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第42話 ギルドとの関係

 翌朝、俺が目を覚ますと隣にはいつものようにルノが寝ているのだが、ルノは服を着ていない。何故なら俺たちはついに大人の階段を上ったからだ。

 本や映像の中でしか知らなかったが、女性の体があんなにも良いものだっていうのを初めて知った。

 そして、ルノ(こいつ)を大切にしなければならないと、改めて心に誓った。

 しばらくしてルノは目を覚まし、恥ずかしそうにして自分の部屋へと戻っていく。それを見た俺も恥ずかしくなってきたので着替えて朝食を作ることにした。

 最近になり卵が流通し始めたことによって、卵が安価で買えるようになった。そのおかげで今日の朝食はハムエッグとパンである。

 ルノと美味しく朝食をいただき、この間の襲撃で倒したハーピーの報酬をもらいに冒険者ギルドへ向かう。

 ハーピーに襲われた建物は倒壊しているところもあるが、軽微なところも多く復興のめどがたち始めている。

 冒険者ギルドに到着して受け付けで先日の事件(ハーピー)について話、ギルドプレートを渡すして待っていると、セリナがやってきた。


「おはようございますシノミヤさん。その節はお世話になりました」


 その節とはいったいどれのことなのだろう。


「お前、テントくらい片付けてから帰れよ」


「今日は依頼を受けに来たんですか?」


 犬が尻尾を振っているように見える。


「ちげーよ。ハーピーの件で報酬をもらいに来たんだよ」


 なにかあったら声を掛けてくれとセリナは言って、丸テーブルの椅子に腰掛けて誘いを待っているようにみえた。

 しばらくしてラインハルトのオッサンがやってきた。なぜか俺とルノのギルドプレートを手にしてる。


「よう、シノミヤ。シケタ面してるな」


「いやいや、幸せいっぱいですよ。どうして俺らのギルドプレートを持ってんの?」


「いやな、この間の件だが……報酬は出ないんだ」


「え? なんで?」


 話を聞くと、街の復興に今回の報酬は使われているようで支払うことができないとのことであった。まぁ街の復興に使われているのなら仕方がない。


「そう言えば、ジョアンさんがお前を探していたぞ。お前の家を探したんだそうだが、見当たらなかったらしい」


「ジョアンさんが俺に? 何のようだ?」


「取り敢えず伝えたからな、行ってくれよ。ほらよギルドプレートだ、今回は嬢ちゃんだけがランクアップだ。よく頑張ったな」


 名前:ルノ 年齢:18歳

 種族:獣人ハーフ

 冒険者ランク:Cランク メタルプレート

 ポイント:264

 Lv(レベル):7

 HP:40

 MP:13

 STR():36

 AGI(敏捷):38

 DEX(器用):24

 VIT(生命):39

 INT(知性):13

 忠誠心:80

 【魔法】生活魔法(清掃・掃除)・剣術レベル2・射撃1


 ステータス画面を開くと、ルノのレベルが1上がっていた。ハーピーを仕留めたのは一匹のみだったということだろう。ルノはオッサンにお礼を言う。

 その後、掲示板を確認してから俺たちは冒険者ギルドを後にした。

 ジョアンが俺に何用なのだろうか。俺の家に来れないのには理由がある。今回はそうそうに結界の魔法具を作成し、家の周囲に張り巡らしているため誰も入れないようになっている。唯一入れるとしたらルノだけである。

 ラインハルトのオッサンが顔を出せと言っていたので取り敢えず顔を出してみることにし、ジョアンの屋敷へ向かった。

 ジョアンの商館は街のはずれにあり、近くには娼館が並んでいてジョアンの店へ行くまでに何度も声をかけられた。

 商館に到着したが、一向に復旧されているようにはみない。ハーピーに襲われてから随分と時間が経っているし、ジョアンはかなりお金を持っているはずだ。私営の軍隊を持っているほどだ。

