第36話 乳繰り合い?
家に帰りつく頃にはルノはぐったりとしていた。
ギルドマスターと会っただけではなく、ホールでは俺の争奪戦。俺の意思は無視だ。飯を食う元気もない俺たちは、さっさと寝巻に着替えてベッドの中へもぐりこんだのだった。
翌朝になり俺が目を覚ます。ルノは相変わらず隣で寝ているのだが、なぜか下着姿だったのは気にしてはいけないのだろう。
ルノが起きる前に食事でも作っておくことにして、俺は起きることにした。今日の朝食はパンにシチューを準備が終わったころ玄関のドアをノックする音が聞こえた。
誰が来たか気になったのだが、昨日の面倒ごとを考えたら出るのは吉としない気がして、居留守を使おう。
昨日はステータスなどを確認してなかったので一応見ておこかな。
【ステータス】
名前::四ノ宮京介 年齢:24歳
種族:エルダードワーフ
冒険者ランク:Cランク メタルプレート
商人ランク:Eランク商人
ポイント:215
Lv:109
HP:表示できません
MP:表示できません
STR:65,920
AGI:65,935
DEX:65,981
VIT:65,995
INT:65,915
スキル・魔法:表示できません
エルダーリッチや地竜を倒したことからかなりレベルアップしたようだ。あんまり実感が湧かない。ステータスポイントはルノに付与しておこう。
【ステータス】
名前::四ノ宮京介 年齢:24歳
種族:エルダードワーフ
冒険者ランク:Cランク メタルプレート
商人ランク:Eランク商人
ポイント:0
Lv:109
HP:表示できません
MP:表示できません
STR:65,920
AGI:65,935
DEX:65,981
VIT:65,995
INT:65,915
スキル・魔法:表示できません
名前:ルノ 年齢:18歳
種族:獣人ハーフ
冒険者ランク:Dランク ブロンズプレート
ポイント:259
Lv:6
HP:35
MP:13
STR:28
AGI:29
DEX:17
VIT:26
INT:12
忠誠心:80
【魔法】生活魔法(清掃・掃除)・剣術レベル2・射撃1
ルノもレベルが上がっていた。といっても1しか上がってないが、これは大きなレベルアップだと思う。自分の力でオークを仕留めたのだから自信もついただろう。アシストしたのは一生内緒にしておこう。しかし、いっこうに玄関のドアを叩くのを止めようとしてくれない。仕方がなく俺は玄関のドアを開けると、そこに立っていたのはセリナだった。
「おはようございます。シノミヤさん」
「ど、どうも……」
セリナの笑顔が怖く感じる。
「……お客様ですか? ご主人さま……あっ」
下着姿でやってきたルノは自分の姿に気が付いたらしく慌てて奥に引っ込んだ。それを見ていたセリナは俺の方に目を向けて一言言い放つ。
「ケダモノさん、昨日の件について考えていただけたでしょうか?」
今、ケダモノと言った! シノミヤではなくケダモノさんと言いやがった。
「昨日の件てなんでしたっけ?」
「仲間の件です」
そう言えばそんな話をしていたな……。
「仲間といっても俺はしばらく冒険に行かないですよ?」
「彼女と乳繰り合うためですか?」
後ろを指差すセリナ。乳繰り合うって言った! 何か勘違いをしているんじゃないか?
「セリナさん、俺はルノには手を出してません!」
「そうなんですか? それで、どうして冒険に出ないのですか?」
「出ないというか、今は依頼を受けないだけですけどね」
「何故……ですか?」
「スギナミ洞窟で変に目立ってしまったからですよ。熱りが冷めるまでは依頼を受けない予定です。ですから別のパーティに入った方が良いかと思いますよ」
俺が断ろうとしたらセリナは泣きそうな顔をし始めた。何故に! 話が長くなりそうだったので家の中へ入れる事にし、セリナは椅子に座って辺りを見渡していた。そんなに珍しい物はないはずだが?
「朝飯は食べましたか? もしよかったら食べてください」
朝食のシチューとパンを出すとセリナはゆっくりと食べ始めた。ルノも着替えを終わらせて席に座り朝食を食べ始める。話を続けるとするかな。
「それでほかの冒険者と仲間に慣れない理由ってなんですか?」
「ングッ……ゴクゴク……。ぷはっ! お見苦しいところを見せてしまって申し訳ありません。理由は二つあります」
「二つ?」
「はい。先ず一つは私の年齢に見合わずメタルプレートだといことです」
「年齢?」
「こう見えてもまだ19歳ですよ」
「俺より年下なのか!」
その割には育ている……。おや、ルノの眼が怖い。
「シノミヤさんはお幾つなんでしょうか?」
「俺は24歳だよ。堅っ苦しいから敬語は使わなくてもいいよな」
「そうだったんですか。私と変わらないくらいだと……」
「それで二つ目は?」
「カレンお嬢様と一緒のパーティだったからです」
「カレンさんと一緒に組んでいたから?」
二つ目の理由はカレンのために冒険者を間引いていたらしく、他のパーティから疎まれているらしい。ここにもカレンによる弊害があったようだ。
「取り敢えず一時保留でも良いですかね? さっきも言いましたが、落ち着くまではギルドへ行くつもりは……」
喋っている途中で再び玄関ドアをノックされた。セリナと顔を合わせると、セリナは自分の知り合いではないと首を横に振った。ルノはノックの音を無視しており、仕方がなく俺が対応する羽目となった。何故に奴隷が働かない!
玄関ドアを開けると、今度はラインハルトのオッサンが立っていた。
「セリナ嬢がきたろ?」
「彼女なら中に居るよ。で、何しに来たんだよ?」
「お前に頼みがあって来たんだよ」
「頼み?」
立ち話も失礼だから取り敢えず中へ入れると、オッサンも室内を見渡しており、驚いた顔をしている。どう見ても普通の家だろ。
「それで頼みってなんだよ?」
「シナガワ湖付近に生えている薬草を採ってきてもらいたい」
薬草? そんなのアイアンプレートの仕事だろ。
「頼む相手を間違えていないか? 俺はメタルになったんだぜ。それはアイアンの仕事だろ。それに薬草だったらシナガワ湖じゃなくても良いだろ」
「普通の薬草だったらな。今回はハイポーションの薬草を採取してきてもらいたいんだよ」
ハイポーションの薬草といえばトゲトゲ草か?
「もしかしてトゲトゲ草か?」
俺の言葉にオッサンは頷いた。
「ちょっと待て、二人で行けって言うのかよ? 俺はともかく、ルノはブロンズになったばかりだぜ。無理だろ」
「だからセリナ嬢を寄越したんだよ。嬢ちゃんを入れれば三人だ。しかもメタルが二人にブロンズが一人」
正直言うと、俺とルノの二人でも問題ない。セリナはどの武器を使用できるのか分からない。セリナはどうしてかニコニコと笑顔であった。もしかしたらこの件を知っていたのか?
「セリナとオッサン、俺を嵌めたな?」
二人は何も喋らず俺を見つめている。何を企んでいるんだろうか……。絶対に話を合わせているはずだが、二人は黙っている。
「即興パーティほど危ないのはオッサンじゃなくても知っているだろ」
「だが、お前さんはセリナ嬢と共に行動をしていたことがあるんだろ?」
ギルドの職員なら知っていて当たり前か……。
「期限は?」
逃げ道は塞がれているように思え、俺は考えるのを諦めた。




