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19「伊南悠5/河野英善5/野口竜馬1」


 霧島、中島、野口の3人との去り際、僕は観察していた。


 当然、3人とも負の感情を持つはずだろう。

 だからこそ普段こんなことはしない。けれど流石に自分の命をかけることはできなかった。もし、決定を先延ばしにしているだけだとしても、死にたくなかった。


 僕以外の3人とも乗り気だったはずだ。

 発案者の霧島は言わずもがな、ライフゼロの中島も野口も乗り気だったはずだ。


――なのに負の感情を2人からしか感じない。


 僕はこの能力だけには自信があった。

 自分が他人を極端に恐れる原因であり、振り回されてきた。でもだからこそ、信頼もあった。


 僕は、その相手をじっと観察する。


 40代であろう、その中年男を観察する。


 中島太一は――多分、余裕がありすぎる。今までの全ての発言が演技だったと思えるほどに。




 ※




「ま、でもいっす。必勝法はあるっす、ライフ1の奴を見つけてこれば今度こそできるっす。ね、中島のおっさん」


「いや……確かに伊南君の言う通りかもしれん。死体のスマホ、特に発案者である霧島君は信用できない」


 私、中島と名乗る河野英善は、方針を変更する。


 あの伊南という少年。

 思った以上にくせ者だ。

 やはり自分という存在を前に出すべきではなかったか。


 この複数人でスマホ交換をする方法は、なかなかに効果的であるが、いかんせん説明が難しい。そのためこの河野英善が自ら行うことにしたが、失敗した。


 そもそも霧島が良くない。

 伊南は最初から霧島を警戒していた。私の演技は見抜けなかったと思うが、いかんせん霧島が怪しすぎた。とはいえ常人ではなかなか気付くようなことではないと思うが、伊南が本当によく観察していたという話か。


――それに最後の瞬間。私は気を抜いてしまった。確かに、最後は嫌な顔を作るべきだったか。命がかかっているんだ。あの状況でなんの感情も揺れ動いていないというのは確かにおかしいかもしれない。


 まあ、確信に至るほどではないだろう。


 Second Stageのためにも私という人間に対して悪感情を持たれたくはなかった。だからこそ関わった人間はすべて殺すつもりだったが……それをするならこうやって前に出るべきではなかったか。しかし私という戦力を遊ばせておくのも、この短い時間では痛いかと思ったが。


 いや、いい。

 こっからは社長として、前線は奴隷達に任せようか。


 その代わり新たな事業を2つ始めよう。


・新たな奴隷の獲得。スマホ交換法による(2人)

・新たな奴隷の獲得。スマホ交換法による(3人以上)←new!

・死体からスマホを回収

・特定の人の悪い噂を広める←new!


 一つ目は今やっていた3人以上に対するスマホ交換法。今回は失敗したが、伊南が強かった。おそらくレアケースだろう。


 二つ目はブラックリストを広めること。必勝法を教えたのに取り逃がしてしまった、特に野口みたいな人間には容赦なく悪評を流して、必勝法を使えなくさせるべきだ。




 ※




 くそっ!!

 ふざけんなって感じっす!!

 こっちはこれで勝てたっすのに!!


 はぁ? 死体のスマホ?



 そ ん な の 知 っ て た っ す ! ! ! (※本当は知ってない)



 でも仕方ないっすよねぇ!? 

 だってこちとらライフゼロっす!

 そもそも可能性がゼロみたいなものっす!

 だから死体のスマホ? その程度のリスクなんて関係ないっすよ!!


 伊南ってガキのせいで中島のおっさんは、必勝法やる気なくなったっす。ありえないっす。ぶち殺案件っす。


 でも必勝法の方法は分かったっす。完璧に理解しているっす!

 だから自分で相手は探すっす。


 そもそもの話っすけど、よく考えたら、霧島は4人でやってたっすけど、3人でもいけるっすよね? これに気付いた俺天才っすかね~


 っすことで、超効率的に行くっす!



――あれ? 俺避けられてるっす!? なんで!?


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