族なの?」
風呂から上がったシェリルが聞いてくる。言葉遣いが悪い。ルノがシェリルを睨んでいるのが分かる。
「シェリル、俺はこれでもご主人さまなんだから、言葉遣いに気を付けるんだ。ルノを見習え……ん?」
ルノを見習えといたが、ルノも言葉遣いが良いとは言えない。しかもご主人さまである俺に対して好き勝手言っているし、暴力も振るってくる。あれ? 俺ってご主人さまだよね。なんだか泣けてくる。
「そうですよ私を見習いなさい! 私はあなたの先輩なんですからね!」
ルノに命じてシェリルのスリーサイズを測る。個人情報だから言わないがシェリルの胸はEサイズだった。なかなかに立派な胸だ。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。しかもステータスが思っていたよりも高い。
ステータス※奴隷
名前:シェリル
種族:エルフ
年齢:16歳
ポイント:40
Lv:8
HP:20
MP:60
STR:20
AGI:30
DEX:42
VIT:15
INT:48
【魔法】生活魔法・ファイアーボール1 ファイアーウォール1・ウインドカッター1・ウインドシールド1
【スキル】剣術レベル3
剣術レベルがルノよりも上でほかのステータスもルノよりも上な部分が多い。しかも知性が48とルノよりも高い。これではどちらが教育されるのか分からない。
夜はオークの肉を使った料理を作ったのだが、シェリルは肉をあまり食べずにサラダ中心の食事だったので、種族的に肉料理が苦手なのかもしれない。シェリルには客間で使うように言ったのだが、「相変わらず狭い」と言われた。これが普通の家だと説明するのだが、貴族だったらもう少し大きな家に住むべきだと言われた。貴族じゃないのに……。それからみんなが寝静まったころにシェリル専用の服が出来上がった。
翌朝、シェリルに服を渡したら今度は「ダサい」と言われた。本当にこいつは何様のつもりなのだろうか……。
「服のサイズはピッタリのはずだ」
「確かに気色悪いくらいピッタリね。ご苦労様……イタッ!」
言葉遣いの悪さにルノが手を上げた。暴力よくないかもしれないが、昨日も言われているのに態度を改めないシェリルが悪いだろう。
このあとシェリルを冒険者にするためギルドへ向かうことにした。




