第2話 冒険者ギルドにて
記憶していた場所とは少し違うところにギルドハウスはあり、この世界はゲームとは違うということなのだと感じた。
ギルドハウスはゲーム内とは異なる大きさで、俺は少し気後れしてしまい、中に入るのを躊躇してしまったのだが、ここに突っ立っていても何も起こりはしないため、意を決して中へと入って行った。
中に足を踏み入れると、ハウス内はゲームと同じで酒場と合体しており、酒盛りしている冒険者たちがいれば、掲示板の依頼を眺めている者たちもいて、室内はかなり賑やかだ。
これから先のことを考えると、先ずは冒険者や商人となって、生活費を稼がなくてはならないため、俺は奥にある受け付けのがいる場所まで行き、受付嬢に話し掛けた。
「あの、ぼ、冒険者登録と商業登録をしたいんでスけど……」
少し緊張してしまい、どもってしまったが、相手は気にしてなさそうに冒険者登録の説明を始めてきた。
「いらっしゃいませ、当ギルドは冒険者ギルドでございます。冒険者登録には、登録料が銅貨五枚となっています。また、冒険者にはランク制度を設けており、Eランクがアイアン、Dランクがブロンズ、Cランクがメタル、Bランクがシルバー、Aランクがゴールドプレートとなっております。先ずはこちらの欄に名前と年齢を記載して頂き、こちらの紙に血を一滴お願いします」
ここら辺はゲームでも同じだった記憶があり、俺は言われた通りに銅貨五枚を支払い、氏名と年齢を記載し、ナイフで親指を少しだけ刺して血を垂らす。
受付嬢は、俺が書いた書類を手にして、記載漏れがないか確認しながら、血を垂らした書類に目をやると、俺の種族名が浮かび上がってきて、受付嬢は目を大きく見開きながら大声で叫ぶ。
「まさか! 貴方はエルダードワーフ族なの!」
やはり俺の種族はエルダードワーフのようだ。
「そうなんですが、物心がついた時には一人だったし、森で生活をしていたため、世間のことはよく分からんのです」
このような場合を想定しており、誤魔化すための言い訳を考えていたが、早くも使うことになるとは……。
「そ、そうなんですか……。エルダードワーフの情報が手に入ると思ったんですが、仕方がないですね。では、こちらがギルドプレートになります」
そう言われ、差し出されたのはアイアンプレートのネックレスだ。
「始めはアイアンプレートになります。依頼をこなして、どんどんと実力がついていけばランクが上がり、プレートの色も変わっていきますので、頑張ってください」
これに関してはゲームと変わらないが、商業登録に関してはどうなっているのだろうか。
商業登録をしていないと、露店などでものを販売することができないため、必ず商業登録をする必要があるし、もしも、勝手に商売をしてしまうと、衛兵に捕まってしまい、牢獄に囚われるだけではなく、罰金も払わなければならないのだ。
「あの、商業登録もしたいんですけど……」
「商業登録は、商業ギルドにて行ってください」
え? 商業ギルド?
「え? 商業……ギルドですか?」
初めて聞く商業ギルド。
「はい、ここは冒険者ギルドですので、商業に関しては、商業ギルドにて行ってください」
「その、商業ギルドって、どこに在るんですか?」
本当に知らないため、ギルドの場所を聞いてみると、受付嬢は少し溜め息を吐きつつ、手書きで簡単な地図を描いて渡してくれた。
俺はその場所を確認してからお礼を言って、冒険者ギルドを後にした。