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第20話 滞納

 今朝の件で気まずい空気が流れる俺とルノ。今日は室内の壁を行う予定だったのだが、今はそれどころの話ではない。


「取り敢えずそこに正座しろ」


 ルノは気まずい顔をして正座をした。


「この間から勝手に布団へ入ってくるわ、今日は俺の……その、あれだ! 咥えてるし。何がしたいんだよ」


 俯きながら黙っているルノ。なんとか言えよ。


「まぁ……俺だって男だからぁ……したいという気持ちはある。だがな、お互いが好きっていう気持ちがあって初めて行うんだぞ!」


 たしかに気持ちよかったが、そんな話ではない。


「……だからですか」


 突然何かを言い始めたが、何を言っているのかよく聞こえない。


「聞こえねーよ」


「私が奴隷だから抱きたくないんですか!」


 正座していたルノが立ち上がって言った。


「だから、どうしてそうなるんだよ!」


 奴隷とかどうでもよい。お互いが納得して行うなら良いと言っているだけだ。


「私を抱かないってことは……私を商館へ戻すつもりなんだ!」


「誰もそんなことを言ってないだろ! お互いが納得して行う行為だって言ってんだよ! 一方通行っていうのはフェアじゃないって言っているだ。別にお前を嫌っているわけじゃない!」


「なら、身を任せてくれても良いじゃないですか! 伽をするくらいしか…価値なないじゃないですか……」


「そんなことはない。お前のポテンシャルは俺が引き出してやるし、俺が価値をつけてやる」


 ジト目で俺を見つめてくるルノ。


「時が来たら俺からお願いするから、自分を安くするなよ。わかったか!」


 納得してなさそうな顔をしながらルノは頷き、ようやく俺たちは宿屋をあとにして、自分たちの家へと向かった。

 今日の予定は電気配線をはりめぐらせて内壁と天井の断熱材施工とボード張り、パテ処理である。これができれば今日は宿屋に泊まる必要もない。

 太陽光パネルからの出ている配線を伸ばして各部屋に回していき天井と壁から配線を出していく。


「これは何ですか?」


 初めて見るものにルノは疑問を感じたらしく質問してきた。


「これは電気配線。これで明かりをつけたり消したりすることができるんだ」


 そう説明してもルノには電気と言いうものが理解できないらしく首を傾げていた。

 壁の断熱材を先に取り付けてしまったため配線を通す作業は思ったよりも時間がかかってしまったが、ここから先は二人で作業できるため時間を取り戻すことができる。ルノが天井の断熱材を敷き詰めていく間に俺は天井のボードを張り付けていく。天井が終わったらルノに目地や釘の部分をパテ処理をしてもらっている間に俺は壁のボードを張り付ける。

 残りは二人でパテ処理を行い、今日の作業は完了となった。


「今日も宿屋で休むのでしょうか?」


「いや、今日からはこの家で休むつもりだ」


「でも、粉だらけですけど?」


「そこは魔法で奇麗にしてしまうさ」


 自分の魔力量では掃除ができないとルノは言うが、俺の魔力だったらこの程度はあっという間に奇麗にできてしまう。俺は生活魔法を使って掃除を行うと、部屋の中は見違えるように奇麗になり、ルノは声を上げて驚く。明日は壁紙を張って、巾木、コンセントや照明を取り付けて完成をなる。

 昼飯を食べずに作業を行ったためお腹がかなり減っており、ウサギの肉を使った料理を作り、二人でお腹いっぱいにして布団を敷く。


「今晩は余計なことするなよ」


「そんなことを言わずに抱かれてください!」


「時が来たらって言っているだろ。お前を大切に思っているから、気軽にそういうことをしないんだよ。そんなことくらい理解しろよ」


 大切に思っているという言葉にルノは顔を赤らめてしまい、さっさと布団に潜り込んでしまったので、俺も寝ることにして布団の中へ入って夢の世界へと旅立った。

 翌朝になり目が覚めると隣にはいつものようにルノが寝ていたが、昨日みたいにおかしなことはしておらず、ただ単に寒かったから布団の中に潜り込んできたようだ。

 起こすのは可哀想と思いそのままにしてあげて俺は朝食を作り始めると、ルノが起きてきた。眠そうな顔をしているルノだったが、顔を洗ったら目が覚めたらしくいつものようにウダウダ言ってうるさくなった。

