ラッシー
吾輩は猫である、って有名らしい。
ぼくの遊び相手は、たまに、
「ラッシーは、犬なら吾輩じゃないの?」
ってきいてくる、正直、
ー知らない。
犬って種類もよくわからない。にゃあ、って泣くやつはふたついる。
ピョンピョンはねるやつと、俊敏に逃げるヤツ。
どっちもよく跳ぶ。
ぼくは、走らないとたぶんぼくをとじこめてるこの場所からは、でられない。
逆にいうと,たぶん飛び越えられる。けど、目の前にいるぼくをなでたり、ノミをとったり、気持ちいいブラシをかけたり、散歩やごはんをくれるハルマのそばにいたいから、ぼくはここにいる。
ハルマはぼくにもいちばんの遊び相手だ。ぼくのリーダーだったジィチャンは、ピーポーピーボーうるさい音がするクルマが来てからは、見かけなくなった。
ぼくには、ハルマしかいなくなって、ハルマはぼくのそばによくうずくまって泣いてた。
よくわからないけど、ぼくはそばにいた、ハルマを引っ張ってたリードも、もうハルマの方が力が強いけど、ハルマはぼくのそばにいる。
吾輩は、わかんないけど、ハルマがそばにいた。だけど、
「ラッシー、俺、福岡の大学に行くんだ」
そうハルマが言った。ぼくはもうあんまりはしれなくはなってた。柔らかいフードしか食べられない。
「寒いわね?ラッシー」
幼いぼくと時を重ねてた子供達がいなくなり、ハルマが幼いころ、イセカイジンってよんでた人が、ぼくを世話してくれた。
ぼくは家の中で生活はじめた。散歩はあまり行かなくなったけど、やさしい手がぼくを撫でてくれる。
大学ってヤツが休みになったらハルマは、
「ラッシーただいま!」
って言って、いつも散歩に連れていく。時間は少しでぼくのベースで,ハルマはゆっくり歩きながら、
「ラッシーは、吾輩か?」
ってぼくにきくけど、
「ぼくは、ハルマだよ?きみは、ラッシーだよ?」
そう優しく撫でてくれたから、
ーぼく、だ、
そうヨタヨタ歩きながら、たまにハルマに抱っこされながら、ぼくは散歩に行くけど、
「ーにゃあって、なくなよ?」
ハルマはびびってる。だいじょぶだよ?
ーぼくは、
ーわふっ?
ってなくから。




