擬人法を考えてみた。
幼い頃からオレは小さい。
一緒に生まれたヤツらは、みんは潮の流れに素直にのっかって去っていた。
オレはいつも同じ岩陰にいる。
たまに目の前にいる小さなムシなんかをパクんとたべる。
オレは体より口がデカいんじゃないかと自分でも感じる。
でっかい口で、自分の口より大きなエビをちょんちょんしてる。
たまにキラッと光るやつがあるけど、オレの口よりデカいから食べない。
そうやって、過ごしていたら、ある日、目の前にプリンって美味しそうな海老がきた。
もちろん、
ーぱくん。
と食いついた。
ら、
ぐんぐんひっぱられた。海から強引にひきぬかれた。
ーしまった!これが、釣られた!だ。
仲間たちが急にヒュッて浮かぶやつだ!
逆バンジーだ!
いや,待て,魚のバンジーってなんだよ?
まあ、いい。
とにかく、オレは釣られたらしい。
目の前にはオレを見つめるニンゲンってヤツがいる。
「あちゃー。ベビー釣ってしまった。よく食べたなあ?おまえ」
だれがベビーだ!オレはヘビーだ!
いや、ウミヘビは、怖いし、ギンポとは縄張り争いでたまにまけるが。
「ミャアー」
って、別の音がして、
「うーん?さすがにこいつは、リリースだなあ?もうちょっと待ってくれよ?じゃあ、またな?」
って、オレは痛い口を解放されて、
ーパシャって、海面におとされた。
いてーぞ?おい!
頭から投げろ、ぼけ!いや、だからってサイドスローはやめてくれ⁈
飛石じゃないぞ?
ー正しいリリースなら、網のまま優しく返してくれよ?
いや網が届かないのは、しっている。
なぜにサイドスローでなげた?
だって高いところからなげるなら、そうなる?
なんて、いうんだ?
高いだけGがますなら、高く円をかいて投げるより、サイドスロー?
ーどっちも痛てーぞ⁈
遠くに投げても、オレは古巣に戻っては、
「まだまだチビだな?」
って、ヤツと毎回のキャッチandリリースをしている。
そんなことをしているうちに、何度も大潮を体験したオレは、古巣を離れた。
たんに身体がデカくなり、浅い場所だと干上がるからだ。
ヤツとも、さらばだ。
あいつはハゲてないが、いざ、さらばだ?
そう思いながら、ちょっと沖で過ごしていた時、朝まずめに、目の前に、でっかい海老があらわれた。
見たことない、デカいエビだ!
もちろん、ぱくん、と食いついた。
その瞬間、
ー痛っ!
久しぶりに感じる痛みに、
ー負けるもんか!
オレは、何度もアイツに、
そういえば、
ー釣られていた。
そう、
オレは釣られていた。
「やった!俺ってマジすげー!」
ピョンピョン飛び跳ねるヤツがいる。
オレは内心ほっとしていた。
だって、コイツならまた海にかえれる。
ーはずだった。
クーラーボックスが無慈悲に閉じられた。
「私は絶対食べないからね?」
なら、
ー海にかえしてくれ!
「大丈夫よ?私たちが美味しく食べるから」
ーこれぞ、まさに、
the end?
擬人法を考えたらこうなる?