3「斉藤学2」
俺たち参加者は、一同に集められていた。
「ハロー、皆さん! 総理大臣の国枝由神ちゃんです、はい」
前方には総理大臣の女の子がいた。ニュースで見た通りの姿だ。
「私、日本の未来を憂いているんです。だからここにいる皆さんには、頑張って欲しい。本当に期待しているんです、はい――」
可愛い声が、一段、低くなった。
「――まあ、99%の人は生きて帰れないんですけど」
静寂が広がった。
その後、鼓膜が破れそうなほどの罵声が場を包んだ。
「わ、わ、わ! 落ち着いて下さい! よく考えたら、99%じゃありませんでした!」
少しずつ、罵声が小さくなっていく。
「えー……実は、ここに集められたのは、1万人ではないんです。ちょっと抵抗される方が予想以上に多くって……ここにいるのは9962人です。はい。つまり、38名の方は既に亡くなっております。デスゲームに参加するぐらいなら、大量殺人犯になってやる、という方もおりました。安心して下さい。その方は駆除済みです! えへん! ということで、残り100人になるまでやるので、98.いくつか%って感じです」
また罵声が会場を包む。
「うるさいですねー、うるさいのは馬鹿っぽいから嫌いです。はい――」
総理の顔が、ニッと大きく歪んだ。
「――静かにしないと殺すぞ☆」
なぜかその声は、会場中を通り抜けた。
でもまだ完全には静かになっていない。
「仕方ないから見せしめしましょうか」
総理が群衆の一点を示した。
するとその先にいた一人が、空へと昇っていく。
男は苦しそうに、首を押さえながら……
男の周りには何もない。何もないのに勝手に浮き上がっていく。
しかし男の様子だけを見るなら、首吊りだった。
もがき苦しんでいたが、ある瞬間からガクンと、動かなくなった。
「静かになってくれて嬉しいです。はい」
総理は言った。
「そういえば、知っていますか? ここは北海道なんです! ぜひ自然の美味しい空気を吸って、クリアに頑張って欲しいです、はい。それにみなさんにはお高いベッドを用意したんですよ? 昨日はよく眠れたと思います」
ひどい静寂が場を包んでいる。
本当に誰も一言も喋っていない。
頭が痛い……結局、ずっと寝ていない。2徹だ。
声を漏らさないように、注意する。
「で、おまちかねFirst Stageの説明に移りたいと思います。半分くらいのプレイヤーは脱落するんじゃないかな~って感じです、はい。今から説明します。一回しか言わないのでよく聞いててくださいね~」
総理は言った。
「みんなもやったことあるよね!? その名も、『負けたら即死! ○×ゲーム』です、いぇい! ……あれ? 反応なし? ちょっと悲しいです。はい」
見せしめが効いている。
先ほどの男は、空中でだらんと動かない。
「えっと。気を取り直して……ごほん、First Stageのルールはとっても簡単です。○×ゲームをして、勝ったらライフが貰えます。負けたら死にます。最初みなさんにはライフが1つずつ与えられますが、24時間以内に2つ以上にしてください。もし24時間経った段階で、ライフがたった1個しかなかった場合、死ぬことになるので、頑張って○×ゲームをして、勝って下さい」
負けたら死ぬ。
その言葉は、ここに来る前からある程度覚悟はしていたことだ。しかし……
○×ゲーム?
あれは小学校の時にやったことがあるが、引き分けにしかならないゲームなはずだ。
となると通常の○×ゲームとは何かが違うのだろうか。
「あとは……そうだ、命を決めるゲームですからちゃんとした会場を作りました! って話です。みんなのために500箇所も用意したんです。すごいでしょ? ――ってまた反応なしです、はい。しくしく」
総理は泣き真似をした。
「……皆さん、支給したスマホは持っていますよね? スマホから○×ゲームはエントリーして下さい。すぐに会場が指定されるので、10分以内に移動してください。試合会場が足りない場合は待ち時間が発生しますが、まあそんなことは多分起こらないと思うので、そこは安心して下さい」
500箇所……つまり1000人が同時にプレイができるわけか。
「あと、暴力は禁止です。その他違反行為も、警告の対象となります。警告2回で、死、なので注意して下さいね」
そこで、総理は口を閉じて、俺たち群衆をじっと見る。
「いやあ皆さんすごい集中している! っていうのが伝わってきます! いいですね、真剣で。もしかして、私が説明は1回しか言わないって言ったからですか?」
当然そうだろう。
声には出さないが、頷いている人もいる。
その様子に総理は、意地悪そうに、楽しそうに笑った。
「たった今、皆さんにメールを送りました。詳しいルールはそこに書かれているので、参考にしてみて下さい♪」
パン、と総理は手を叩いた。
「さて、First Stageスタートです!」