ねえ?先輩。
ねえ?
先輩。
きいてください私の初恋を。
あっ。逃げちゃダメですよ?
えっ?
逃げる?
ダメです。
ちゃんと、聴いてください。
わたしの大切な初恋、なんです・・・。
ねえ?
先輩。
聴いてくれますよね?
先輩とであった頃の季節を。
あの青春の一ページを。
ねえ?
先輩。
わたしは、たしかに、あゆみました。
先輩、とともに。
ねぇ?
先輩。
うちあけても、いいですか?
あの日のわたしの想いを。
ねえ?
先輩。
南九州の夏の暑さを。わたちたちのふるさとを。
ねえ?
先輩。
わたしは、大学生であなたを追って、この街に進学しました。
あの、とてもつよい土のかおりと、真夏日差しが、
ー陽ざしの県から。
南九州の私たちのふるさと。
ねぇ?
先輩。
おぼえていますか?
わたしたちがはじめて、あった日のことを。
ねえ?
先輩。
あっ、また、逃げないでください。
ふたりのたいせつな、
ー記録ですよ?
そういったんですよ?
ねぇ?
先輩。
あの日、わたしは、傘をわすれてしまったんです。
南九州の、わたしたちの、
ーあのふるさとは、
南九州だから、時々、ものすごく天気がかわるんです。
ねぇ?
先輩。
先輩は知ってまね?
わたしよりも、よくカサをわすれますよね?
ねえ?
先輩。
いつだって、雨の中をパシャパシャとわたしの後ろからかけてくきて、
-カサを忘れたからいれてくれって。
そういって、いつも強引に、
ねえ?
先輩。
そういって、いつだって、ちょっと強引にわたしのカサにはいってきましたね?
えっ?
おこっているかって?
あたりまえですよ?
ねぇ?
先輩。
ー逃げないでください。
南九州の、あのふるさと。
はじめて、先輩とであいましたね?
あの日も雨でした。
ねえ?
先輩。
ちゃんと、逃げないで、きいてくださいね?
わたしの大好きな先輩の話なんだから