 入り口をノックすると屈強な男が現れてギルドから用事があるとの話を聞いて尋ねたことを説明すると、屈強な男は中に入るよう言い、俺たちは中へ入った。

 ルノからしたら嫌な思い出があるだろう。先ほどから俺の腕にしがみついている。

 薄暗い通路を通り一つの部屋に辿り着くと、男は待つように言ってからドアをノックした。

 中から入るよう言われると男はドアを開けたが、外の陽射しが眩しく俺は手で(ひさし)を作った。


「これはこれはシノミヤ様! よくぞお越し下さいましたぁ。私は感激ですぞぉ!」


 相変わらず喋り方が独特だ。


「ラインハルトのオッサンから言われたんでね、俺を探していたらしいじゃないか」


「そうなんですぅ! 家の場所が分からなくなってしまいましてねぇ。私ぃシノミヤ様にお願いがありますぅ」


「お願い?」


「屋敷の修繕をお願いできないでしょうかぁ! 報酬はしっかりと支払いいたしますぞぉ」


 支払いもなにも治療した者たちの報酬も貰っていないが……。


「もちろん! 前回の分と合わせて支払いますぞぉ! 如何ですかなぁ?」


 まるで心を読まれたような台詞だ。


「こういう仕事ってギルドを通さなくっても良いのか? 不動産屋とかもあるんだろ?」


 率直に感じた疑問だ。


「すでにこの土地は私の所有物となっておりますですはい。ですので、不動産屋には話さなくても問題ありません! ギルドに関しては信頼のおける人に頼むと言ってありますぅ。親切で丁寧な方……シノミヤ様でぇす!」


 親切と言われても、井戸を直した程度しかしていない。いや、病人や怪我人も治療したか……。

 だって、苦しんでいる人を見過ごす理由にはならないもんな。


「本当に修繕だけで良いんだな?」


「Ou! 引き受けてくれるのですか!」


「あぁ、人手を貸してくれるのなら引き受けるよ」


「もちろん自由に使ってやってくださいぃ!」


 だが、本当にギルドを通さず行って良いものなのだろうか。

 そこだけが心配だから一応ラインハルトのオッサンには一言告げておこう。


「作業は明日から行う。その時までに人手を用意しておいてくれ」


「承知いたしましたぞ!」


 なんだか厄介な仕事を引き受けてしまった気がする。

 再び冒険者ギルドへ戻り受け付けでラインハルトのオッサンを呼んでもらうと、来客中だから少し待つように言われた。

 ギルドホールを見渡すとセリナの姿があり、朝からあの場所を動いていないように見えた。

 すると、セリナは俺たちに気が付いたらしく、少し顔を綻ばせながら近寄ってきた。


「シノミヤさん、何か依頼を受けに来たんですか?」


「ちげーよ。確認したいことがあったから来たんだよ」


「――確認したいこと?」


「セリナには関係のない話だ……いや、セリナ、明日は暇か?」


 コイツにも手伝ってもらおう。怪我人が出たら大変だもんな。


「暇……ですけど。毎日……」


 さらっと悲しいことを言いやがった。


「いま、屋敷の修繕を頼まれていてね。それで怪我人が出たら大変だから手伝ってくれないか? もちろん報酬は出すよ」


 報酬に釣られたのか、セリナは一つ返事でその場を後にした。チョロい。

 セリナがいなくなって少ししたらラインハルトのオッサンがやって来た。


「よう、待たせたな」


 セリナの相手をしていたのでそんなに待った気はしない。


「忙しいところ悪いね。ジョアンさんのことで相談があるんだ」


 ジョアンの名前を出すとラインハルトのオッサンは少しだけ態度が変わる。どうやらジョアンは街の権力者の一人らしく、俺たちは別室へと移動して話をすることになった。


「それでどんな話なんだ?」


 ラインハルトのオッサンが聞いてくる。


「屋敷の修繕を依頼されたんだけど、ギルドにも話を通しておこうと思ってね。先日の魔物の襲撃事件で商館も被害にあったんだよ。怪我人もいてさ大変だったんだぜ」


 大変ではなかったが、少し大袈裟に言っても悪くないだろう。


「ジョアンさんは疑い深い人だからな。人を選ぶんだよ。だからギルドに直接依頼してこないんだ。仕事柄人を見る仕事をしているからな、街の情報を集めまくっているんだ」


 だから俺のことも知っていたのか。


「修繕に関してはギルドは関与しない。個人の問題だから、お前とジョアンさんの約束ごとだから好きにすりゃ良い。ジョアンさんを怒らせるなよ」


 それだけ力を持った権力者ということか……。辺境伯とも親しい関係らしく、怒らせると厄介だとラインハルトのオッサンは付け加えたのだった。

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