表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からっぽ少年と白銀少女  作者: 夏乃イロ
5/18

4話【前編】

 ギルドに入るとどこか重っ苦しい空気が漂う。

 また来たよ、とか今度は男連れてきたぜ、とか。

 どうやら彼らの標的はシトラらしい。こんな時無知な自分を呪う。

 そういえばいつも誰かに流されて生きていたから自分から動くなんて自殺が初めてだったんだ。シトラが俯いて更にフードを深く被った、そんなとき。



「嬢ちゃんじゃねぇか、そっちは客人か?」



 いかにも、武術家というか格闘家と言った腕や手に包帯を巻きグローブをしてバンドで髪をかきあげた、まさに漫画に出てくる冒険者な男が話しかけてきた。

 そいつが話しかけてくると途端に段々と中がザワついてくる。おそらくムードメーカー的存在なのだろう。



「フレッドさん、お久しぶりです」



 とシトラが安心したように挨拶すると、こちらを肘でつつき、「良くしてくれる人なの」と教えてくれた。



「えっと、こんにちは、明日人です」



「アストっつーのか、言いづらいな、坊主じゃ駄目か?」

「えぇ......」



 そう言うとフレッドは「冗談冗談」と茶化してくる。何が冗談だ、とため息を着く。というかシトラを嬢ちゃんと読んでる時点で危ういだろう。


 顔を顰めると、


「まぁまぁ、落ち着けよ。2人は今日は何しに来たんだ?」


と聞いてくる。えっと確か......



「アストさんのギルド登録に来たんです」



「あぁ、なるほどな!ちょっと待ってな、受付嬢に話つけとくからせっかくだし見学でもしてろよ」



「い、いいんですか?」



 彼は人が良いらしい。



「おうおう、後輩には優しくしねーとな!今日は俺が奢るぜ!!」



 爽やかにニカッと笑われるとこちらも反論しずらい。



「あとアストの坊主、そんなに固くなるなよ!もっと気軽に話しかけてくれていいんだぜ?」



 嬢ちゃんにはフられちまったがな!とゲラゲラ笑っている。

 面倒臭い奴ではあるが良い奴なのだろう。頼りがいはありそうだ。



「わかったよ、フレッド」



 奴はうんうん、と納得したような表情を見せ、受付の方に歩いていった。


「いい人なんだよ」とくすくすと笑いながらシトラは言う。もちろんわかってる、と首を縦に振ると入ってきた時より機嫌を良くしたご様子だ。


 まあなんか奢ってくれるらしいしシトラは気分がいいから何も気にしないでおこう。うん。



 しばらくするとフレッドが戻ってきて「能力の解析をするからこっちに来てくれ」との事。

 なんとこの世界の魔法は属性だ固有スキルだが存在するらしく、それを見極めるためのプロフェッショナルとして配属されるのが受付嬢らしい。まさに漫画で見る異世界だ。


 受付に行くとだいぶほわほわした女性が魔法陣の準備をしていた。


「えっと......はい、アスト様ですね、こちらの魔法陣に血を垂らしていただいて良いでしょうか?」


 体液(しかも血!?)で見るんかい。まあ仕方ないと受付嬢から小さなナイフを貰い、指に刃をくい込ませる。


 ぷくりと血が出てきたところでそれを魔法陣の中心に垂らすと受付嬢が何やら呟き出した。

後半続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