61/63

SS 3

「朝陽、なにのむ？」

って、同期の浅井颯太にきかれた。

浅井くんは珍しく小学からの幼なじみだ。といっつも、学校はそんなに多くないし、中学校は別だけど、私たちの小学学校は人数がすくなくて、仲良かった。

たびたび同窓会があり、大学も同じになり、職場もおなじ。

最近できたイケメン後輩より、ちょっとぽっちゃりしてるけど、実家の農家をよく手伝ってるらしく日負けしていて、不健康にはみえない。

彼は昔から私を朝陽とよぶ。というか、小学時代の幼なじみとか大抵そうだ。

自販機をまえに颯太がそう言うから、

「なに？おごり？」

「うん、ポイント貯まった」

「自分のだむに使ったら？」

「期限あるらしい。何がいい?」

言われて、ふと思いついた。

「コーヒーの甘ーいやつ」

「おまえ、ブラック派じゃ？」

っていいながら、颯太がスマホを操作して、ガコンとブラックコーヒーがでてきた。

「他人にやる気か？」

「さすが、ながい付き合い、颯太あたりだよ？」

私はうなずいて、颯太がくれたペットボトルをてにとる。

まだアイスな時期だ。

「最近、Uターンしてきた神城竜生だろ？イケメンが入ってきたって、みんなはしゃいでた」

「イケメンだよ？中身も」

「へぇー、興味無さそうだな？イケメンなのに」

颯太はスポーツドリンクをひとくちのむ。日焼けした喉仏がごくん、と動く。

みなれた横顔だ。

「そういえば、花音、もうすぐ帰省だっけ？」

小さな地域で、誰と誰が付き合ってたかなんかすぐ伝わる。

颯太は微妙な顔した。

「なんかアイツまだ勘繰っててさ？あっ、そうだ。そのイケメンつれてダブルデートしないか？」

「付き合ってないのに？昔から花音ら私に突っかかってくるからなあ」

勝手にライバル視してくる同級生にため息つきつつ、

ーブラックじゃないけど、釣れるかなあ？

ってコーヒーに思った。