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アークの涙 -転移した者たちの戦争物語-  作者: 臼田クロ
第壱章 サファイアシュラン編
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ようこそ天使たち

なぜだろう、

あれだけ弱々しく見えた伊藤はなぜか強く見える。


「良かった、目覚ました」


「高いアークエナジーを検知して駆け付けてみれば本当にいたんだのう」

知らない老いた男の声だ。


起き上がるとそこは湿地帯のようななにもない場所…

伊藤の後ろに短い黒髪のメガネをかけた女性、背の小さなオールバックの少年、そして中央に佇む老人と数十人の武装兵。老人以外は皆伊藤と同じ戦闘服を着ている。


「水天様、とりあえず王宮へ運びましょう。ここは危険です。」女が言った。

「賛成。でも俺は運ばないぞ。」少年は言った。


「うむ。ここはひとまず王宮で話をするとしよう。いいかね?」

「は、はい。お願いします。」


独特の馬車に一人で乗り、運ばれる。

湿地を抜け、広大な農地を通り過ぎ、人の多い街を抜けたあと大きな城に入れられた。かなり長い道のりだった。警備を見るにかなり警戒している様子だ。景色は全体的に現実世界の北欧に似ている。




大きな広間に水天様と思われる老人と女、少年そして伊藤が立っている。


「いきなりのことで何が何やら分からないだろう。ここは君たちのいる世界とは別の世界『アークワールド』。君はエーテルゲートを通ってこちらの世界に来たのだよ」


「自己紹介が遅れたね。私はライネン・オールディン・エイリック。ここ水のアーク国家『サファイアシュラン王国』の王、水天じゃ。」

「私は王国軍大将マリア・ノルデンです。」

「同じく大将のカール・ヴィクマンでーす」



「ここアークワールドは4つの国に分断されていてそれぞれ水、火、風、土のアークを宿しているの。そしてその4つの国には全てリーダーの星天がいて、それぞれ水天、火天、風天、土天になってるのよ。うちの国は水天が王になって国を治めているわ。」

伊藤がようやく解説してくれた。


「君たち2人がここに来てしまったのはアークエンジェルだからじゃ。アークエンジェルは高いアークエナジーが秘められていて各国1人ずつまでしか転移させられない。その上この戦争に勝たないと帰れないんじゃ。なんとも非人道的な話だのう。」


全くだ。いきなりさらっておいて戦争を強制するなんて残酷すぎる。


「じゃあなぜ俺たちをここに連れてきたんだ?それになぜ各国1人なのに2人来れてるんだ?」


「私も本望ではなかったのだ。だが半年ほど前にこの国で最も強い兵士、総大将エリック・ヴィクマンが戦争の殉職した時最期に全てのアークと命をかけてゲートを開いてアークエンジェルを呼んでしまったんじゃ。」


「普通なら私たちの世界でゲートが開いてそのまま転移するはずだったらしいの。でも隣国のアークエンジェル、三門帝牙(みかどたいが)が強制的に自国のアークエンジェルにしようとしたけど渉のおかげでそうならずにすんだわ」


どこも必死のようだ。やはり戦争は残酷だな。


「とりあえずアークというものが何かも知りたい。俺も三門帝牙のようなスピードを出せるのか?」


「そうとは限らないわ。アークエナジーの量も使えるアークライトも千差万別十人十色よ。アークエンジェル以外のアーク使い、アークライダーはその国のアーク由来のものが多いの。まあ4人の星天は純粋なアークライトのみね。」


「俺もこの戦争に参戦しないといけないわけか。分かった。とりあえずアークライトというのを使えるようになりたい。」


「話が早くて助かるわい。では訓練用施設に移動しようかのう。」


俺たちは王宮地下にある訓練施設に向かった。中はとても室内とは思えないほど広く、入口に森がありその奥に大きな草原と湖がある。そしてマリアと2人でその草原に着き、向かい合って立った。


「よろしくお願いします。渉さん。」

「よろしくマリアさん」


「まず、アークライトとは眉間の少し上にある松果体という脳の一部からアークを供給することで発動できます。まずアークを出すところから始めましょう。目を瞑って集中してみてください。」


言われた通り目を瞑って集中した。たしかに眉間の上あたりに何かを感じる。


「そうです。その調子です。次にアークライトを発動してみましょう。もう既にイメージはあるはずです。」

「たしかに、ここに来た時からなにか頭にイメージがあるな」

「そのイメージをハッキリさせてアークを流してみてください。」


アークを流すイメージ……集中…


すると両手が突然白く光りだした。


「その調子です。あの木に向かって攻撃をしてみてください。」

「いきなりそんなこと言われても…」


とりあえず少し遠いが殴ってみよう。


強く地面を蹴ると一瞬で木の前に移動をしそのまま殴ると大きく太かった木が枝のように折れた。不思議と力が奥にみなぎるのを感じる。

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