 朝食を食べ終わり布団をストレージに仕舞い今日で完成させるつもりで残りの作業にはいる。先ずは昨日塗ったパテをルノが平らに削っていき、その間に俺は寸法を測って壁紙の張る準備をしていく。

 フローリングに糊が付くと落とすのが厄介になるため養生をしっかり行い、真っ白な壁紙を張っていく。壁紙を張り終えた部屋を見たルノは「うわっ! 本当に綺麗になった!」と驚きの声を上げていた。

 午前中のうちに壁紙をすべて張り終え、午後は巾木などの装飾品を取り付けていき完成した部屋を見たルノは喜びの声を上げていた。

 夕方になりコンセントや照明を取り付けて明かりが点くのかてすとしてみて、問題なく明かりが点くとルノは不思議そうに電気を点けたり消したりしていた。

 最後のコンセントを取り付けて完成させると、ルノは喜びの声を上げた。

 まだ室内は粉っぽいため、生活魔法を使って部屋の空気を洗浄させ完成。


「テーブルとかは家具は明日設置させるとして、建物の改修はこれで終わりだ」


 完成した部屋を見てルノは「凄いです!」を連発していた。ルノにトイレの使い方やお風呂の使い方、その他の設備に関しての使い方を説明するのだが、すぐに理解するのは難しいようで顔をしかめていた。


「取り敢えずトイレで水を使った際、水を流せ。あとはその都度使い方を説明してやる。わかったか?」


「りょ、了解です……」


 使い方を覚えるのに苦労しそうだとルノは思っているのだろうが、俺からしたら井戸で水汲みをするよりも楽ちんだと思う。

 今日は完成記念として冒険者ギルドの酒場で食事をすることにしたのだがカレンたちに会わないか少しドキドキしたのは言うまでもない。

 翌朝になり、ルノは自分の部屋を与えられたことに喜んでいたが、何故か寝るときは俺の布団に潜り込んでくることは変わらず、いちいち文句を言うのも面倒くさくなったので諦めることにして一緒にねるっことにした。しかし、シングルのベッドでは狭すぎるので俺の部屋はダブルのベッドを設置してある。一応、ルノの部屋にもベッドを設置してあるのだが、ルノは使うつもりはないらしい。

 数日は家でのんびりしていると、ルノは少し疑問を抱いたらしく質問をしてきた。


「家が完成してからあまり出かけておりませんが、生活費などは大丈夫なのですか?」


「生活費? あぁ、問題ないよ。金なら国家予算並みに持っているから」


「またまたぁ……」


 ルノは冗談ばかり言っていると思っているが、俺はメニュー画面に表示ができないほど金貨を持っている。逆に言うと、銀貨や銅貨の方が少なくいつも金貨で支払っているため、ルノに注意されることが多かった。

 そんな生活を一か月送っていると、ラインハルトのオッサンが家を訪ねてきた。


「ずいぶんと家の雰囲気が変わって驚いたぞ」


「あんなボロボロの家に人は住めませんよ。それで今日は何の用事ですか?」


「お前、家賃を滞納しているという話を聞いてな。不動産屋に行ってないのか?」


「へ? この家はくれたんじゃなんですか?」


「バカ言え! この街で売っている家なんて貴族の家くらいしかないぞ。貴族の家を買うのにお前の奴隷を三人ほどは購入できる。この家はお前が住む場所を求めていたから提供したまでだ。分かったのなら、早く家賃を払ってこい。家賃は一か月銀貨1枚。古い家だったから増改築は自由で契約してある。ギルドの信用で借りているんだから、早く払ってこい!」


 まさかの借家。言うことを言ってラインハルトのオッサンはギルドへ戻っていき、ルノは心配そうな顔をして俺を見ていた。働いていないのでお金の心配をしているのかもしれない。


「面倒くせぇ……。不動産屋に行って家を購入してくるかな。ルノ、出かける準備をするぞ」


 そう言って俺たちは不動産屋に家賃の支払いと、今の家を購入できないのか確認しに行くことにしたのだった。

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